新兵器、新戦略
「東郷艦長。きらぼし、あかつきの配置転換終了しました。」
「分かった。これより我が艦隊は反撃に入る。新兵器四重極型誘導コイル式
プラズマ砲の使用を許可する。」
「あかつき、きらぼしプラズマ砲を準備せよ」
オペレーターがあかつき、きらぼし両戦艦に指示を出す。
「こちらあかつき、了解しました。」
「こちらきらぼし、了解しました。」
すぐさま両戦艦のオペレーターから返事が来た。すると東郷は
「発射のタイミング、目標はそちらに任せる。よろしく頼むぞ。」
と両戦艦に指示を出した。続いて東郷は、はつゆき、ゆうぎりの回線につなぎ
「はつゆき、ゆうぎき。両艦隊のレーザー砲を同じ目標に同時発射は可能か」
先に返事が届いたのはゆうぎり側だった。
「ゆうぎり艦長の姫島です。東郷艦長の策を試してみる価値はあります。
しかし反射される恐れも考えられますので反射先を計算した上で行います。
従って計算結果によっては艦隊の再配置をお願いすることもあるかと思いますが
よろしいでしょうか。」
東郷は少し海の様子を見て
「分かった。後は君に任せるよ。」
「承知いたしました。では早速はつゆきと共に準備に移ります。」
これでよし、効果の有無はともかく今後の参考になるだろう。
「東郷艦長、あかつき、きらぼしから連絡あり。プラズマ砲準備完了。
これから発射するするとのことです。」
オペレーターの報告に東郷は
「よし、後は結果待ちだ。良い報告を期待している。」
と一言いい席についた。
場所は変わってあかつき艦内。
「プラズマ砲、エネルギー充填完了。システムオールグリーン。いつでも発射可能。」
あかつき艦内のオペレーターの声が艦内に響き渡る。艦長である設楽が
「よし、プラズマ砲発射せよ。」
「了解、プラズマ砲発射。」
発射スイッチが押されるとあかつきから紫電を帯びた電撃状のプラズマが一直線に
鏡面加工された中国戦艦に直撃。そして爆音。火災。どてっぱらをぶち抜かれた
戦艦は轟音を上げながら海の底に消えていった。
「設楽艦長、目標命中。そして撃沈確認しました。」
オペレーターの興奮したような報告を受け、
「了解した。それでは攻撃を続けろ」
「了解。」
この戦果は東郷の元にすぐに届けられた。
「そうかプラズマ砲が功を奏したか。それはよかった。」
東郷はほっと胸をなでおろし大きく深呼吸して席に着いた。朗報はこれだけに
とどまらなかった。あかつきの攻撃につづいてきらぼしからのプラズマ砲が
中国艦隊に襲いかかる。攻撃を受けた中国艦隊はなすすべもなく海の底に沈んでいく。プラズマ砲が大活躍している中ゆうぎり艦長の姫島は少し複雑な気持ちで眺めていた。
「あれが新兵器の力か。とんでもないな。もうレーザーはお払い箱か。なあ青木。」
はつゆきの艦長である青木は
「かもしれんな。だが我々の仕事も残っている。準備はいいか姫島。」
「問題ない。互いのレーザー砲を一箇所にぶつけるだけだろ。互いのオペレーターは
優秀だ。」
ゆうぎり、はつゆきの両戦艦のレーザー砲が一隻の中国戦艦に的を絞った。
そして同じタイミングでレーザー砲が発射され中国戦艦の鏡面加工を襲う。
光が共鳴し威力を数倍に高まったレーザー砲が敵艦のシールドを溶かし勢いを
保ったままその戦艦を貫いた。激しい爆音とともにその艦は沈んだ。その戦果は
すぐさま東郷に届けられた。
「よし、ダブルレーザー砲攻撃が敵のシールドを粉砕したか。このまま攻撃を
続けろ。」
プラズマ砲とダブルレーザー砲攻撃により戦況は一気に日本側に傾き中国側は
空母を除きすべての艦隊を失った。もうこの頃には中国側の艦載機もすべ
て失っており空母はもはやその機能を完全に失っていた。
2028年2月20日




