永遠の約束。
夕焼けのオレンジと、大自然のみどり。その二色は優しく馴染んでいて、みていて心地の良いものだった。
そんな黄昏時にたたずむ二人は、運命によって引き裂かれた恋人のように涙する。
「この夏起きた奇跡は、一生忘れない。また会ういつかのその日まで、大切にしておくの。そして、時がきたらまたここで会いましょう」
彼女は大粒の涙をぽろぽろとこぼしながら、微笑んだ。
また会ういつかのその日なんて、不明瞭で不確定な未来に向けての約束。期限をもたない永久の約束。
「……わかった。じゃあその時まで、元気でね」
彼らは相手のことなど小指の先程度しか知らない。どこに住んでいるなんていう名前の子なのか。それすらも知らないのだから。
少女は少年をあなたと呼び、
少年は少女をキミと呼ぶ。
そんな存在すら不確実な彼らが再開するのはいつになるのか。いや、再開などせず時と共に約束を忘れてしまうかもしれない。
「ばいばい」
二人は声を揃えてお互いに手を降りながらそう言った。少女は山の方に、少年は海の方にそれぞれかけて行った。
もう会うことはないような永遠の別れ。少年と少女はそれぞれ在るべき場所に帰って行った。
その一年後、少年の住む街にとある家族が引っ越してきたのは、また別のお話。
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