戦闘ロボとパイロット
防衛省統合兵器開発部に呼ばれた飛鳥は野外実験所に案内され我が目を疑う現実に
出逢った。
「な、なんですかこれは。」
あまりの巨大な建造物に飛鳥は度肝を抜かれる。
「対ロシア決戦兵器です。名前はカムイと呼びます。」
対ジークフリード兵器開発リーダーの本田が答える。
「どういった武装があるのですか」
飛鳥の質問に
「そうですね。ロボットの両眼からはレーザー砲、口からはコロナプラズマ砲、
手の指先からはフィンガーミサイル、足の指先からはフットミサイルが
装備されております。腹部からは超高圧電流、しっぽも振り回すことにより相手に
強力なダメージが与えることができます。」
本田が丁寧に答えるが、聞いた飛鳥は
「す、すごいですね。」
と答えるだけだった。それだけこの巨大な建造物に圧倒されたのであった。
「まだまだ武装はありますが、それはこのへんで。こいつはパワーも500万馬力
あるのですが、マッハ5で飛行ができ、走力はマッハ2、泳力はマッハ0.5と
スピードも抜群です。あと潜るのも得意でして最高深度は一万メートルであります。」
飛鳥はため息混じりに
「ほとんど化物ですね。」
「まあ、見た目も怪獣ですし。いかがでしょう大臣。」
「す、すごいですね。これでロシアのデカブツもなんとかなりそうですね。」
「ええ、スクラップにして見せます。」
と本田は自信たっぷりと答えた。
ロボットを開発中、パイロットの選定も大急ぎで行われていた。
パイロットは二人乗り。操縦桿を握り、敵と直接交戦するメインパイロットと
それを支援するサブパイロットだ。メインのほうは空軍のパイロットから、
サブパイロットは後方支援から選定された。その結果、坂井健一と霧島すみれが
選定された。防衛省野外実験場に呼ばれた二人は、あまりに巨大な物体に圧倒され
初めは声も出なかった。
「あの、俺たちでこいつを操縦するんですか。」
坂井の質問に開発チーフの本田が、
「そうだ。君達ならできる。」
自信ありげに答える。
「こんなでかいの、ただの的だろ」
「大丈夫だ、坂井。こいつの装甲はロシアのロボットより強固だ。」
「あの、訓練にかかる時間はどのくらいですか」
すみれの問いに
「二人はそれぞれこのベッドに寝てもらう。これはスリープエデュケーション装置
といい、君らの睡眠中にカムイの操縦方法や戦闘訓練などを脳に直接記憶させる
ことが可能だ。これを一週間ほど続ければ君らの能力を実戦レベルまでに
引き上げることが可能だろう。」
「大体分かりました。それにしても、すごい装置があるんですね。」
それから、二人はカムイの訓練を受けた。
ロシアとの戦いに勝つために。
2028年5月8日




