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ある晴れた日の森の中で、1人目

時折、風が吹き木々の合間から差し込む日の光。

それがとても綺麗で、お気に入りだっただった隠れ家で、

・・・一匹の栗色の毛をした子狐を見た。

傍に親狐の姿は無かった。迷い子だったそいつに、俺は「ソウ」という名をつけた。

一時は飼おうとしたけれど、院長に相談したら拒否された。

俺が小さい頃住んでいた院には子供が大勢居て、その中には

アレルギー持ちや、喘息持ちの子がいたからな。

それが一番の理由。

それ以外にも、餌代が掛かるから、とか、掃除が大変になるから、なんて大人の我侭があったっけ。

まあ簡単に言えば、全力で飼うことを反対されたんだ。


けれど俺は、

子狐を飼えるように、布団やダンボール、餌に牛乳やハムなんかを院から持ち出して、

こっそりと、ソウを飼った。

多分大人たちは、俺の所業に気付いていたんだと思う。

だって、その日から毎日、食料が少しずつ減っていたのだから。


それでも注意はしてこなかった。

何を言っても無駄だって、分かってたんだろうな。

そもそも、自分達に面倒ごとが降りかかってこないし。

だからだと、俺は思ってる。今でも…。



ソウを飼い始めて1年が経った頃。

いつもの場所には、何故か、人影があった。


藍色の着流しを着こなす、栗毛で同い年位の男の子。


俺は初め、警戒心で塗り固めた言葉を投げかけていたけれど、

向こうはやけに、馴れ馴れしくて。

「僕は、(かなで)宜しくな!」

いきなり自己紹介を始めたものだから、驚いて、警戒心なんか吹っ飛んだ。


奏と名乗ったその少年は、どこか不思議な雰囲気をローブのように身に纏っていた。

触れたら、名前も知らない地へ飛ばされてしまうのではないか、

そんな考えが出てきたときは、怖くて、また警戒心で自分を塗り固めた。

今思えば、その時の俺は、拾ってきた猫の様な有様だったのではないかと思う。

主人に懐かない、孤独な存在。



「ちょっと散歩に行こうよ。退屈でしょ?」

ある日、奏は、森の奥を指差して言った。

森の中の光の差し込まない所。

それは、俺にとっては恐怖でしかなかった。

何が出てくるか分からない、常に感覚を研ぎ澄ましていなければ身がもたない、

そんな未知の世界に俺を放り込んだ奏は、ずっと手を、握っていてくれた。

お年頃、と言われる年だった俺は、恐怖心やら、小っ恥ずかしいやらで、

何も考えられなくなってしまっていたっけ。



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