恐るべしロシアの破壊ロボ
「ほほう、ぞろぞろと現れたな。ガラクタが。おおかたミサイルあたりでこの
ジークフリードを木っ端微塵にしようと考えているのだろうが無駄なことを。」
グリセリドの眼下、すなわち日本の領海内にはいくつかの戦艦が集まっていた。
「ときにソフィア君。君の友人はどうなっているのかな。」
「問題ないわ、グリセリド。骨抜きにしておいたわ。あんなのちょろいもんよ。」
「ははははは。それでこそ、この天才の右腕。おっ、撃って来るみたいだぞ。」
ジークフリードに向かってミサイルが打ち込まれる。激しい爆音とともに
ジークフリードが炎と煙に包みこまれる。やがて視界が晴れると、そこには無傷の
ジークフリードがあった。
「どうしたどうした。メイドインジャパンはその程度なのか。かすり傷一つ
付いていないではないか。」
回線を通じてグリセリドの高笑いが自衛隊の作戦本部にも伝わる。
「おい、びくともしていないぞ。どうなっているんだあれは。」
霧島海上幕僚長が部下に尋ねる。
「信じられません。あのミサイルは重量が一トン、最高速度マッハ5ですよ。
まともに受ければ空母ですらかなりの損害が出ます。」
なんだ、あの怪物は。あんなのがロシアにはあるのか。霧島の不安をよそに
グリセリドの挑発が続く。
「はいはーい、日本のみなちゃん。もうおしまいでちゅか。僕ちゃん、このとおり
元気でちゅ。」
くそ、このマッドサイエンティストめ。
「レーザー砲、プラズマ砲を発射せよ。」
霧島の命令を受け、戦艦からジークフリードに向かってレーザー砲、プラズマ砲が
一斉掃射される。その時だった。攻撃があたる直前、ジークフリードの目の前に
、光の壁らしきものが現れ、すべての攻撃を反射した。
「シールドを装備しているのか。あのでかぶつは。」
霧島はおもわずそう叫んだ。
その声が回線を通じてグリセリドたちにも聞こえたらしく、
「ご名答ですわ。き・り・し・ま・さん。
ご褒美にキスでもしてあげようかしら。冗談よ冗談。怒らないで。それより
どうしようかしら。私たちいっぱい攻撃受けちゃったのよね。反撃しちゃおうかな。
さてと、どういたぶろうかしら。5分だけ考えさせてね。お・じ・さん。」
くっ、完全に遊ばれている。しかも時間は五分しかない。どうすれば。霧島の焦りに
対して時間は無常に過ぎていく。
「あと三分♪。カップめんにお湯入れよっと。」
通信先からはテンションの高い声が聞こえる。霧島は決心した。
「全艦に告ぐ。撤退せよ。」
霧島の命令で艦隊が引き返す。その様子を足を操縦席に投げ出して見ていた
グリセリドは
「なんだつまらん。この程度なのか日本軍の力は。」
「なんか期待して損したわ。早く帰ってシャワー浴びよっと。」
そういってソフィアは帰り支度を始める。再び回線を繋いだグリセリドは
「日本の諸君。貴様らの挑戦はいつでも受けて立つ。それではチャオ。」
それだけいってグリセリドは回線を切断した。
2028年5月1日




