表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
領土奪還戦争  作者: マンチカン
最終章 すべての解決
94/105

魔法の勉強

「つかぬことを聞くがソフィア君。君は魔法についてどう思う。」

グリセリドが唐突に聞く。

「そうね、原理は全く分からないけれど存在は認めるしかないわね。

間近で見たけれど目の前に魔方陣が現れたり、火の玉を突然出したり不思議

だわ。」

ソフィアは感想を述べる。

「そこで思ったのだが俺様は魔法についての知識がまるでない。そこで涙を

呑んでエスパレスの連中から魔法について学ぼうと思う。」

珍しく神妙な面持ちになるグリセリド。それに対してソフィアは

「賛成ね。韓国を包んでいるカーテンや竹島を囲む謎の強風。エスパレスの

技術の可能性もあるけど、彼らにそうする意味はないわ。私たちの知らない

勢力が不思議な力を使っている可能性のほうが高いわ。それを解決するには

魔法についての知識も必要ね。・・・ってあんた、どこに電話かけているのよ。」

グリセリドはソフィアの話を無視して電話をかけている。

「おう、俺様だ。ところでものは相談なのだが、俺様に魔法を教えて

くれないか、オットー。」

「それは魔法を使いたいということか、グリセリド君。」

オットーが問いかける。

「いや、魔法の基礎原理を知りたいのだ。俺様は物理学者だからな、

魔法を使うことは肌に合わん。」

「分かった。数日後に返事する。」

「いい返事、期待しているぞ、オットー。」

そう言ってグリセリドは電話を切った。その夜、オットーはマヤに電話をかけた。

「マヤ将軍、突然で悪いが魔法の基礎教育を行ってくれないか。」

「それは突然ですね。私はかまいませんがいったい誰に教育を行えば

よろしいのでしょうか。」

いつもどおり冷静なマヤの声である。

「ロシアのグリセリドというものだ。無論、他にも連れて来るかもしれないが。」

「あの者ですか。性格は少々破綻しておりますが、了解いたしました。場所、

日時については、おって連絡いたします。」

「そうか、それは助かる。まあ、簡単でいいからな。」

それだけ言うとオットーは電話を切った。数日後、グリセリドのもとに一本の

電話がかかってきた。

「もしもし、オットーだが、グリセリド君はいるかな。」

「おう、グリセリドは俺様だが。どうだ、教えてくれるのか。」

「ああ、こちらとしては問題ない。一週間後でどうだ。」

「問題ない。よろしくな、チャオ。」

ガチャ。グリセリドは電話を切った。

「というわけだ、ソフィア君。俺様と一緒に講義を受けんかね。」

「そうね、あんた一人だと何しでかすか分からないから行くわ。」

しぶしぶ了解するソフィア。

「ところでグリセリド。別に何人で押しかけても平気なんでしょ。」

「そりゃあ平気だろう。俺様に任しとけ。」

ソフィアはため息をつく。

「それが一番信用ならんわ。いや、すみれを誘おうかと思って。でも、

こっちに連れてこなきゃ駄目か。軍関係者がこの時期にロシアに足を運ぶのは

難しいか。」

「何を悩んでいるのだソフィア君。これを見るが良い。」

そういってグリセリドはポケットから何かの装置を取り出す。

「何よこれ。」

「よくぞ聞いてくれた。これは瞬間移動装置だ。エスパレスのブラックボックス

を解析して作った代物だ。」

「まじかよ。」

「まじだ。使い方も問題ない。どうだ、問題は解決したか。」

「解決したわ。たまには役に立つのね。」

そういってソフィアは電話をかける。

「もしもし、すみれ。突然だけど来週あいている。」

「うん、大丈夫だよ。でもどうして。」

すみれの質問に

「魔法の講義があるんだけど一緒に行かない。」

「うん、分かった。行くよ。これからの戦いに魔法の知識は欠かせないからね。

でも、どうやって行こう。」

「こっちから迎えに行くから大丈夫。またその時電話するから。じゃあね。」

「うん、じゃあね。」

そう言って会話を終える二人。

「誰からの電話だ」

何気なく坂井が聞く。坂井、岩本、すみれの三人はちょうどファミレスで

食事をしていた。

「ソフィアちゃんからなんですけど来週、魔法の講義を受けないかと

誘われたんです。」

「魔法か。今後のことを考えて知っておいてもいいかもしれない。」

と岩本が言う。

「勉強苦手なんだよな。っても言ってらんないか。よし、俺も行くぞ。」

「本当ですか、坂井さん、岩本さん。ではそのように連絡しておきますね。」

そう言うとすみれはソフィアにメールを送った。一週間後、

「ハローすみれ、待った?」

「ううん、待ってないよ。それより本当に瞬間移動できるんだね。」

「まあ、あの変態もたまには役に立つって言うことね。」

ソフィアはそういってけらけらと笑った。

そして一週間後。

「では、日本人ご一行様、ご案内します。」

ソフィアは瞬間移動装置のスイッチを押した。次の瞬間、目の前に現れたのは

研究室らしき場所だった。

「ここはどこだ。」

岩本が鋭い眼光を光らせる。

「ここね、ここは、あの変態の研究室よ。」

ソフィアが説明する。

「変態とは何だね、ソフィア君。俺様のことをうらやむ気持ちは分かるが、

この天才に向かって変態とは。」

グリセリドは少し憤慨したような口調で言う。

「いや事実じゃん。」

ソフィアが言い返す。

「女の嫉妬は見苦しいデス、ソフィア。」

オメガが横槍を入れる。

「うるさいわね、バラすわよ。ポンコツ。」

睨みつけるソフィア。オメガは何もいわずその場から消えた。そんなやりとりが

行われてからしばらくするとマヤが現れた。

「待ち合わせ時刻だ。準備はいいか。」

マヤのきびきびとした声が響く。

「俺様はいつでもいいぞ。」

グリセリドが答える。

「そうか。では講義を受けるものは、この魔方陣に乗れ。」

マヤはそういうと床に巨大な魔方陣を引いた。言われるままグリセリド以下

全員が乗る。

「では行くぞ。」

マヤの一声に呼応するかのように魔方陣から光があふれ彼らは目的地に移動した。移動先はどこかの学校のようだった。

「ここで講義を行うのか、まるで学校だな」

岩本が感想を言う。それもそのはず。そのフロアーには黒板があり、その上には

時計があるからだ。

「まあ、授業なのだからいいだろう。席は自由だ。席に着いたら教科書を

配るからな。」

皆が思い思いの席に着く。グリセリドは一番前の席、坂井が一番後ろという風に。

「席は決まったようだな。では教科書を配るぞ。」

マヤはそういうと教科書を配った。

教科書の名前は『たのしいまほう』

開いてみると全部ひらがなで書いてあった。

「これはエスパレスの小学一年生が最初に習う授業だ。まあ、お前らなら

読めばわかるだろう。よってこれより自習だ。三十分後にまた来るから

質問があったら、そのときに聞くように。」

そういってマヤは部屋から出て行った。

「やる気なしだな、あいつ。」

坂井が愚痴をこぼす。

「これだから凡人は駄目なのだ。」

「じゃあ、お前はガキ向けの本で何か得られるのか。」

「もちろんだ凡人よ。ここにはどんな魔法も集中とイメージが重要と書いてある。さらに魔法は過程をとばして結果を出しているものだということがな。」

グリセリドが自信たっぷりに言う。だが坂井は教科書を枕にしていた。

「つまり過程をひとつひとつ積み重ねる科学と結果としては

変わらないということか。」

岩本が冷静に言う。

「イグザクトリー。科学でできることは魔法でもできる。また魔法で

できることは科学でもできるのだ。貴様、あそこで寝ている凡人とは出来が

違うな。」

「じゃあ、あの韓国を取り囲んでいる黒いカーテンも付け入る隙は

ありそうですね。」

とすみれ。

「ああ、可能だろうな。おそらく魔法は結果を具現化するプログラムなのだろう。ならプログラムを解析して割り込めばいい。あの黒いカーテンも具現化している

以上、なんかしらレーダーのようなものを出しているはず。なら探知機

のようなものを使えばいい。」

岩本は何かを確信したようである。 

「そういえばさ、グリセリド。あの石版はどうするの。」

ソフィアが何気なく聞く。

「ふっ、そうだな。そろそろ解読してやらんといかんだろうな。」

もったいぶるグリセリド。

「でもコピーするのを忘れたのにどうするの」

「確かに半分くらいしか覚えていないからな。」

二人がそんな話をしていると岩本が

「石版ってこれのことか」

そう言って石版のコピーを見せる。

「おお、まさにこれだ。やるではないか凡人。ようし、では早速この解読書を

使って読もうではないか」

グリセリドが意気揚々と解読を始める。

数分後、

「そういやさグリセリド。あんた、その解読書を解読できたの。」

ソフィアが何気なく聞く。

「いや、まだだが。」

「じゃあ無理じゃん。」

しばらく沈黙が流れる。

「ぬおおお、しまった。これでは解読ができないではないか。この天才、

一生の不覚。灯台下暗しとはまさにこのこと。」

嘆き悲しむグリセリド。

「このあほんだら。ちゃんと仕事せんかい。」

ソフィアが大声で怒鳴り散らす。

「何を言っているソフィア君。俺様は忙しくてな。解読している時間が

なかったのだよ。」

「ふうん、そういうことにしておくわ。」

数分後、

「どうだ、お前ら。勉強は捗っているか」

マヤが教室に帰ってきた。

「まあ、ね。ところでマヤさん。エスパレスの技術力でこれを解読することは

できない。」

ソフィアが石版のコピーを見せる。

「これはわれわれも解析中の奴だ。」

マヤが答える。

「そうか。じゃあこの俺様が手に入れた解読書で翻訳したバージョンはどうだ。」

グリセリドがラピステレスでもらった解読書で石版の文字を訳した文章を見せる。

「どれどれ、貸してみろ。」

解読された文を見るマヤ。

「おい、この解読書をどこで手に入れた。」

マヤがグリセリドに強い口調でたずねる。

「ラピステレスにいた美女にだ。」

グリセリドが答える。

「ラピステレス・・・か。聞いたことがあるな。ただ御伽噺の世界でだがな。

まあ一応は解読はできた。だが、内容がな。こんな内容のために軍を

駆り立てたのか。わが国は。」

マヤはため息をついている。

「どんな内容なんだ。」

岩本が聞く。

「ばかばかしすぎてお話にならないが読むぞ。」

マヤは大きく深呼吸すると読み始めた。

『邪神ロキが降臨したとき、かの地は混沌に見舞われるだろう。火、星、神が

立ち向かうだろうが邪神の前に瞳を閉ざすだろう。だが、案ずるでない。

石を通じた奇跡が彼らを蘇らせ、重なり合った神が邪神の野望をくじくだろう。』

「以上だ。」

室内がシンとなった。

「はっ、あほらし。俺様が頑張った結果が神だの何だのかい。」

グリセリドがあきれ果てる。

「ほんと、バカらしいわね。こんなもんより現実、あの変な結界を破壊する

ほうが先よ。」

ソフィアがため息をつく。

「まあ、前の宇宙の知的生命体が残したんだ。今回の事件とは関係は

ないだろう。」

マヤが自分の見解を述べる。

「う~ん。なんか引っかかりますね。だってロキは北欧神話に登場しますよね。

これって偶然でしょうか。」

すみれが疑問を口にする。

「偶然よ。そういうのを偶然っていうのよ。もしくは昔の人がこれを読んで

パクったのよ。」

ソフィアがすみれの疑問を一蹴する。

「そ、そうですね。偶然ですよね。」

ソフィアに押されてすみれは自分の意見を引っ込める。

「まあ、とりあえず魔法の講義はこれで終わりだ。配布した教科書で各々

勉強しておくように。では解散。」

こうして魔法の講義は、ほぼ自習で終了した。その様子を水晶を使って

観察している二人の女性。

「姉さん、ついに解読が終わりましたね。」

「ええ、今度こそ倒せるかもしれないわね。期待しましょう。彼らに。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ