ごめんなさしするよ 在原行平くん
西みれば 病んだ人あり また東には 希望があり はぁ街だ
ってのは良いんじゃないかと思うんだが良くね?
男は3mmのマジックで書いた短歌を嬉しそうに見せ
俺はそれを奪い取り丸めてゴミ箱に捨てた
あぁのなっ! これは大会に出す作品だぞ! それにはぁ なんて入ってていいと思うか? ぁあ?
だからってゴミ箱に捨てなくてもっ!!
捨てるわ!!いらん!こんな短歌!
こんな事をしているがれっきとした部活なんだ。まぁ一週間に三回しか活動しないんだがな
今、嬉しそうに短歌を見せてきた男は
藤原典之俺と同じ高校一年生。
で、俺の名は
世の中に 風俗名の如き 名前ありけるぞ 星雲と書き スターオーシャンと読ませたり
そうです。長谷星雲です。
んな訳があるか!!!
俺の名は 長谷桟一だ!スターオーシャンじゃない!!!
おい!!何勝手にDQNネームにしてんだよ!
痛い!痛いって!頬を抓るな!!
こんにちはーproxima amicus達よ
あ、また面倒なのが来た。
まーた変な言葉覚えてきたな!それは一体どんな意味だ?
面倒な男は満足そうに言った
親友 ラテン語だよ
そう。面倒な男の理由とはこういう事。コイツはいちいちラテン語を織り交ぜてくる。非常に面倒な男だった
で、今度の大会は賞とか取れそうか?
男は窓の傍で倒れていた椅子を戻しながら聞いた
いや、全く。何しろメンバーが 変わりもの ナルシスト 変な先輩 に 俺と来たら取れる訳が無いよ
男は椅子の背をこちら側に向けた。窓から空を見ているらしい
深き空 ゆっくりとゆっくりと 人類史を学べる様だ 皮肉にも
そう呟いた。あまりいい短歌とは思えないがまあ典之よりはマシだ。
んで 典之は
皮肉とは 皮に肉と書き つまりその 人間の闇的確に 表現するなり
と、黒板に書いた。 これはつまり歌を歌で返してるのか?
ほら、スターオーシャンも何か書いて。ほら
あ、ああ って だから俺はスターオーシャンじゃない
しかし いざチョークを握ってみるとどうにも上手く手が動かない。不思議だ。不思議の谷現象だ
そしてどうにか書いたのが
人間の良きところは 例えばね あの夕日感じ色 人それぞれだったり するとこ
何それ?それで短歌のつもりかよ。 笑っちまうぜ
別に笑われる為に書いた訳でも短歌のつもりでも無かった。ただ何となくなく書いただけだ
ふっ……ふふっ あははははははっ!!
典之は遂に笑い出した。膝を叩きながら大爆笑する
なんだか悔しい……てか腹が立つ。
最高だよ! も 最高!! それ大会に提出してみたら?
大爆笑間違いなし!!
典之は尚も笑っている。ますます腹が立ってきたので、つい手に持ってるチョークを当てた。
まあまあ二人共落ち着けって。大会まではまだ日付があるんだからさ。
額を押さえる典之と俺を見て、男は笑った。左手にはカレンダーを持っている。大会までの日付を確認していたようだ。
puerだよ。みんなね
tempus occidereの方が正しいんじゃねえの? 家山 峻さんよ?
……ヤバい 何言ってるか全く分からん。
とりあえず外でも ん?
俺は向こうの部屋から物音がするのが分かった。
耳を澄ませてみると
「あっあっ……真のったら高校生の癖して奥まで当たっちゃうぅ……」
「真希の締まりもすっごいよ……もう俺出ちゃいそう」
聞こえたのは性交音だった…… 口論してる二人をほっといて俺は隣の教室に向かう
おいゴラァ!部活動としての自覚持ってんのか!?
そこには唖然とした顔で俺を見る二人の男が居た
桟一くん……?どうしたの?そんなヤクザみたいな顔して
いやだってさっきこの部屋から喘ぎが……
男は机に置いてあるスマートフォンを向けた
いやね。漫画の参考にしようかとアダルトビデオをね
叩き壊して俺は部屋に戻った
部屋に戻ると二人は外を眺めていた。まるでBL漫画だ
だが、BLは 攻めと攻めじゃ成立しない。
ああ。戻ったか 桟一。ほら
指さす先には空があり狭い雲が浮かんでいた
うろこ雲。綺麗じゃない?
確かにそのうろこ雲は綺麗だった。どこにでもあるはずなのに
Beau……美しいよ。最高だよ
俺はその雲を見ながら
何か思いついたが思いついてない振りをした
ごめんなさい。在原行平