火星に行きたい
ここは防衛省のとある会議室。兵器開発に関わる5人が終結して会議を行っていた。
大島、高樹、本田、霧島そして長澤である。その会議の途中で高樹が突然
「みんな、火星に行きたくないか」
と聞いてきたのである。衛星兵器に関わっている高樹が宇宙に興味を持つのは
ごく自然のことだが他の四人には宇宙にあまり縁がない。
「高樹、意味が分からん。順を追って説明してくれ」
大島が高樹に質問をした。
「それは失礼した。火星に行く最大の目的は国威発揚と中ロに対するけん制だ。
そして俺らの力を試したいというのもある。」
「高樹さん、火星に向けた有人宇宙船はアメリカがすでに二ヶ月ほど前に
出発していますよね。」
長澤の質問に対して
「その宇宙船を我々が追い抜けばよいだけだ。」
「さすがに無理じゃね。俺らがその船を仮に半年で完成させたとして相手は
八ヶ月のリードがあるぜ。出発する前に相手が火星に到着するだろ。」
「そうですね。救世主さんにでも頼まなきゃ無理ですよ。」
そう発言した後、すみれはしまったと思った。あのメールの内容は他言無用
だったからだ。
「もしかしてあの亡国の救世主とかいうハンドルネームのやつ。」
本田の質問に
「なんだ、本田もそのメール着ていたのか。俺もだ。」
大島がいう。
「私もよ。あのメールが無ければここまでの進歩はなかったわ。」
長澤も観念したように告白した。
「でもメールの主は私たちの味方なのかしら」
「ロシアの二足歩行兵器も彼らが絡んでいくかもしれないな。」
高樹が言う。
「彼らが俺たちをもてあそんでいることも否定はできないか。ならこっちも
もてあそんでやるか」
高樹の言葉に
「面白そうね。軍事的なことなら彼らは協力してくれるから適当な理由で彼らの
技術を吸収してしまいましょう。」
長澤が強気に応じる。
「でもどうやるんです結衣先輩。」
すみれの質問に
「今まで通りでいいのよ基本。ただ今までは他言無用になっている情報がこれからは
共有できる。この五人のみで。」
そういうと長澤は不敵な笑みを浮かべた。
「宇宙船自体は設計さえできれば2週間ほどで完成する。」
本田が自信たっぷりに答えた。
「その自信はどこからくるんだよ」
大島ツッコミに対して本田は
「海自の兵装は基本巨大だからな。大きいものを造るのは得意だ。我々の
ファクトリーオートメーション技術は空母を二週間で建造することができる。
宇宙船はそれより小型だからな。問題ない。」
「ならば可能だな。ではやるぞ。有人火星探査船の開発を」
高樹の一言にみな
おう!
と拳を天に向けた。
2027年10月11日




