結界の破壊
魔法の教育が終了してからおよそ一ヶ月。わずか一ヶ月ほどだがオットーたちの
技術提供のおかげもあり結界からわずかに放出されている魔力を解析する
探知機を開発することができた。得られた結果から、結界に対し最も有効な
術式を人工的に作り出し結界をぶち壊すというものだ。そして同時に蝶を模した
盗聴器を送り込み、敵の様子を探る。さらに人工衛星を用いて基地の内部を
偵察するというものだ。巨大な砲身の上にあるパラボラアンテナが放出されている魔力を捕らえる。
「アンテナ、キャッチしました。解析を始めます。」
すみれが量子コンピューターで解析を開始する。
「オメガ君、どうだね。砲身の調整は。」
グリセリドがオメガに様子を聞く。
「問題ありまセン。FCSの状態オールグリーンでございマス。」
「そうか、ソフィア君。量子コンピューターの並列処理は順調か。」
「問題ないわ。」
ソフィアがそっけなく答える。
「解析完了。これから対抗術式を構築します。」
すみれがそう報告すると砲身の周囲に幾何学的な文字が現れ目にも留まらぬ
速さで術式を編んでいく。ついに術式が構築されると、その術式は金色に輝き
砲身に吸収される。そして発射。金色の光が黒いカーテンに直撃する。
光が直撃したところを中心にカーテンからピキピキとひびが入り、ついに砕け散る。
「うまくいきましたな。では続いて索敵を開始しましょう。」
オットーが指示を出すと同時に蝶がなかに進入する。人類側の反抗が始まる。




