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1・プロローグ〜俺の超能力は現代でもチート〜

新連載はじめました!


『なんなんだ、この化物は!』

『撃て撃て! 相手は生身の人間だぞ!』

『ダメだ! そいつにはなにをやっても……』


「あー、暇だな……」


 目の前には、銃を構えた男達。

 銃をメチャクチャに撃ったため、俺に向かって弾丸が飛んでくる。


「ふんっ」


 しかし俺は鼻を鳴らし、弾丸に対して右手をかざす。


 ピタッ。


 するとどうだろうか。

 弾丸が俺に直撃する——と思った瞬間、その動きをピタリと止めてしまったではないか。


『な、なななななな! なんでこいつは生きてやがる!』

『避けた? この至近距離で?』


 多分、こいつ等の目では弾は俺に当たったことになっているんだろうな。


「当たったら危ないじゃないか」


 当たったら——な。

 俺は人差し指を立てて、止まっている弾丸の先を男達に向ける。


「行け」


 そう一言命じるだけでいい。

 今まで空中で止まっていた弾丸は運動を開始し、今度は男達に向かって飛んでいく。


『グハッ!』


 弾は男に擦っただけなのに、そのまま倒れて動かなくなった。

 大袈裟なヤツだ。


「き、貴様はなんなんだ!」

「普通の男子高校生だよ」


 その中でも一人だけ元気なヤツが。

 男は尻餅をつき、手の動きだけで後退する。

 そのみっともない動きは笑いが込み上げてくる程であった。


「くっ……!」

「無駄だよ」


 男が無線機に口を当てたのを見て、俺は力を発動させる。


「その無線機は無効化させてもらった。どれだけ喋っても誰にも通じないから」

「ク、クソっ!」


 俺の言葉を疑わず、男は無線機を地面に叩きつけた。


「一応、質問させてもらう」


 一歩ずつ、男に近付きながら問う。


「お前達の目的はなんだ?」

「…………」


 男の口は閉じられたまま。

 きっとどんな拷問にも耐えられるような特訓を受けているのだろう。


「…………」

「そうか。俺の暗殺を命じられた、ってところか」

「ど、どうして……なにも喋っていないのに!」


 お前の考えていることなんて、全てお見通しなんだよ。


「もういいよ。こんなんじゃ暇潰しにもならないし」

「ぐっ!」


 力を込めると、男はふわっと浮き上がりそのまま壁へと激突。


「ふう……やれやれ。もう慣れたけど、不良達に絡まれるのは疲れるよ」

 

 男達が倒れている光景を眺めながら。

 俺は肩をすくめるのであった。


  ■


 突然だが、俺は超能力者である。

 だが、サイコキネシスしか使えない、テレパシーしか使えない、といったザコの超能力者ではない。

 俺はなんでも使えるのだ。


 パイロキネシス、テレパシー、サイコメトリー、未来予知、サイコキネシス、テレポーテーション、ヒーリング、アンチ・サイ……。

 いつから使えるのかは覚えていない。少なくても物心付く時には全ての超能力が使えていたのだ。


「なんで下校中に襲われないといけねえんだよ」


 ゴミ箱に男達を放り投げて、自宅へと歩く方向を変えた。

 俺の超能力に恐れをなしたのだろう。

 今のように謎の組織から命を狙われたことは、一度や二度ではない。

 そのたびに——それこそ火の粉を振り払うように——俺はそいつ等を始末してやってきた。


「ってかもう少し強いヤツ出てこないのかよ」


 一人歩きながら、呟く。


 昔からそうだった。

 なんか、超能力者が集まる集会に誘われて、暇潰しに行った時も拍子抜けであった。

 だって、あいつ等スプーン曲げただけでドヤ顔するんだぜ? しかも一本のスプーンを曲げるのに一分以上もかかってやがる。それだったら、ちょっと力の強い小学生でも曲げられるぜ。

 その時、俺は欠伸をしながら会場にあった百本のスプーン全てを粉々にしてやった。

 そうしたら、あいつ等なんて言ったと思う?


『悪魔』


 って。

 そっからだな。俺が誰とも交わらず、一人で生きていくことを決意したのは。


「退屈だなー」


 もちろん、平凡な人生を望んだのは俺自身だ。

 自宅近くのごくごく普通の公立高校に通っている。

 クラスにも俺が超能力を使えることは秘密だ。

 透視能力を使って、女子更衣室を覗き……は罪悪感があって、まだしていない。


 本当だぜ?

 そんなことを思いながら、欠伸を噛み殺した時であった。


「ぬおっ!」


 突然——足元に青色の幾何学的な模様が現れたのだ。


 なんだ、これ?

 もしかして魔法陣ってヤツなのか。


「なんか危険っぽいんだけどな……」


 青色の光はだんだん増していっている。

 別に動けないわけではないので、テレポーテーションでこの場から逃げることも可能であっただろう。

 でも人生に退屈しきっている俺は、なにも行動に移さずぼーっと魔法陣を眺めていた。


「このまま異世界とかに転移されないかなー」


 異世界に転生や転移して、無双する話は俺の大好物だ。

 そんな期待もあったのだろう。

 その場から一歩も動かず待っていると、目の前が真っ白になった。

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