中国の焦り
「張国防部部長、北海艦隊司令の劉国清から連絡です。」
張は秘書から電話受け取ると
「様子はどうなっているのだ、劉司令。」
「大変申し上げにくいのですが、我が北海艦隊は空母を一隻残し全滅しました。」
張は一瞬言葉を失ったが、すぐに気を取り直して
「全滅・・・だと。新武装があったではないか」
「はい。たしかにレーザー兵器は無効化するのに成功しました。しかし日本軍は
さらなる新兵器を投入してきました。」
張は黙り込んでしまった。日本軍の兵器開発スピードが驚異的なのは張が一番
良く知っていた。だが一年もしないうちに新兵器を実践に投入してくることは
張でさえ予想できなかったのだ。
「あの、もしもし、張部長。聞こえておりますでしょうか」
劉の問いかけにはっと気を取り戻し
「いや、大丈夫だ。ただ国家主席にどう報告するかを考えていたところだ。
ところで日本軍は現在どうしている。」
その問いに劉は
「現在、沖縄に向かって進軍しております。しかし、陸軍がどこまで持つでしょうか」
劉の質問に対し張は
「分からん。日本軍最初の陸上戦だ。ただ、ここを食い止めないと
まずいことになる。」
張がそう言うと
「そうですね。あとは陸軍次第ですね。それではまた何かあったら報告します。」
劉はそういい電話を切った。電話の後、張は重い足取りで周国家主席のところに
行き、事の経過を報告した。張の報告を聞いた周は
言葉を失った。沈黙がしばらく続いた後周は一言
「沖縄は死守しろ。ここで敗れれば中国は持たない。」
とだけ告げ張の元を立ち去った。一人残された張はしばらく呆然としていたが、
まだ負けが決まったわけではないと自分に言い聞かせ本部に戻っていった。
2028年2月21日




