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35. ◇スキルは生えてくる

 アースリルに戻って『精霊の守護者』と別れた後、俺はいつもの宿屋で休んでいた。


「スキル結晶体を確認しとくか」

『ふひひ! いいスキルはあるかな?』

「……♪」


 簡素なテーブルに手に入れた三つのスキル結晶体を並べた。興味津々といった様子でルゥルリィがそれらを見ている。


 システムカードの簡易鑑定の結果はこんな感じだ。



【従者強化】<スキル結晶体 lv5>

従属関係にある他者の能力を向上させる


【吸命蔦】<スキル結晶体 lv9>

対象の生命を奪う蔦を操る技能。蔦の操作精度と威力が向上

※種族適性によって弱体化


【寄生】<スキル結晶体 lv10>

生命体に寄生し、その身体を自由に操る

※種族適性によって取得不可



「とりあえず、これはいらんな」

『えぇ!? なんでぇ?』


 最優先で【寄生】の結晶体をエルネに変える。ペルフェが抗議の声を上げるが無視だ。


 このスキルをペルフェが取得できるかどうかはわからないが、もし習得できたなら俺が操られてしまう可能性がある。無論、ペルフェが悪用するとは限らないが……必要ないリスクは抱え込まない方が良いだろう。


 ルゥルリィが不気味な瘤から解放された理由もわかったな。俺が【寄生】スキルをドレインしたせいで、瘤の寄生能力が落ちた。その結果、彼女を操ることができなくなったのだろう。そう考えると、寄生生命体にとって天敵かもしれないな、スキルドレインは。


「従者強化か。これは、あまり意味がない……か?」

『従者強化? ジンヤが使うんなら効果はあるんじゃない? ルゥルリィとの契約は、あくまでジンヤが主でルゥルリィが従だよ』

「そうなのか」


 ルゥルリィとは共生契約を結んでいる。だが、お互いに対等な立場かといえばそうでもないらしい。強固な主従関係ではなくとも、あくまで俺からの要請にルゥルリィが従うという形をとる以上、従者強化の対象になるのだとか。


「ペルフェは対象にならないのか?」

『ぼ、僕も対象にはなるよ? なるけど、僕らは対等な相棒だからね! あくまでスキルの効果の話だから、勘違いしないでよね!』

「あ、ああ。もちろんだ」


 ペルフェは相棒という関係にこだわりがあるみたいだが、スキルの効果でいえば、従者強化の対象にはなるようだ。


 まあ、そのこだわりについてとやかく言うつもりはない。ルゥルリィとペルフェが強化されるというのなら、このスキルは俺が習得した方が良いだろう。


 さて、最後のスキルだが――……


「これは【吸命蔦】というスキルなんだが、もしかしてルゥルリィが持っていたスキルか?」


 尋ねると、ルゥルリィはこくりと頷いた。


 やはりか。そうなると、このスキルはルゥルリィに返した方が良いのかもしれない。彼女がここまで縮んだ一因である可能性がある。


「ルゥルリィが使うか?」


 だが、彼女は俺の提案に対して首を横に振る。何故と思っていると、ペルフェがその理由を聞いてくれた。


『ルゥルリィはスキルがなくても能力は使えるんだって。スキルがあった方がうまく扱えるのは確かなんだけど、そのうちスキルも再取得できるだろうから、僕らが使った方がいいんじゃないって』

「なるほど……」


 人間はスキルがないと蔦を操るなんて真似はできないが、ドライアドはスキルなしでも使えるわけか。ドライアドにとって【剣術】スキルのような位置づけになるのかな。


「そういうことならありがたく使わせて貰おう」

「……♪」


 俺が言うと、ルゥルリィは嬉しそうに頷く。何というか、容姿が容姿だけに娘が出来た気分だ。


『で、そのスキルはどうするの? もちろん、僕だよね? 僕が使うんだよね?』

「あぁ、はいはい。どうするかな」

『ジンヤは別のスキルを覚えたろー!』


 スキルを狙ってペルフェが騒ぐ。


 コイツはコイツで子供みたいな奴だ。ソロ活動するつもりだったのに、思いの外賑やかになったものだ。


「まあ、そうだな。ペルフェが使って良いぞ」

『やったー!』


 【吸命蔦】は強力なスキルだが、種族適性の関係で俺が使えば弱体化する。加えて、生命を奪うという点がエナジードレインと役割が被るのだ。何より、ペルフェに拘束能力があればスキルドレインが使いやすくなると判断した。これでますます強化が捗ることだろう。


◆◇◆



 新たなスキル・新たな仲間によって、俺の探索者活動はますます捗った。


 そして、転生してから半年。


「ペルフェ」

『了解! さあ、ルゥルリィ、タイミングを合わせるよ!』

「あい」


 今日もまた、ボス格の魔物からスキル結晶体を奪う。スキルドレインでスキルも充実。いらない結晶体はエルネに変えるので金はかなり貯まった。さすがに借金完済にはまだ遠いが。



名  前:ファントム(偽装)

戦闘職業:盗賊

レベル:20

生命: 453/ 453

マナ: 426/ 426

筋力: 210 魔力: 210

体力: 176 精神: 181

器用: 263 抗力: 176

敏捷: 265 幸運: 263

スキル:

【盗む Lv19】【幻惑 Lv10】

【格闘 Lv17】【剣術 Lv18】

【槌術 Lv9】【杖術 Lv8】

【突撃 Lv10】【鉄壁の構え Lv12】

【跳躍 Lv16】【足捌き Lv17】

【潜伏 Lv9】【▼生命活性 Lv10】

【火魔術 Lv15】【水魔術 Lv15】

【光魔術 Lv11】【闇魔術 Lv14】

【土魔術 Lv13】【▼念動 Lv8】

【▼獣力解放 Lv15】【▼咆哮 Lv14】

【解錠 Lv8】【罠解除 Lv9】

【従者強化 Lv5】【毒耐性 Lv9】

【▼渇水耐性 Lv7】

特性:

【痛覚耐性++】【頑強+】

【状態異常耐性++】【精密動作+】

【魔術威力UP+】


 俺だけじゃなく、精霊の守護者も順調に活躍している。驚いたのは、疾風爪牙だ。アイリとレイナが離脱した直後は調子を落としたようだが、そのまま落ちぶれるというようなことはなかった。精霊の守護者の活躍と比べると一段劣るが、それでも同期探索者としてはトップクラスの稼ぎだとか。


 アイリとレイナの離脱に思うところがあったのか、コウヘイとキョウヤは心を入れ替えて奮起したらしい。少し前に、リュウトが嬉しそうに教えてくれた。


 だが――……

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