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魔力ゼロの魔法使い〜俺の超能力は異世界でもチートでした〜 作者:鬱沢色素

リュクレース王女編

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35/50

35・マリーズとモンスター討伐に出掛けました

 なにはともあれマリーズが当ギルドの冒険者となってくれた。
 本来のランク付けなら、マリーズは魔力が低いために低ランクからスタートしなければならなかっただろう。

 しかし——今、当ギルドは俺がマスターになってから絶賛ランク廃止中だ。
 当然、高ランクのクエストを受注することが出来る——。


「……マリーズ。そろそろ腕を離してくれないか?」


 俺達は近くのヴァン山峰という場所に訪れていた。
 右腕をマリーズが絡みつくようにして抱いているので、歩きにくいといったらありゃしない。

「……ダメ」
「ってかどうして腕を掴んでいる必要があるんだ?」
「マリーズは強い男の人が大好き。強い人はどっかに行ってしまう可能性がある。だからマリーズが捕まえておかないと……」

 むぎゅっ。
 さらにマリーズが俺の腕を掴む力が強くなる。
 マリーズは幼女……もっと踏み込んで言うと『貧乳ひんにゅう』ではあるが、さすがにこれだけ密着するとかすかに胸の膨らみが感じられる。
 歩きにくいというのは、童貞の俺にとってこのシチュエーションは喜……じゃなくて『きつい』という意味もある。

「まあいっか……」

 諦めて歩き続ける。
 俺がどうしてヴァン山峰を訪れたのか、というと暇潰しである。
 最近、ギルドマスターの仕事ばっかりで体を動かしていなかったからな。
 たまにはモンスターの討伐でもしておこうかな−、って。
 そこで——ギルドの中にある高ランククエストに目を付けた。


『Bランク ウィングウルフの群れの討伐』


 これだ。
 ランク制を廃止したとはいえ、それは冒険者間の話だ。
 クエスト自体はある程度目安が付くようにランクを付けている。
 メチャクチャ強い——それこそマリーズのような冒険者が間違って簡単なクエストを受けてしまわないように、という配慮だ。

 ——という感じで別にマリーズが付いてくる必要はなかったわけだが。

「まあお前の実力は分かっているけど、対モンスターとの戦いではどんな感じが見ておきたいしな」

 マリーズは背中に背負うようにして棍棒をくくりつけている。
 なんでも、騎士学校にある剣はどれも重くて使いにくかったため、棍棒を使い続けているのだとか。

「マリーズ。お前、モンスター戦の経験は?」
「騎士学校の頃に実習で何体か倒したことがある」
「おお」
「とはいっても、スライムとかゴブリンばかりでつまらなかった。ああ——でもワイバーンと戦った時は手応えがあって面白かった」
「ワイバーンか。確かドラゴンの下位モンスターだよな?」

 そう尋ねると、コクリと首を縦に動かした。
 俺は異世界に来て早々ドラゴンを倒しているけどな。
 まあモンスターとの戦いの経験は十分あると思って間違いないだろうか。

「おっ、早速来たか」

 足を止める。

 ——前方にウィングウルフ発見。
 しかし前方だけではないことを、俺は感知の超能力によって分かっていた。

「囲まれている」
「みたいだな」

 右を見ても、左を見ても——ウィングウルフが俺達を睨んでいる。
 ざっと数えて三十体は超えるだろうか。

「確か一体でも強力なモンスターで、旧Dランク冒険者と同等くらいの実力……ってフランは言ってたな」

 その際、「止めてときなよ! 危険だよ!」と止められたが、おなじみの触手の超能力で黙らしておいた。

『ぐるる……』

 ウィングウルフは低く唸り、今にも飛びかかってきそうだ。

「まあ良いよ。さっさと襲いかかってこいよ」

 そう言って、俺は一番近くのウィングウルフの足下にエネルギー弾を着弾させる。
 それが合図となったのか。

『ウォオオオオオオオ!』

 一体のウィングウルフが遠吠えをし、同時に四方八方から襲いかかってきた。

「いくぞマリーズ!」
「分かった」

 俺は右の手の平を突き出し、マリーズは棍棒を両手で構えた——。


 結果だけ言おう。
 はっきり言って、ウィングウルフは拍子抜けであった。


 五分も経てばあれだけ威勢の良かったウィングウルフは全員が地面に倒れ伏せていた。
 ウィングウルフは狼に翼が生えた生き物だと思っていい。
 上下関係なしの機動力。それに加えて群れになれば統率をもって襲いかかってくる厄介なモンスターだ。

「マリーズ——怖かったら、見てるだけでもいいんだぜ」
「なにを言ってるの」

 お互いの背中を任せてウィングウルフを狩っていく。
 俺は襲いかかってくるウィングウルフを片っ端からサイコキネシスで投げる。
 一方、マリーズは棍棒で——まるで野球のボールを打つかのように——殴り倒していく。

 一方的な虐殺。
 俺がウィングウルフの長っぽいヤツに洗脳の超能力をかけ、完全に統率を失わせた。
 その蹂躙劇じゅうりんげきが——五分くらいだったのだ。

「うーん、もっと強くてもいいんだがな」
「拍子抜け。騎士学校にいる教官殿の方が強かった」

 パンパンと手を払う。
 このウィングウルフが三十体も集まると、ろくに冒険者を雇っていない集落は壊滅状態になるらしい。
 そう聞いていたからちょっとワクワクしていたんだがな。

「さて、これでクエストは完遂したわけだが——」

 まあ——元々クエストなんてものはおまけだ。
 俺はマリーズの方を振り向き、

「マリーズ。まだ俺は運動不足なんだが、もうちょっと遊んでいくか?」
「あなたが行くところにマリーズは行く」
「ああ、そうそう——俺は『あなた』っていう名前じゃない。マコトっていう名前があるんだ」
「マコト……うん。良い名前」
「みんなの前ではとある事情で『フェイク』って名乗っているから、外にいる時はそう呼んで欲しい」
「うん、分かった」

 コクリと頷くマリーズ。
 聞き分けの良い子である。


 ——こんな感じでモンスターの討伐もとい運動を再開する。


 とはいってもなかなかモンスターは出てこない。
 マリーズ曰く、

『きっとマリーズ達にモンスターがビビっている。モンスターは勝てない相手に立ち向かってこない』

 ということであった。

 うーん、戦う相手にも困るなんてな。

「うーん……弱そうなモンスターは襲いかかってくるんだがな」
「弱そうなモンスター……つまり自分と相手の実力も計れない愚かなモンスターだ、ということ」

 先ほどのウィングウルフより強いモンスターが出てこない。
 もっと色々な超能力を試してみたかったんだがな。
 これから先——リュクレース王女や王様に復讐する際、これまで以上の熾烈な戦いが予想されるし。

「まあ良い。運動はここらへんで終わりで良いだろう」
「帰るの?」

 マリーズが俺の顔を覗き込んでくる。
 意識はしてないと思うが、マリーズは距離感が少々可笑しい。
 ただ見ているだけだと思うが、息づかいがはっきりと分かるところまで顔を近付けてきているのだ。

「マリーズ、近い近い」
「なにか困ることでも?」
「……まあいっか。マリーズ、これから先お前はギルドのエースだ。バンバンクエストをこなしてくれ」
「うん、分かった。そのためにマリーズは冒険者になったんだから」

 相変わらず聞き分けの良い子だ。
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