プロローグ SIDE 初音
-----ワタシハダレ?
-----ワタシハホントウニワタシナノ?
-----ワカラナイ
-----ワタシハ、ナニヨリモワタシガワカラナイ
「……………ッ!」
-------チュンチュン
「ハァハァ……………夢………か…」
またあの夢を見た。
まるで私が私でなくなって私という存在がこの世から消えてなくなってしまうかのような-----
「…………また見ちゃった」
あの日からこうして毎日のように見る悪夢---
夢と言うにはあまりにもリアルな夢---
もしかしたらあの夢こそが現実で、今のこの現実が夢なのではないか---
「……ぅあーやめやめ、このままじゃ本当にあの悪夢が現実になっちゃうよ」
---カタッ、トントントン
「あれ?お母さんもうお仕事行っちゃったんだ」
机を見るとお母さんの書き置きがあった。
<初ちゃんへ、高校入学おめでとうございます。私はお仕事で入学式に参加することが出来ませんが、今日という日が初ちゃんの人生の輝かしい一日となるよう願っています。
P.S 今日は仕事場に泊まり込むことになると思うので夕食はお隣の陽之坂さんの家に頼んであります。>
「お母さん今日もお仕事か………というかわざわざお隣さんまで行かなくても、私も料理できるんだけど………」
私は苦笑しながら朝食を食べ、お隣さんの家に向かった。
「あら初ちゃんおはよう、そういえば今日から高校生だったっけ」
「おはようございます、鈴音おばさん」
鈴音おばさんと私のお母さんは高校からの親友で、その縁で私も小さい子らから可愛がってもらった。
「うんうん本当に初音ちゃんはお持ち帰りしたくなっちゃうくらい可愛いわねー」
「あははありがとうございます」
鈴音おばさんは無類のかわいい物好きで私も顔を合わせるたびに自分の子にならないかと言われている
「ああそうだ初音ちゃん、葵から聞いてるわよ。今日は遠慮せず食べてってね」
「はい、お世話になります」
その後、少し話をしてから学校へと向かった。
正門の前にはこれからの3年間に思いをはせる多くの新入生たちであふれかえっていた。
その眼には皆一様に未来への希望の色が見えた。
それは今の私にはまぶしすぎて---
---夢と現実の間で揺れ動く私に生きる価値などあるのだろうか。
この高校生活でそれが見つかることを期待しながら学校の正門をくぐった…………




