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領土奪還戦争  作者: マンチカン
第三章 揺れる世界
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月面基地攻撃

月面基地にたどり着きオットーに言われたとおり攻撃の知らせをしたマヤ。そして月面基地での戦いが始まる。

「ここを制圧すれば敵組織は壊滅する。」

とマヤ。

「覚悟しなさいよタヌキ星人。」

レベッカの指先から編み出される白く光る術式魔方陣。魔方陣の外周には

複雑な摩訶不思議な紋様が刻まれており、そして回転している。魔方陣の

中央が強く輝きエネルギーが集中する。

「エストレージャ・シン!」

レベッカの叫び声とともに魔方陣の中央から強力な魔力が爆発を起こし

アラスト星人の基地の一つを消し飛ばす。

「はあああああ!」

マヤが炎翼を全開に広げると羽の一つ一つが意思を持ったかのように動き、

がれきに隠れているアラスト星人に向かい的確に撃ち抜く。基地の中央を

めがけてわき目も振らず疾走する二人。一方、倒し損ねたアラスト星人は二人を

めがけて発砲する。緑や青の光の線が不全方向から襲い掛かるが魔方陣が

レーザーをはね返す。レベッカはフルマギカジャケット弾を両手の銃から

撃ち出す。呪文が彫られた弾丸がアラスト星人のシールドに命中すると

シールドはガラスに石が当たったかのように砕けちり、そのままアラスト星人を

撃ち抜く。マヤは炎をまとった剣で目にも留まらぬ早さでアラスト星人に近づき、シールドもろともぶった切る。

「おらおらおらおら。」

レベッカが自分の周囲に作り出した複数の光の球が次々と撃ち込まれ施設を

容赦なく破壊していく。だがアラスト星人の数は一向に減らない。二人の前には

数十ものアラスト星人が立ちふさがっている。

「ったく。どこから沸いてくるのよ。こいつらは。これで黙らせてやるわ」

レベッカが両手を挙げて目も眩むくらいまぶしい光球を作りアラスト星人の

群れに向かって撃とうと手から離れたとき、急激に球は小さくなって

消えてしまった。

「なにっ、消えた。」

レベッカは困惑した表情になる。

「これは非常にまずい状況だ。レベッカ。」

レベッカがマヤに目を向ける。マヤの翼がみるみる薄くなり、そして消失した。

「アンチマジックフィールドか。やられたわ。」

「それだけではない。周りも囲まれている。」

背中合わせの二人を中心にして隙間無くアラスト星人が銃口を向けている。

「魔法シールドも使えないわよね。」

「ああ、残念だが。」

どこか突破できるところは無いか。マヤは周囲を見わたす。しかし、

どこにもない。生きて帰ることは絶望的だ。

「虫けらにしては頑張るではないか。我らアラスト星人をここまで追い込む

とはなあ。でもここまでだな。貴様らはここで死ぬのだ。」

二人の目の前に映像が現れ、そこには二人をあざ笑うアラスト星人の親玉

らしきものが二人に話しかけた。

「ふざけるな。我々はまだ死なない。」

マヤが怒りの声をぶつける。

「この状況で何を言うか。どう控えめに見ても貴様らは原形をとどめないくらい

穴だらけになるのが見えているではないか。」

「黙れ」

マヤは映像に剣を向ける。

「そんなちゃちなもので何かできるとでも。」

「うるさいわね。あんたも高みの見物決めてないで出てきなさいよ。」

レベッカも怒りをむき出しにする。

「そんな安っぽい挑発に乗る余ではないわ。者ども。奴らを撃ち殺せ。

いや気が済むまで撃ち込め。」

無数の銃口が向けられる。ここまでか。ここまでね。無意識のうちに

背中合わせの二人は互いの手を握る。二人が死を覚悟したとき基地全体

が激しく揺れ同時に上から天井の一部が、がらがらと落ちてくる。

「ごほっごほっ。何事だ。」

「危ない、マヤ。」

レベッカがマヤを抱え込み、そのまま押し倒す。と同時に二人に強い衝撃が走る。よく見ると先ほどマヤがいたところに巨大な足らしきものがそびえ立っていた。

正体はカムイの足だった。レベッカの助けがなかったらと思うとマヤは

冷や汗をかいた。状況がつかめないのはアラスト星人も同じようだった。

二人に銃を向けるのをやめ、落ちてくる瓦礫を必死に避けていた。

「いっちょう暴れるか。」

コックピットで坂井が叫ぶと、目の前のアラスト星人の集団に向かって

蹴りをかます。一発のけりで数十のアラスト星人を吹き飛ばす。カムイに

向かって全方位から色とりどりのレーザーが撃ち込まれる。だが、カムイは

そのような物をものともしない。逆に尻尾を振り回しアラスト星人を蹴散らす。

「坂井、お前は突っ込みすぎだ。代われ。」

「分かったよ、岩本。」

カムイのパイロットが入れ替わる。カムイは腰の辺りから銃を取り出す。

右手と左手にそれぞれ一丁ずつ。

「戦いの基本はアウトレンジだ。行くぞ、タヌキ。本物の戦いを教えてやろう。」

カムイは両手を一杯に広げ引き金を引く。それぞれの銃口から吐き出された

弾丸はアラスト星人の陣営を壊滅させていく。さらにカムイはその場を中心に

回転しながら休まず銃を撃ちまくる。

「なんなのよ。あの化け物は。」

レベッカが愚痴をもらす。

「あれは日本の巨大ロボットだ。」

マヤがレベッカに説明する。

「じゃあ敵ではないのね。美女のピンチにヒーローが登場なんて王道よね。

それにマヤ。翼が復活しているわよ。」

マヤが背中を見ると炎の翼は元通りになっていた。

「これは幸運だ。先ほどの出来事でアンチマジックフィールドが壊れたみたい

だな。よし、レベッカ捕まれ。」

そういってマヤはレベッカに手を差し出す。レベッカはマヤの手に捕まる。

「では行くぞ。」

マヤは翼を広げて穴の開いた天井に向かう。

「エアフィールド」

レベッカが呪文を唱えると二人の周りに空気の膜が覆った。

「宇宙に空気ないの忘れちゃだめよ。」

「そうだったな、感謝する。」

そのまま二人は基地を脱出する。基地内において戦いは続いていた。

「きりがないな。いったいタヌキは何匹いるんだ」

「まったくだ。どこかにタヌキ製造装置でもあるかもしれない。」

カムイは基地の奥に向かって進む。しばらくすると広場に出る。

「これは一体。」

岩本が固まる。周りには巨大な試験管があり、試験管の中にはアラスト星人が

入っている。

「ふふふ、ばれてしまったか。」

どこからか声が聞こえる。

「誰だ、姿を見せろ」

坂井が大声で叫ぶ。すると巨大なアラスト星人が姿を見せる。

「この通りアラスト星人はすべて私のクローンだ。そして私はアラスト星から

追い出された科学者だ。」

「奴らの性格はすべて貴様の性格だという事か。」

岩本が尋ねる。

「そうだ。そして私の忠実な僕だ。彼らの働きは素晴らしかった。

私を追い出したアラスト星をはじめ幾つもの星を滅ぼした。」

「貴様、自分の星も滅ぼしたのか。」

坂井が怒りで肩を震わせる。

「当たり前だろう。この私を認めなかったのだからな。無能なものなど

生きていても仕方がないだろう。」

「追い出された理由など聞くまでもなかったな。そのような独善が認められる

わけがない。だが、そこまで堕ちた相手なら何の気兼ねもなく戦える。

この世に言い残すことはないか。」

岩本がひどく冷たく言い放つ。

「私のバックアップは別の場所に保存してある。私の死後、それが発動することになっている。」

「だって。どうする、坂井。」

「その度に叩き潰せばいいだけだろ。」

「では決定だな。」

カムイの口にエネルギーが集中する。そして砲撃。その一撃で培養施設を

丸ごと吹き飛ばした。アラスト星人の親玉が何か悲鳴を上げたが圧倒的な砲撃の前にかき消された。


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