防衛大臣へ報告
ソフィアからもらった例のCDの内容を報告するためにすみれは飛鳥のところに
出向いた。信じてもらえるかしら。異星人が地球侵略を企てていますって、アニメの
世界じゃあるまいし。それに見た目もね。不安をいくつも抱えながらすみれは
大臣室のドアをノックした。
「どうぞ」
と中から声が聞こえた。
「失礼します。」
「お待ちしておりました。霧島さん。どうぞこちらのソファーにおかけになって
ください。」
飛鳥に促されすみれはソファーに腰掛けた。
「今日はどういったご用件でしょう。」
「はい、まずはこれをご覧ください。ホワイトハウスにハッキングしたときに
得られた情報です。」
そういってすみれはCDを再生した。大統領とアラスト星人とのやり取りが
映し出される。
「いかがでしょう」
動画をすべて見終わった飛鳥は額に手を当ててため息をついていた。若干、
肩も震えている。
やばっ、怒らせたかな。すみれに冷や汗が流れる。やがて飛鳥は口を開いた。
「霧島さん。」
「は、はい。」
「あなたはもう少し賢い人かと思っていました。お帰りください。」
飛鳥がすみれを睨み付ける。
「し、失礼しました。」
すみれは逃げるように大臣室を後にした。予想通りなっちゃったか。
ソフィアちゃんごめんね。無理だった。あれを信じろっていうほうが無理よね。
しばらくあそこには近づけないわ。その夜、
「もしもしソフィアちゃん。」
「どうしたのすみれ。」
「ごめん、やっぱり無理だった。大臣怒らせちゃった。」
「あんなの信じろっていうほうが無理だよね。うちだって露米会談がなけりゃ
信じなかったもん。」
「本当にごめんね。」
「いいよいいよ。すみれは悪くない。違う手を考えよ。」
「ありがとうソフィアちゃん。じゃあまたね。」
2028年4月22日




