戦闘開始
「主よ、ご報告であります。ただいま結界が破壊されました。」
バアルが男に報告する。
「全く、悪あがきが好きな生き物だね、人間とは。」
「はい、全くであります。それでどういたしましょう。」
「そうだねえ、ではバアル。僕たちの力を人間たちに見せつけようか。」
「了解しました、主よ。では我々は軍を世界中に展開させ人間どもに恐怖を
与えましょう。」
そう言ってバアルは部屋から出て行った。
「では私は城の防衛を強化いたしましょう。」
「そうかいサタン。君に任せるよ。」
「はっ、かしこまりました。では行って参ります。」
サタンはそう告げると部屋から出て行った。
「ご主人様、アスタロテはどうしたらよろしいでしょう」
「君は僕のボディーガードをしてくれるかい。」
男はアスタロテに口づけする。
「かしこまりました。ご主人様。どんなことがあってもご主人様をお守り
いたします。」
「ありがとう、アスタロテ。」
二人は唇を重ねる。それを見ていたベルゼブブはため息を一つついて
「俺は勝手にやらせてもらうからな、マスター。」
それだけ言って男の前から立ち去った。
「本当、分からない奴だ、ベルゼブブは。」
男はそうつぶやいた。
兵舎に着いたバアルは部下の前に立ち
「これから我々は人間どもに攻撃を仕掛ける。我々は全軍を世界中に空から
展開し人間を恐怖のどん底に陥れる。お前ら、気合を入れていくぞ」
おおおおう!
低いうなり声が全体に響き兵士たちの士気が上がっていく。
「なるほど、敵はボスを筆頭にバアル、サタン、ベルゼブブ、アスタロテが
配下にいるのか。」
とオットー。
「バアルは空から攻めるようですね。ではこちらも全世界の空軍に連絡し
即時反撃しましょう。ただ敵本拠地の空爆は武装が明らかになるまでは待った
ほうが良いでしょう。」
と孔明。
「それもそうだな。核や反物質があったらひとたまりもないからな」
オットーが孔明の意見に賛同する。
「マヤ、そして日露のロボット兵器とこの私オットーは単身で乗り込み四天王を
攻撃する。」
「単身でありますか。ロボット兵器はともかく我々はいささか危険では。」
マヤはオットーの意見に疑問を投げかける。
「うむ。確かに危険だがこのような要塞を攻撃するのに本体を囮にするのは、
よくある手だ。」
「分かりました。必ず期待に応えて見せましょう。」
そう言ってマヤはオットーに対し敬礼をする。
そんなことを知らない一般市民はパニックになっていた。
「見てください、この大群を。空が完全に覆われております。もはや我々には
祈ることしかできません。」
リポーターの悲痛な声がお茶の間に響き渡る。
北米・中南米・ユーラシア・アフリカ・オセアニアの全地球規模における
魔物の大群。バアル軍の展開である。
「何なの、この数は。」
モニターを見た飛鳥が呆然とする。
「全く、いい点数稼ぎだ。戦闘機に乗るのも久しぶりだな。」
岩本が出撃する。
「オールレンジ式機関砲マルチロック完了。」
複数の目標に照準を合わせる岩本。
「あばよ、化け物ども。」
30ミリ機関砲がバアル軍に襲い掛かり、次々と海に沈む。日の丸航空機部隊が次々と敵の数を減らしていく。
「岩本、お前は下がれ。本土の防衛に専念しろ。ここから先は我々、飛行教導隊が相手する。」
無線を通じて黒川教官が命令する。
「了解であります。」
岩本はそう言い戦線から離れる。
「日本空軍最強の飛行教導隊の力、見せてやるぞ。いくぞ、みんな。」
「了解!」
掛け声とともに戦技無双の連中が隊列を編成する。と同時にオールレンジ式
機関砲を発射。
「一丁あがり。」
空を覆わんばかりのバアル軍の軍勢は一瞬にして壊滅した。
「どっちが化け物か分かりやしない。」
思わず岩本が漏らす。海軍も負けてはいない。
「野郎ども、ここが生き残る正念場だ。」
東郷が檄を入れる。
「了解です。我々が負けるはずがありません。」
兵士の一人が答える。
「艦長、プラズマ砲の射線上に敵が集結。」
「よし、ぶちかませ。」
紫電を帯びたプラズマ砲が発射され多くの敵を焼き尽くす。これが人間どもの
強さか。バアルは驚愕する。
「よいか、数なら我々の方が上だ。皆の衆、うろたえるな。」
バアル軍の士気が上昇する。
「いくら鉄の爪を持っていようとフレイヤに適うものか。」
欧州戦線においてユーロファイターフレイヤが縦横無尽に疾走する。
「エスパレスが思っている以上に彼らは強いということか。なら私もそれに
こたえなければならない。」
オットーはそうつぶやき敵陣営に向かっていった。




