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とある日の昼下がり01

8月。

セミが耳障りになるほどにやかましく鳴いて夏を伝えている。

太陽がちょうどてっぺんを過ぎた頃。

今年で最も高い温度を記録したという猛暑の日に僕は静かで、空調の行き届いた涼しい部屋で一人作業をしていた。

これが俺の仕事。

頼まれた以来に沿ってイラストを描く仕事。

イラストレーターである。

俺はペンタブを素早く動かしてモニターに写る少しばかり不気味な森にカメラを構えた少女を一人描いていく。

カメラを細かく色分けして光の反射を書き込んでいって完成させたその一枚の絵を眺める。

緑は目によいと聞くが、ブルーライトを発する緑は果たして目によいのだろうか?

下らないことをふと思いながらもその絵の出来を自画自賛してデータを保存するとそれを添付したメールを依頼人に送って仕事完了。

後は返信を受け取ってリテイクなのかOKを貰えるのかを待つばかりである。

机に置かれたペットボトルの蓋を開けて中身を飲んで渇いた喉を潤す。

薄暗い部屋のカーテンを開けて日の光を全身に浴びる。

仕事の終わりを告げる合図。

自分が自分自身に教える合図。

太陽によって教えられる合図。

「ふぅ~」

ピッタリ1分、自然の光を浴びて大きく深呼吸をすると俺は机に戻る。

メールは無し。

まだ見ていないのかそれとも悩んでいるのか。

しかしどちらにしろ朝の6時から午後の1時までの7時間。

なかなか難しい内容であったし、そろそろお昼時である。

朝食を抜いたことを思い出して俺の腹の虫が空腹を大きな声で訴え始める。

ここは何か腹に溜まるものを食べるとしよう。

そう思って俺は自分の部屋からリビングへと移動した。



リビングにやって来て1時間後。

ロールキャベツ。 味噌汁。ご飯にデザートのコーヒーゼリー。

完成した昼食を食卓に並べ、そして食事の合図を行って箸を手に持つ。

お椀に入った温かい味噌汁を口に含み、砕けた豆腐と一緒に腹に入れる。

スマートフォンの画面を横にしてニュースを流しながら俺は朝食でも昼食でもある食事を淡々と黙々と進めていく。

そして最後にカップに貼り付けられた使い捨てスプーンを袋から取り出しながら俺はスポーツ特集に切り替わったニュースを切って今年の冬の一大イベントためのネタ探しを行った。

コミックマーケット。通称コミケ。

夏のイベントはもう終えている。

だから冬のための準備を始める。

同人誌は18禁ものでなければならないということはないがやはりそちらの方が売れる。

あくまで有名でもなんでもない自分の話だが。

「あっ」

画面に触れた際にうっすらと浮かび上がってきた広告に触れてしまい、思わず声を漏らす。

すぐさま画面が切り替わると複数枚の写真が表示される。

本来ならばすぐさま画面を戻すところだが今回はそれをしなかった。

なぜならそこに映った写真に興味がそそられたからである。

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