薄れゆく意識の中で
い、痛い。それに少し寒い。ここで死ぬのかな私。恋の一つくらいしたかったな。
あ~あ。なんか眠くなってきちゃったな。少しぐらいならいいよね。
「だめよ。眠っては。」
だれ。空耳かな。
「生きるのを諦めては駄目よ。早く起きなさい。」
空耳にしては偉そうね。姿くらい見たいわね。
「それもそうね」
また空耳が聞こえたかと思うと目の前がまばゆい光に包まれ声の主らしき姿が現れた。
女性らしい。髪の色はプラチナブロンドでロングヘアだ。顔は光のせいでよく
分からない。
「あなたは誰?」
すみれの質問に
「いずれ分かりますよ。それより起きなさい」
「よく分からないけど、あなたの言うとおりにするわ。」
次の瞬間また暗闇が襲ってきて再び目の前が明るくなった。先ほどの明るさとは違う。
あたりを見わたすと病院らしい。
「おはよう、すみれちゃん」
「おはようございます。結衣先輩。ここは」
「自衛隊病院よ。ほんとよかったわ。撃たれたって聞いたときはどうなるかと
思ったわ」
長澤の目は少し腫れている。
「結衣先輩、私、少し不思議な夢を見ました」
「どんな夢?」
すみれは空耳のこと、不思議な人物についての話を長澤に話した。
2027年9月20日




