21. ◆戦果の確認
巨猿を倒して数日、『疾風爪牙』への加入についてはひとまず保留ということになっている。これに関しては俺から申し出た。
もともとの目的であった他の探索者の実力調査を果たしたという理由もあるが、何よりも彼らだけで話し合った方が良いと思ってのことだ。俺という部外者が関われば話が拗れかねない。最終的に決裂するとしても、彼らだけで結論を出した方が良い。
まあ、関わりを持った以上、彼らのことは気にしておくつもりだ。助けが必要そうなら手を差し伸べればいい。変に心配をかけるのも良くないので、これからは“ジンヤ”としてもギルドに顔を出すことにしよう。
さて、人のことを心配するのもいいが、自分のことも考えなければならない。人よりも余計に借金を抱えているのだ。そろそろ、金策についても考えていかなければならない。
と、その前に、お楽しみの物を確認しよう。実はまだ、巨猿討伐で得たアイテムをちゃんと確認していなかったのだ。
取得物はクレアテ結晶体とドロップアイテムの装備、そして、青い結晶体が五つだ。クレアテ結晶体は取っておいても仕方がないので、すぐにチャージした。一つで50000エルネ。正直、これだけで美味しい。
ドロップアイテムは、巨猿の腕を彷彿とさせるような白いガントレット。手の甲と腕を護る防具だ。指部分に覆いはないのでドレイン系のアーツを使うにも不自由はない。その上、性能もなかなかのものだ。
【白鬼長の籠手】
◆分類◆
防具・腕装備(標準)
◆防御性能◆
物理防御:D 魔法防御:F
◆特殊効果◆
格闘技能の威力が上昇する
筋力が上昇する
物理防御Dもありがたいが、何より特殊効果が良さげだ。ドレイン系のアーツを使う関係で格闘技能が上昇するのだが、武器なしでは十分なダメージを与えることができなかった。この籠手があれば有効なダメージソースになる可能性がある。
スキルドレインで取得した青い結晶体はというと、やはりスキル関係のアイテムだったらしい。システムカードによって判明したざっくりとした説明では、こんな感じだ。
【咆哮】<スキル結晶体 Lv9>
叫び声に様々な特殊効果を乗せる
※種族適性によって弱体化
【格闘】<スキル結晶体 Lv8>
格闘技能の威力・判定にプラス補正
【跳躍】<スキル結晶体 Lv9>
跳躍力が上昇し、着地時の体勢が安定する
【鬼猿の腕】<スキル結晶体 Lv11>
鬼猿が用いる腕技
※種族適性によって取得不可
【生命活性】<スキル結晶体 Lv5>
生命および肉体的な状態異常の回復速度が僅かに上昇する
※種族適性によって弱体化
一部のスキルは効果が弱体化する上、【鬼猿の腕】については取得できないようだ。まあ、問題はない。種族特有のスキルが使用できないことは予測できた。結晶体は無駄になるかもしれないが、そもそも敵のスキルを恒久的に封じることができるというだけでもアーツの性能としては十分に強力だ。
「さて、早速使ってみるか」
まずは、自分が取得しておらず、種族適性も問題のない【跳躍】の結晶体を使ってみる。使い方は簡単で手に持った状態でスキル取得を念じればいいだけだ。すると、青い結晶体は粉々に砕けて、淡い光を残して消えた。
「おお、これはすごいな!」
システムカードを確認すると、取得スキルの一覧に【跳躍 Lv9】が増えている。いきなりレベル9だ。かなり効率が良い。
次に【格闘】の結晶体を使ってみるとするか。俺の【格闘】スキルはレベル9。すでに結晶体のレベル8よりも高い。こういった場合、結晶体を使うことに意味があるのかどうかという検証の意味もある。
「お、レベルが上がったな。使う意味はあるのか」
使用後、【格闘】のスキルレベルが10になっていた。確定レベル1上昇……だったら無限にレベルを上げられるのでさすがに強すぎるか。スキルにも内部的に経験値のようなものがあり、それが合算されるのかもしれない。その辺りは、もう少しデータが集まらないと何とも言えないな。
その後、【咆哮】、【生命活性】の結晶体を使って、それらのスキルも取得した。種族適性によって効果が弱体化するらしいが、スキルレベル自体は結晶体のレベルと同じとなっている。
「さて、こいつはどうするか?」
残る【鬼猿の腕】のスキル結晶体はどうすべきか。ゲームならば不要品は売却すればいいのだが、ドロップ品でもないのでギルドで買い取ってもらうことができるかどうか。そもそも、出所を聞かれると面倒なので他の人間への売却は考えたくない。と、なればだ。
「色は違うが見た目は似ているし……いけるか?」
試しにスキル結晶体を手にして、システムカードへのチャージを念じる。すると、クレアテ結晶体と同様に透けるように消えてなくなった。カードの方の所持エルネもちゃんと増えている。増額分は23000エルネ。巨猿自身のクレアテ結晶体の半分ほどだが、かなり大きい。
「これは、スキルドレインを狙わない手はないな」
スキル取得ができる上に、不要なスキル結晶体はエルネへと換金できる。まるで損がない以上、積極的に狙った方がいい。
ネックとなるのはマナの消費量だ。大きく消費するため乱発はできない。先日の戦いのように、補給源がおまけで付いてくることは珍しいのだ。有用なスキルを得るためには、できれば強敵に使った方がいいだろう。
「となると、やはり狩り場を移すか」
『疾風爪牙』と関わる前から考えていたことだが、そろそろもっと上の狩り場を目指しても良い頃だろう。
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名 前:ファントム(偽装)
戦闘職業:盗賊
レベル:10
生命: 269/ 269
マナ: 253/ 253
筋力: 125 魔力: 125
体力: 104 精神: 107
器用: 156 抗力: 104
敏捷: 157 幸運: 156
スキル:
【盗む Lv10】【幻惑 Lv4】
【格闘 Lv10】【剣術 Lv8】
【跳躍 Lv9】【▼生命活性 Lv5】
【火魔術 Lv7】【水魔術 Lv8】
【闇魔術 Lv5】【▼咆哮 Lv9】
【解錠 Lv4】【罠解除 Lv5】
特性:
【痛覚耐性++】【頑強+】
【状態異常耐性++】【精密動作+】
【魔術威力UP+】




