4月10日 オリエンテーリング1日目
---1年1組---
「えーそれじゃ1間と2間は体育館でオリエンテーリングがあるからな筆記用具だけ持って体育館に行け。んで3間は嬉し恥ずかしの自己紹介タイムだ。名前・趣味・入りたい部活・1年間の目標について語ってもらう。あぁ毎年受け狙おうとする馬鹿がいるが外したら惨めになるだけだからな。いいかこれは振りじゃないぞ。分かったな」
そう言って担任の伊久須先生が教室から出て行った。
俺もさっさと準備していくかと考えていると、荒井がやってきて
「いやーつーかだいきちせんせー之あれってぜってー振りじゃね?」
とぬかしてきたので心やさしい俺は
「んじゃ自己紹介のとき一緒にぼけようぜ」
と言ってやった。
すると荒井は案の定
「いよっしゃ最高のボケを魅せてやるぜ!」
と言って上機嫌に去って行った。
---馬鹿だろあいつ
そう思いつつ俺は教室から出ようとしたら、なぜか2つ前のやつが突っ伏していた。
…こいつ寝不足か?
と思いつつだれも起こそうとしなかったので仕方なく声をかけることにした。
「おーい寝不足なのは大変だろうけど体育館いかないとまずいぜ?」
するとあいつは起き上がりてっきり礼でも言うのかと思いきや
「……うるせーなそれくらいわかってるんだよ」
とすごい目つきで睨みながら何も持たずに言ってしまった。
こっこいつヤのつくあれか!?
と戦々恐々としたが、なぜかハイテンションの荒井が戻ってきて
「ちょお前星羅に話しかけるなんて正気か!?」
とのたまってきた。つうか
「セーラ?」
「いやいやそんな外国の美少女みたいな名前じゃないって。星に羅針盤の羅で星羅。やつの同中のやつが言うには誰ともなれ合わない一匹狼で成績優秀で校内の美化清掃に熱心だったとか!?ってあれ?ここだけ聞くとめちゃくちゃいいやつじゃね?」
「不良なのか優等生なのか判断に困るなおい」
もしかして厨二病こじらせたままここまで来てしまった奴なのか?
「……おい何か妙なこと考えてるんじゃねぇだろうな」
「どうわぁ!?星羅!?」
「ちょっ体育館に言ったんじゃないのかセーラちゃん」
それはお前にも言いてえよ。
「………おい、だれがセーラちゃんだと?」
「あ、やばいつい語感だけで言っちまった。じゃなくてぇ!まっ待て落ち着け話せばわかる。お前が中二病を患っているのは俺としても理解はしてやれるつもりだ。いやお前にとっては中二病ではなく本当のことなのかもしれないが。俺たち人間は言葉を交わすことができる。そう無理に争わなくても話し合いで解決できるんだ。さあその振り上げた手を下して俺と話し合おうじゃないかセーラちゃん!」
…なんか荒井が必死に弁明しようとしているがあれは明らかに火に油を注いでえるだけだろう。
「…おいお前のダチ、少し借りてくぞ」
星羅が人を殺せそうな目で俺に尋ねてきたので、俺はダチを守るためにも---
「おう好きなだけ連れて行ってくれ!」
「ちょおま俺を売るのかよ!」
なんとでも言え。そもそもお前がまいた種だ。自分の体で刈り取ってこい。
「よし荒井とやら覚悟を決めとけよ」
「ぎゃー!」
そのまま星羅は荒井を連れてどこかへ行ってしまった。
荒井よ安らか眠れ。
俺は荒井に黙とうをささげ、体育館へと向かった。
---1年2組---
「…というわけで3時間目は自己紹介をするので皆さん考えておいてください」
そう言い終わると月村先生は教室から出て行った。おそらく職員室に戻るのだろう。
私は準備を手早く済ませると席を立った。そして先ほどから妙な視線をくれている子の元に向かった。
「あの、何か用ですか?」
そう尋ねると彼女---李さんはあわてたように
「あっえっと何でもないです!」
と余計にあわあわしながら危なっかしい足取りで走って行ってしまった。
「あれ?李ちゃんがいない。初ちゃん知らない?」
すると先ほどの李さんの痴態を見ていなかったのかミミちゃんが訪ねてきた。
「李さんなら先ほど体育館に行ってしまいましたけど」
「あれ?そうなんだ。うんじゃあ初ちゃん、私たちもいこっか」
そして私はミミちゃんと死っしょに体育館へと向かった。
---1年1組---
「えーそれでは自己紹介に移る。と言ってもまだ纏まっていない奴もいるだろうし、先に俺がやるからその間に考えとけ」
体育館でのオリエンテーリングが終わり俺たちは教室へと戻ってきた。
そして今は自己紹介の時間というわけだ。
しかし---俺は荒井のほうを向いた
「あいつよく無事ですんだな…」
そうなぜかあいつは怪我ひとつせず無事に戻ってきた。
まぁたぶん見えないところをやられたのだろうが。
「よしそれじゃまずは荒井からだな」
いつの間にか伊久須先生の自己紹介が終わり、荒井の番になっていた。
そういやあいつ最高のボケで魅せるとこ行ってたな…
まぁあいつの滑るところでも拝んでやるかと荒井のほうに体を向けた
「どうもどうもトップバッターを務めさせてもらう荒井慎吾です」
…あいつの下の名前って慎吾だったのか。
4年目にして初めて知ったわりかしどうでもいいことだった。
「趣味は料理で料理クラブに入りたいと思ってまっす。お弁当に乗せてあなたに届けこの想い♡」
ぐぅぉぁぁぁぁ!キモ!キモ過ぎる!あいつ最後にハートつけやがった!
周りを見渡してみると、ドヤ顔の荒井のほかには机に突っ伏して表情が分からない星羅以外は皆一様に気持ち悪さをこらえている様子だった。
荒井てめなに生物兵器なんて使ってんだ!
「ちなみに全部冗談です。本当は…」
「あーもういい荒井は料理クラブ希望な。はい次のやつ」
伊久須先生に決めつけられて荒井があわてたように
「いやちょっと先生これボケなんすけど…」
「次のやつ!」
あくまで伊久須先生に無視されて荒井は目に見えて落ち込んでいた。
自業自得だ馬鹿野郎。
そうして荒井のせいで出だしからアレな感じになった自己紹介は順調に進み、俺の二つ前の星羅の番となった。
「…………」
荒井とかいう奴のせいで妙な空気になったがそれはなかったことにし、ついに俺の出番が来てしまった。
正直俺は別段こいつらとよろしくするつもりはないのでさっさと終わらせることにした。
「…氏名は星羅刀夜、趣味は特になし、入りたい部活も特になし、以上」
簡潔かつスマートに自己紹介を終えた俺はそのまま座ろうとするが、
「あー星羅お前もう少し愛想よく出来んのか?それと鳳仙は全員が何かしらの部活に入らにゃならんのだぞ?」
と大吉が注意してきた。
というか余計な御世話だ。お前らに愛想よくしてればなんかくれんのかよ。
俺は聞こえないふりをし、そのまま机に突っ伏した。
荒井のボケと星羅のまるで他人と関わるのを拒むような態度で教室内が一気に険悪の空気になった。
「…この空気どうすんだよ」
正直この空気の中自己紹介するのは気が重い。
それは前の席のやつも同じなのか顔を青ざめているようだ。
「せっ先生…気分が悪いんで保健室言っていいですか?」
そいつはふらふらと立ちあがると今にも死にそうな声で言った。
…いやちょお前この空気を俺に押し付けるなよ
「ん?あぁ分かった少し横になってろ」
そうしてやつはすでに自己紹介の終わっていた友人に連れられてフェードアウトしていった。
「んじゃ田口がいなくなったから、次は月村な」
田口君がいなくなったので俺の番が回ってきてしまった。
「しょうがないやるしかないか」
俺は覚悟を決めて立ち上がった。
「えっと俺は月村海人、趣味は運動で入りたい部活はまだ決めてません。それから空都という姉と陸都という妹がいますが、別に海軍志望じゃないんで勘違いしないでください。よろしくお願いします」
無難と思われるあいさつの後に自分のことを話すことにより親密感を出させることにした。
「うん?なんだ月村お前月村先生の弟だったのか」
は?大吉のやつ今何て言った?
「姉を知ってるんですか?」
「いや知ってるも何も2組の担任だが」
な!?ほかにクラスの担任なんて興味なかったから見過ごしてた!?
て言うかとなりかよおい!?
「月村先生は新任ながら優秀な方でなーそれに独身の若い男性教師なんかは皆懸想している始末で」
…この学園の若い男性教師の目はそろいもそろって節穴ばっかかよ
俺が空姉えの外面のよさと何よりの驚愕の事実に打ちひしがれている間にも自己紹介が進み、采女さんの番となった。
月村君のお姉さんが隣のクラスの担任と知り驚いているとついに私の番がやってきました。
ここはみんなにひとつお姉さんとしてびしっとやらなくてはいけませんよね!
「みなさんはじめまして、私は采女瑠夏と言います。趣味と言えるかは分かりませんが料理を少し嗜んでいます。入りたい部活に関してですが、今はまだどのような部活があるか分からないので保留とさせていただきたいと思います。それでは皆さんよろしくお願いします」
昨日から練習してきた自己紹介を難なく終わらせ私は席に着きました。
周囲からひときわ大きな拍手が飛んできた驚いてしまいましたが…
---1年2組---
「それでは出席番号の順に自己紹介をしてください」
先ほど月村先生の自己紹介が終わり、今は男子の伊藤君の番だった。
「……というわけで月村先生俺のお姉さんになってください!」
…いやどういうわけさ
男子の自己紹介には興味がなく、聞き逃してしまった。
「えっとさすがに男同士というのは…」
「いやいやいや!弟さんじゃないっすよ!妹さんのほうです!」
「ちょお前自重しろよロリコン!」
「中学生以上はみんなおばさんじゃ!」
あぁなるほどそういうことか。て言うかものすごい失礼なんだけど。
「先生!頭の病院の予約とっときました!」
「よし伊藤救急車がくるまでの辛抱だからな!」
「ちょ待て!俺は正常だぁぁぁぁぁ!」
そうして伊藤君は連れられて行った。
うんまぁ頭の病院で趣向が治るかは分からないけど。
そうこうしているうちにいつの間にか私の番が来てしまった。
…よし大丈夫。
「みなさんはじめまして穂積初音です。料理はいつも私が作っているので趣味と言えると思います。また部活動に関してはこれからの体験期間で決められればと思います。こうして皆さんと同じクラスになれたのですし、お互い切磋琢磨していけたらいいなと思います。それから困ったことがあれば何でも相談してください。よろしくお願いします」
こうして優等生のような自己紹介を終えた。
これでたぶんクラスのみんなも私を頼ってくれるだろう。
…私はだれかに頼られなければ現実にいるのか夢の中なのか分からないから…
そして次はミミちゃんの番となった。
「えっと私は未寅壬美子っていいます!気軽にミミちゃんって呼んでください!えっとそれで趣味はお菓子を食べる事です!料理クラブに入りたいと思います!」
彼女はちっちゃい腕をわたわたさせながら愛くるしい表情で自己紹介を終えた。
…あーこれは癒される
こうしてクラスのみんなはミミちゃんに癒されたのだった。
ミミちゃんの自己紹介が終わると次は私の番だった。
正直何言っていいかわからないので無難に済ませようと思う。
「えっと物部李です。趣味は読書で、部活は今のところ決めていません。よろしくお願いします。」
めっちゃ無難な感じで終わってしまったが今の私にはこれが精いっぱいだ。
そんな感じで全員の自己紹介は終わり、最後のHRに移った。
「まぁそういうことで明日はこちらが指定した班で校内オリエンテーリングをします。」
…ミミちゃんか初音さんがいるといいなぁ
そう思いながら私は帰りに誘ってくれたミミちゃんと一緒に帰宅することとなった。
ちなみに初音さんは用事があるそうでHRが終わるとそのまま帰って行ってしまった。




