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魔力ゼロの魔法使い〜俺の超能力は異世界でもチートでした〜 作者:鬱沢色素

騎士団長編

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23・《ネドトロス》のリーダー

 そうなのだ。
 俺の超能力はなにも自分だけにかけられるものじゃない。
 俺くらいの能力者になれば、他人にも超能力をかけ強化させることが出来る。

 それによって、《ネドトロス》の有象無象のザコ共は騎士団に渡り合える歴戦の兵士となった。


「…………」


 騎士団がやられ始めている光景を。
 フーゴは俺と同じように、腕を組んで冷静に眺めていた。

「ククク、どうした? 騎士団長というやら。もしかして、我々の力に腰を抜かしたか」
「……成る程。少し貴様等の力を見誤っていたようだ」

 そうフーゴは口にし続けて、

「——引くぞ! このままでは被害も出かねない。一度帰って、こいつ等を全滅させる準備をするぞ!」

 と声を張り上げた。
 予想通りにことが進みすぎて、思わず笑みが零れてしまう。
 騎士団の連中は納得いかない顔をしながらも、騎士団の命令ということもあり《ネドトロス》に背を向けた。

「へっ! 戦場で敵に背を向けるバカがいるかよ——」

《ネドトロス》の一人がすぐさま(なんとなく)強そうな魔法を放とうとした。
 しかし——カッコ良く叫んでみたものの、魔法は発動される気配がない。

「あれ?」
「どういうことだ? いきなり体が重くなったぞ?」

 他の連中も魔法を放とうとしたり追いかけようとするが、全員思うようにいかないみたいだ。
 まあ俺が身体強化の超能力を止めただけだけどな。

「ククク、逃がしておけ。今日は挨拶代わりだ」

 俺の方もこれ以上騎士団に対してなにかしようとせず、わざと聞こえるようにそう言った。

「……この借りは近い内に返すぞ」

 ギロッ。
 フーゴの殺意に染まった目がこちらを向いた。

「ふんっ、やれるもんならやってみろ」
「——そういえば、貴様の名前を聞いていなかったな。貴様はなんだ?

 あっ、名前を聞かれたか。
 うーん、そういえば偽名を考えてこなかった。
 とはいっても、ここでなにも言わないのも変なので、適当に考えてからこう告げた。


「ククク——我はフェイク! 《ネドトロス》のリーダーだ!」


「フェイクか。貴様の名は覚えておく」
 最後に。
 フーゴはそう声を発し、騎士団は闇に紛れ見えなくなっていってしまった。


「逃がしてしまいましたか」

 そのまま《ネドトロス》の連中と塔に帰って。
 騎士団との戦いを報告すると、開口一番エコーはそう言った。

「逃がした? ちょっと違うな」
「なにが違うんですか?」
「わざと逃がしたんだ」

 鳥籠とりかごを開けて、鳥が逃げていくようなものだ。
 もちろん、あそこでトド騎士団メを刺すことも可能であった。

 しかし何度も言うように、俺の目的はフーゴの殺害——騎士団の崩壊、だけではない。
 それは最終目標であり、そこに至るまでの過程が重要なのである。

「あそこに来ていた騎士団の連中はごく一部だった」

 アリサの話を聞くに、騎士団の総数は五万とも言われているらしい。

 それなのに——来ていた騎士団は三十人?
 いくら騎士団長がいたと言えども、そんな少数を倒したところで騎士団になんのダメージが与えられるだろうか。

「あそこまで侮辱してやれば、今度はもっと騎士団は本気を出してくるだろう。百——いや、千人単位でここにやってくるかもしれないな」
「せ、千人かね!」

 アリサが愕然とする。

 ——まあ《ネドトロス》は全部集めても二百人くらいだしな。
 しかも騎士団の連中は一人一人がアリサと同等の実力を持つ。
 鼻から戦いにならず、この本拠地を放棄するのが得策って考えるよな。

「まあ心配するな。俺の身体能力の超能力を使えば、みんなの能力を十倍にも押し上げることが出来る」
「超能力? 魔法のことかね」
「まあそれで良い——さっき、手加減した身体強化の超能力でみんなの力を三倍にして、騎士団と互角に渡り合うことが出来た」

 ならば十倍にしてやれば、騎士団なんて《ネドトロス》のメンバーだけでも楽勝ということである。
 しかしそれも三十人くらいであろう。
 千人単位で塔に乗り込んでこられたら、いくら俺の身体強化でも攻撃をしのぐことは困難だ。

 ……まあ俺一人なら楽勝ですけどね!

「縛りプレイみたいなもんだな」

 性欲の化け物である《ネドトロス》のメンバーを重荷にしながらも、千人の騎士団を滅ぼせ!
 ……みたいな。

「君は時々、訳の分からないことを言うね。縛りプレイ? 超能力? それに……一体君は何者なのかね」
「うーん、まあ隠すつもりはないし言っちゃおうかな。実は俺、異世界からの召還者なんだ」


「な、なんだと!」「ほ、本当ですか!」


 エコーとアリサが声を揃える。
 あっさりとバラしてしまったように思えるが、まあこいつ等二人なら大丈夫だろう。
 それから俺は異世界から召還されてからのことを説明した。

「成る程……サザラントの王がなにやらそういうことをしようとしている、というのは聞いていたが」
「マコトさん、召還者だったんですね。あんなに強かったのも納得です」

 エコーは「うんうん」と頷き、アリサは顎に手を置いて考えていた。

「それにしても魔力ゼロというのは本当かね?」
「ああ、本当だ」
「つまり……君のいた世界には魔法に匹敵するような——いや、それ以上の力が使える、ということか」
「ん? まあそういうことかな」

 正しくは超能力なんてみんな使えないし、ここまでなのは俺くらいだったのだが、いちいち説明するのも面倒くさいので省略する。

「これで分かったか? 俺が騎士団……サザラント王を目の敵にする理由」
「君が強い理由も十分分かった」

 うーん、正体を明かしたのは早計だっただろうか?
 もしエコーとアリサの口から秘密が漏れて、サザラント王の耳まで入れば、これからしようとする復讐が面白くなくなってしまう。

 まあ別にいいだろう。
 成り行き任せ。

 なにが起きようとも、超能力があればなんとでも出来ると思っているしな。

「——よし。じゃあ騎士団が攻めてくる時はみんなに伝えるから、それまで暇を潰しておいてくれ」

 ふわぁ。
 思わず欠伸が出てしまった。
 そういえば、まだ満足に寝ていないんだしな。
 俺は浮遊の超能力で浮き上がり、そのまま瞼を閉じようとすると、

「待ってくれ! 騎士団が本気になれば、この本拠地なんてすぐに突き止められるだろう。しかし! いつ攻めてくるなんてどうやって分かるのかね」
「そんな心配してたのかよ。大丈夫だ——取り敢えず今は寝させてくれ。じゃあおやすみ……」
「まっ——」

 アリサがなにか言いかけたように思えるが、目を瞑った瞬間。意識がなくなってしまい、それ以上は聞こえなかった。
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