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領土奪還戦争  作者: マンチカン
第二章 アジアの両雄激突
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つかぬ間の休日

青い空。白い砂浜。空には数羽のとんびが悠々と空を飛んでいる。

砂浜には男4人と女二人が歩いている。男たちはバーべキュセットをこしらえている。

「この辺でいいんじゃねえ」

坂井が少しだるそうにしていると

「そうね、この辺にしますか」

と長澤はぺたんと砂浜に腰を着けた。

「ふう、歩くだけで疲れちゃいました。」

とすみれは光る汗をぬぐいながら肉やら野菜やらを砂浜に置き、

長澤の隣に座った。35度を超える炎天下の中である。普段あまり運動をしない

二人にはこの暑さは堪えるようであった。

「情けねえな、修行が足りんぞ二人とも」

カッカッカと笑っている坂井に対して

「あんたね、このくそ暑い中なんでそんな元気なのよ」

「普段の訓練に比べりゃ大したことねえな」

こう見えても彼らは自衛隊員だ。砂漠で戦闘機が不時着したときを想定して暑さに

対する訓練もしているのだ。この程度ではびくともしない。

「長澤さんの水着姿を見るのってはじめてかも」

「まっ、高校卒業以来だからね」

と笹井に対し長澤が答えると坂井が

「その胸じゃあな」

と言い出したので

「悪かったわね、小さくて。すみれちゃんはいいわね。おっきくて。モテるでしょ」

と羨望の眼差しを彼女に向けた。すみれは顔を真っ赤にして手を顔の前で振りながら

「そんなことないですよ。」

謙遜していると

「そうだ坂井、失礼だぞ。女性は胸ではない」

「そうよね、岩本君。坂井も見習いなさいよ、岩本君のこと。」

「くびれだ」

長澤の鉄拳が岩本のおでこにクリーンヒットした。

「いたいじゃないか」

「うるさい、このむっつり変態バカスケベ。」

いい大人たちが騒いでいる中すみれは肉をビニール袋から取りだし両手で抱えて

歩いていた。空から悪魔が近づいてくるのも気が付かずに。

「ほら、あんた達すみれちゃんを見習いなさい。あの真摯な姿を」

その時、黒い物体が空から降ってきたかと思うと次の瞬間にはいなくなっていた。

抱えていた肉とともに。空を見上げてみると一羽のとんびが肉を持っていた。

「岩本、ライフルは」

「残念だ。持っていない。」

「もう、これじゃ野菜パーティーよ」

彼らのつかぬ間の休日はとんびによって肉なしのバーベキューとなった。

         2027年8月20日


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