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領土奪還戦争  作者: マンチカン
最終章 すべての解決
93/105

久々の再開

「ここが地上かあ。一度来て見たかったんだよね。」

魔方陣から出て大きく伸びをするセリア。

続いてタナトスが出てくる。

「セリアさん、姿隠してくださいよ。地上の人に見られてますよ。」

突然あらわれた純白の羽を持つ天使に街行く人の視線がセリアに集中する。

「あっ、そうね。」

慌て始めるセリア。

「セリアさん。もう遅いです。なので翼だけでも隠してください。」

「そ、そうね。ありがと、タナトスちゃん。」

セリアの背中の翼が徐々に消えていく。

「これにて一件落着。じゃあ散策しようか。」

そう言って目の前の赤信号を渡ろうとするセリア。

目の前を猛スピードで車が通り過ぎる。

「何なの、あれは。」

「あれは車という乗り物です。あと信号無視はやめてくださいね。」

「信号って何?」

セリアの思わぬ質問に虚を突かれるタナトス。

「ごめんなさい、私の説明不足です。信号とはあれです。」

そういってタナトスは指をさす。ふむふむとうなずくセリア。その様子を

面白がって撮影する周りの人々。

「そしてあれが赤のときは横断歩道を渡っちゃ駄目ですよ。

横断歩道っていうのは目の前にあるしましま模様のことです。あと青のときは

渡っていいんですよ」

「飛べばいいじゃん。」

「ここでは我慢してください。とりあえず手つなぎましょう。」

そう言って手を差し出すタナトス。

「ありがと、タナトスちゃん。ごめんね迷惑ばかりで。」

「いえ、セリアさん。可能な限り私がエスコートします。地上は初めて

でしょうから。」

二人は再び街を歩き出す。洋服を見たり、喫茶店で休憩したり。

やがて日が落ちてあたりも暗くなってきた。

「こんなとこにも道があるんだ。いってみようよ。」

と路地裏に入るセリア。

「セリアさん。そういう所は入らないほうがいいです。」

と注意しつつもついていくタナトス。ずんずんと前に進んでいくセリア。

「こんな陰気臭い場所、何の為にあるのかしらね。」

「陰気臭い場所で悪かったな。お嬢さん。」

どこからか声が聞こえる。

「まずいですよセリアさん。悪い人たちに見つかっちゃいましたよ。」

あたりには複数の男たちがいる。なかには金属バットを持っているのも

何人かいる。

「そうだよ、お嬢さん。こ~んな陰気臭いところを歩いていると悪い人たちに

見つかっちゃうよ。」

「それって俺たちのことかい」

「ぎゃはははは、そりゃあそうだ。」

下品に笑う男たち。

「おうおう、この二人よくみると超可愛いじゃん。」

「どれどれ、おおっ、ちょっとちょっと、これはかなりのものですよ。」

「お嬢さんたち、これから俺たちと遊ばない。何時にお家に帰れるかは

知らないけどな。」

ぎゃはははは、とまたしても笑い出す男たち。

「お断りします。私たち急いでいますので。」

セリアの前に立ち男たちの誘いを拒否するタナトス。

「いいねいいね、そういう気の強い女。俺まじタイプだわ。服従するまで

痛みつけるのが俺の趣味でよ。」

「嫌な趣味ですね。悪いのは顔だけではなかったということですね。」

挑発するタナトス。

「タナトスちゃん。挑発はまずいんじゃない。」

「やっぱりまずかったかな。」

タナトスは少し後悔するが後の祭りだった。

「この女、言わせておけば調子こきやがって。」

逆上した男がタナトスの平手打ちを浴びせる。

タナトスは吹き飛ばされ男たちの群れの前に横たわった。

「タナトスちゃん!」

セリアの叫び声があたりに響く。セリアがタナトスのもとに向かって

駆け寄ろうとしたが男に捕まってしまった。

「お友達のところにいかせないよ。」

といいながら男はセリアを羽交い絞めにする。

「なかなかいいサンドバッグじゃねえか。さあてどんな鳴き声がするのかな。」

男の一人がこぶしに息を吐き

「じゃあ、一発かましますか。一発ぐらいは耐えてくれよなお嬢さん。」

「そこまでにするんだな下衆ども。」

後ろから男の腕をつかむ一人の女性。

「なんだてめーは。まずはてめーがサンドバッグになるか。ってうぎゃああああ」

腕をひねり挙げる女性。男の悲鳴が響き渡る。

「あ、マヤさん。助けに来てくれたんですか。」

タナトスが久しぶりの再開に喜ぶ。

「全く、何か声がすると思って行ってみればタナトス、お前か。

まったく情けない。」

マヤはため息をつく。そしてタナトスをおこす。

「ありがとうございます。マヤさん。」

「礼は後だ。まずはこの現状を打破する。私から一歩も離れるな。」

そう言ってマヤはタナトスの前に立ち男たちを一睨みし

「痛い思いしたくなければここから消えるんだな。」

と言う。

「なめやがって、この女!」

男たちがマヤに襲い掛かってくる。

「ふう、愚か者が」

数十秒後、そこにはマヤに叩きのめされた男たちの山ができていた。

「全く、これだから愚か者は困る。」

マヤの圧倒的な強さの前に怯える男たち。すでに数人の男は逃げ出していた。

金属バットを持った一人の男が無謀にもマヤに襲い掛かる。次の瞬間、

男は目を疑った。自分の持つバットがきれいさっぱりに切断されていたのだ。

カランカランと甲高い音をたてて切断されたバットが地面に落ちる。

炎に包まれた剣を持っているマヤが目の前には立っている。男は腰を抜かして

その場で凍り付いてしまった。マヤはセリアを捕まえている男のほうを見て

「女を放すか死ぬか、好きなほうを選べ。」

と詰め寄る。

「こ、この女の命がどうなってもいいのか」

男は震えながらセリアを強く締め上げる。小物らしい台詞だな。そう思いながら

マヤはまた溜息を一つついた。そして指先を少し動かす。男の頭上から火柱が

男に直撃し、その熱で男は気を失った。

「すごい」

セリアは思わずそう言葉を漏らした。

「ありがとうございます、マヤさん。」

タナトスに続いてセリアも

「あ、ありがとうございました。」

「無事ならまあいい。二人ともなんで姿を現していたんだ。現さなければこんな

目にあわなかったのだが。」

マヤに言われて口を閉ざす二人。

「まあいい、今日はもう遅い。私の家に来い。」

マヤに連れられて歩く二人。やがてマヤが住んでいるアパートに着いた。

「もしかしてマヤさん。」

「当然、不法入国だ。文句はあるか」

じろりとタナトスに睨みを効かすマヤ。

「いえ、無いです。」

縮こまるタナトスであった。しばらく歓談した後

「あ、そうそうマヤさん。お土産買ってきたんですよ。」

そういってタナトスはポシェットから何かを取り出した。

「なんだそれは」

「イヤリングです。レムリアンクリスタルという珍しい宝石で

できているんです。」

「ほう、きれいだな。早速つけてみてもいいか。」

「どうぞ。」

鏡の前に行きタナトスからの土産をつけるマヤ。

「どうだ、似合うか。」

「素敵ですマヤさん。やっぱり私の目に狂いは無かった。」

「調子に乗りすぎだぞタナトス。」

「あれ、タナトスちゃんはつけないの」

セリアがイヤリングをつけるように促す。

「私はいいです。」

「そっか、残念。」

少し残念がるセリア。

「ところでタナトス。今日で別行動は終了だからな。」


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