韓国の奇襲
突如、防衛省内が慌しくなった。韓国からミサイルが発射されたためだ。山本統幕長が
「着弾点はどこだ」
「おそらく東京都内でしょう」
オペレーターからの返事が聞こえた。
「PACー3はどうなっている」
「ただいま整備中であります。」
整備中だと。よりによってこんな時に。
「あ、あと30秒で衝突します。」
30秒だと・・・とてもじゃないが避難命令する時間もない。しかも予想着弾点は
霞ヶ関だ。
「残り20秒!」
多くのものが手のひらを合わせて祈ってる。
「あと10秒、9、8、7」
ここまでなのか・・・
「6、5、・・・あれ、目標消失しました」
皆が一斉に画面に注目した。先ほどまでレーダーに映っていたミサイルが消えた。
プルルルル、プルルルル、突如電話が鳴り響く。
「こちら防衛省朝鮮半島監視チームです。どちら様でしょうか?」
「陸上自衛隊朝霞基地総監の島崎です。ただいま20式戦車によるレールガン砲撃で
ミサイルを撃破いたしました。そちらの被害状況はいかがでしょう?」
「防衛省内、被害は出ていない模様です。」
「それは何よりです。では私はこれで」
電話はここで切れた。危機は去った。ほんの数秒遅れたら霞ヶ関は全滅だった。
しかし被害がなかったわけではなかった。国会議事堂前の交差点にはミサイルの
弾頭が突き刺さり、首都圏のいくつかの駅は破片が屋根を突き破り多くの負傷者が
出た。この事件で氷室は緊急閣僚会議を開き韓国に対し自衛権を発動することを
決定した。そしてこれが坂井たちの初陣となる。




