表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
領土奪還戦争  作者: マンチカン
第三章 揺れる世界
77/105

米国への奇襲

ロサンゼルスのコンサート会場は今日も熱気に包まれていた。疲れを知らない

SOMY製のボーカロイド『音々』が空中投影ディスプレイに映し出され、元気に

歌い踊る。数千人のファンたちがサイリウムを片手に彼女の音楽に合わせて

声援を送る。その上空。突如、円盤型の飛行物体が空一面を覆った。その中でも

とりわけ大きい一つの円盤のシャッターらしき部分がゆっくりと開く。

スクランブル発進した米軍の戦闘機が円盤群に対し急行する。

「君たちはいったい何者だ。これは許可を得ての行為か。」

一人のパイロットが円盤群に対し対話を試みる。だが、その試みは失敗に終わった。

円盤の一つが、その戦闘機に対しレーザー砲らしきものを撃ち戦闘機を撃ち落した。

これをうけた米国は即非常事態宣言を出し、本土の陸空海軍をロサンゼルスに

集結させた。F―35ライトニングⅡや無人攻撃兵器などである。各戦闘機から

対空ミサイルが円盤群に向かって発射される。しかしびくともしない。

逆に円盤から発射されるレーザーに次々と撃ち落される。その間も巨大円盤の

シャッターはゆっくりと開き続けている。米軍をあざ笑うかのように。

第3艦隊の改ロサンゼルス級からトマホークをによる援護射撃が巨大円盤に命中。

だが傷一つ付かない。ついに巨大円盤のシャッターが完全に開いた。

そこから現れた巨大な砲門。そこから淡い緑色のビームが発射される。ビームが

地上に到達した瞬間、巨大な爆発がロサンゼルス全域の人、建物、集結していた

戦闘機群を飲み込み粉砕する。

「どうですか大統領。返事は決まりましたかな。」

アラスト星人がジョージ・ルーズベルト大統領に連絡を入れる。

「どういうつもりだ。今の攻撃で無実の人間が何人死んだと思っているんだ。」

「知性の欠片もないくせに文明を持った気になっている虫けらの命など

知ったことではない。それよりどうするのだ」

ルーズベルト大統領を明らかに見下すアラスト星人。

「期限はまだ、半年以上もあるではないか。」

ルーズベルト大統領は期限はまだ来ていないと抗議する。

「そんな目くじらを立てるな大統領。これは単なる我々の力の一部を見せる

デモンストレーションにすぎない。ちょっとしたショーではないか。」

アラスト星人はルーズベルト大統領の抗議を黙殺し冷笑する。

「ふざけるな。貴様は命を何だと思っているのだ。我々アメリカは世界の

警察としてこの星を守る義務がある。決して貴様らの思い通りになると思うな。」

激高したルーズベルト大統領がアラスト星人に食ってかかる。

「では君らの選択は決まったわけだな。我々と戦うと。」

「当たり前だ。この星を貴様らに奪われるわけにはいかない。」

「虫けらごときが星を守るとは笑止千万。自らの無力さも知らずに。

まあいい。やはり、原始的な連中はその程度ってことだな。」

そう言ってアラスト星人は一方的に交信を遮断する。

「大統領、よろしいのですね。」

補佐官が心配そうにルーズベルト大統領に尋ねる。

「ああ、遅かれ早かれ結果は同じだろう。今夜、緊急記者会見を開く。手配を頼む。」

「分かりました大統領。」

その夜、ルーズベルト大統領から緊急会見が行われるということで

ホワイトハウス前には世界中のマスコミで賑わっている。そこへルーズベルト大統領が登場する。矢継ぎ早に質問するマスコミを大統領は制止する。あたりが静かになると

大統領は話し始めた。

「皆さん、ロサンゼルスで起きた事件はすでにご存知かと思います。

この事件で亡くなった方にこの場を借りて哀悼の意を表します。今回、

ロサンゼルスを襲ったものは地球外生命体である事が情報部の調べで判明しました。

この攻撃を受けわが国は全世界に展開している米軍を本国に帰還させ、この悪魔を

迎え撃つことを決定しました。皆さん、多くの不安もあるでしょう。

でも心配は要らない。なぜなら今まで、アメリカは多くの戦いを行ってきた。

今度の戦いは特に厳しいものとなるだろう。だが我々はそのたびに勝利を

収めてきたではないか。」

USA!USA!あたりから歓声が起こる。歓声の渦の中、大統領の演説は続く。

「ありがとう、みなさん。本当にありがとう。皆さんの応援が最前線で未知の脅威と戦っている兵士達にとって何より心強いものとなるでしょう。そして、

それが勝利への近道となるだろう。そして彼らに教えてやるのだ。

正義は必ず勝つということを」

歓声はさらに大きくなる。今、全米が一つになった瞬間である。

2028年6月1日


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ