本土攻撃
次の日俺らは光州空軍基地に向かった。完全に韓国領土内に乗り込むのだ。
韓国軍は全部でおよそ1千機の戦闘機があったが、いまでは400機前後までに
なっていた。領空内に入るのは先日、前線基地を叩いておいたおかげですんなり
入れた。途中、いくつかの戦闘機に出くわしたが主砲をレーザーにしている
俺たちの敵ではなかった。戦闘で分かったことだがこの機体は反則的に強いのだ。
まず雷電には広範囲索敵レーダーである小型グレイスレーダーと
近距離警戒レーダーが備わっている。前者は半径200キロを索敵するもので
後者は半径5キロを警戒し敵の様子をリアルタイムで映し出すものだ。
そして移された画像をロックオンしてスイッチ押せばレーザーがぶっ飛んで
敵さんに当たるというわけだ。初陣で俺はそのことにすっかり忘れて機関砲ばかり
撃っていたから苦戦していたのであった。だがレーザーにも欠点はある。
それはパワー不足であり破壊力そのものは機関砲に分があるわけで頑強な敵には
こちらを使う。俺らがガンガン敵を落とし空の領域を広げその後ハヤブサが
どんどんMk82を基地に投下する。敵の地対空ミサイルが俺に向かっていくつも
飛んできたが、雷電に装備されている自動迎撃レーザー砲がビシバシ撃ち落とした。
念入りな空爆を行うにつれて地上からの攻撃も少なくなってきた。この攻撃は
韓国全域の軍事施設に渡り、韓国を窮地に追いやっていった。そして8月11日に
日本政府は韓国政府に無条件降伏を要求した。
「パク大統領、日本政府が無条件降伏を要求してきています。いかがいたしましょう」
外交通商部長官のキム・ヘンパクは真っ青な顔で大統領に詰め寄った。
彼の焦り具合は相当なものである。彼は中露との会談で相互防衛を約束された
ものだと信じていた。もし再び日本と戦争になっても彼らが助けてくれると
信じていたのだ。だからこそイ元帥の意見を押しのけて大統領に日本に対しての
開戦を持ちかけたのだ。しかし実際には何一つ援助してもらえなかったのだ。
電話を何度かけても通じなかった。嵌められたのだ。
「イ元帥、どう思う。」
「降伏すべきです。日本軍の攻撃によりわが国の戦力は壊滅的打撃を受けました。」
その時だった。外から非常に大きな爆音が響いた。
「何事だ、日本軍の空襲か?」
近くにいる警備員にキム長官が聞くと
「分かりません。ただ、あちらの方向からミサイルのようなものが飛んできました。」
警備員の指差す方角は北朝鮮方面だった。
「まさか」
まさかは本当だった。北朝鮮のラジオ放送から
「本日、偉大なるアン総書記は逆賊国家に対して無慈悲で悲惨な懲罰を与えることを
決定した。そして第一弾の攻撃として逆賊の牙城であるソウルを無慈悲な火力攻撃で
焦土にした。」
と流れた。
「このタイミングで奇襲か。わが国の命運は尽きたようだな。分かった、
降伏しよう。」
「大統領、まだ戦えます。いえ戦うべきです。」
「いやキム長官。我々の負けだ。それに北朝鮮からの攻撃も受けている。
話は変わるがキム長官、中国、ロシアからの援軍の件はどうなっているのかな?」
「そ、それは・・・日本が金をつかませて両国をそそのかしたに決まっています。」
「そうか、やはり日本は邪悪だったか」
大統領はあっさりとキム長官のその場しのぎの口車に乗せられてしまった。これを
目の前で見ていたイ元帥は開いた口がふさがらないでいた。こんな奴らが国の中枢に
いること自体が問題だ。
「ところで大統領、現在わが国は日本、北朝鮮の両国から攻撃を受けているのが
現状です。そしてこれらの脅威に対抗できる武力はもはやありません。
いかがいたしましょう。」
イ元帥の質問に対しパク大統領はしばし考え込んだ後
「日本が休戦したいというなら仕方ない。わが国は日本の提案に乗るまでだ。」
大統領の答えにイ元帥は心底落胆した。




