13. ◇一か月の成果とちょっとした試み
エルネマインに転生して、一ヶ月が経過した。
この間、俺は単独で行動している。セプテトも言っていたが、変に目立つとチート気味な能力がバレてしまう恐れがある。転生者にバレるのも問題だが、それで騒ぎになって神に知られてしまうことが怖い。最悪、BANだってあり得るのだ。慎重にならざるを得ない。
それでも、ダンジョン探索に手こずるようなら、どこかのパーティに潜り込むことを検討するつもりであったが、幸いなことに今のところ単独での活動で十分にやれている。
俺の狩場は、主に転生初日に訪れた、あの白猿の森だ。どうも、不人気の狩場らしく他の探索者と鉢合わせになることがほとんどないのだ。おかげで、人目を気にせずにアーツを使うことができる。レベリングも捗るというものだ。
名 前:ファントム(偽装)
戦闘職業:盗賊
レベル:10
生命: 266/ 266
マナ: 249/ 249
筋力: 123 魔力: 123
体力: 103 精神: 106
器用: 154 抗力: 103
敏捷: 155 幸運: 154
スキル:
【盗む Lv10】【幻惑 Lv4】
【格闘 Lv9】【剣術 Lv7】
【火魔術 Lv6】【水魔術 Lv7】
【闇魔術 Lv4】【解錠 Lv4】
【罠解除 Lv5】
特性:
【痛覚耐性++】【頑強+】
【状態異常耐性++】【精密動作+】
【魔術威力UP+】
レベルは10に上がった。転生一ヶ月目としては頑張っている方だと思うのだが、あまり人に近づかないようにしているため、未だに他の転生者との比較ができていない。
名前は、相変わらず“ミツカイ・セプテト”のまま。もちろん、決済するときには名前を偽装している。黒外套に白面の怪人スタイルの場合には“ファントム”、一般転生者を装うときには“ジンヤ”だ。
もっとも、俺は大半の時間をダンジョンで過ごしている。戦闘中は怪人スタイルであるし、ドロップアイテムを売却するときも同様なので、“ジンヤ”の名前を使う機会はほとんど……というか全くないのだが。
今の所持エルネは45万ほど。初日こそドロップアイテムを得られなかったが、以後はそれなりの確率で拾えたのでぼちぼち稼げている。運良く白猿の毛皮を拾えれば、一つで2000エルネほどの収入だ。なかなか美味しい。
まあ、一ヶ月で45万ではまだまだ借金返済には遠い。しかも、俺の借金は1億460万エルネまで膨れあがっている。特におかしなことではない。ダンジョン探索者にとって装備品とは極めて重要。借金をしてでも、良い装備を揃えるのは重要なのだ。決して――決して無駄遣いではない。
まあ、実際のところ、購入したアイテムは首飾りひとつなのだが。5000万エルネしたが、その価値は十分にあったと断言できる。
【インベントリ・チャーム】
◆分類◆
防具・装飾品(軽装)
◆防御性能◆
なし
◆特殊効果◆
特殊空間にアイテムをしまえる。(効果小)
インベントリ・チャームは、身につけている間、インベントリ能力が扱えるようになる首飾りだ。防御性能は皆無だが、ゲームのように物の出し入れが自由にできる。単独行動だと運べる荷物には限りがあるので、非常に助かる機能だ。この首飾りを入手する前はドロップアイテムが増えるといちいち街へ売りに戻っていたが、入手後はその必要もなくなった。
といっても、出し入れできるアイテムは限定されるようだが。装備や魔物のドロップは出し入れできるが、石ころや昼食のサンドイッチは収納できなかった。正確な基準は把握できていないが、ダンジョンでの獲得物は基本的に収納できるので今のところ困ってはいない。
宝箱も幾つか見つけた。使えそうだったのはこの三つか。
【白鉄の長剣】
◆分類◆
武器・剣(長剣)
◆攻撃性能◆
物理補正:E
【灰蜥蜴の革鎧】
◆分類◆
防具・体装備(標準)
◆防御性能◆
物理防御:F 魔法防御:F
【祈りの指輪】
◆分類◆
防具・装飾品(軽装)
◆防御性能◆
魔法防御:F
◆特殊効果◆
精神がわずかにアップ
白鉄の長剣は剣術スキルを育てるために、時々使っている。だが、エナジードレインとマナドレインは直接相手に触れないと発動しないため、メインウエポンとしては使いづらい。現状では攻撃を防ぐ盾のような用途で使っている。
灰蜥蜴の革鎧は宵闇の外套と同じく体装備。ゲームであれば、どちらか片方しか装備できないのだろうが、今のところ両方同時に着用できている。この状態で両方の防御性能が十全に発揮されているかどうかは未確認だ。
祈りの指輪は、他に装備するものがないので、とりあえず身につけている。特殊効果で精神がアップするらしいが、主に法術を使う際に参照される能力なので俺にはあまり意味がない。
白猿の森での探索活動は極めて順調。とはいえ、若干の物足りなさはある。レベルも上がったことで、白猿の森に出現する魔物はすでに格下と言える。危険はないが、刺激もない。率直に言えば、少々飽きてきた。
安全を重視して同じ場所での探索を繰り返してきたが、そろそろ場所を変えるのもいいかもしれない。手強い魔物ほどドロップするクレアテ結晶体は良質になる。収入面を考えても、ステップアップの時期だ。
「だが、その前に、少しどこかのパーティに潜り込んでみるか」
魔物を倒して能力は成長している。しかし、他に比較対象がいないので、あまり成長の実感がないのだ。情報収集もかねて、他の探索者の状況も把握しておきたい。
さすがに、いつもの怪人スタイルでパーティに加入するつもりはない。パーティに所属するのは、あくまで一時的なこと。他の転生者の情報を探った後には、自然と行方をくらますつもりでいる。それには怪人スタイルだと目立ちすぎる。
幸いなことに、俺には幻惑スキルがある。普段から仮面をしているせいで、顔も知られていない。仮面と外套を外し、カード情報を偽装すれば、別人として潜り込むこともできるだろう。




