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二人暮らし?

ようやく物語が始まるかも?

コンビニから10分ほど歩いて僕の自宅アパートに到着した。

3階建てのアパートで僕の部屋は2階にある。

「お、お邪魔します…。」

未央はガタガタ震えていた。

緊張のせいなのか、寒いからなのかは分からないが。

「どうぞ。風邪ひいちゃうからシャワー浴びてきな。着替え置いとくから。」

未央は浴室に向かい、僕も着替えて朝ごはんの支度を始めた。

料理が得意ではない僕は、ご飯とベーコンエッグ、インスタントの味噌汁、納豆、昨日スーパーで買ってきた煮物と手抜き料理を並べる。


しばらくすると、ドライヤーの音が聞こえ始めた。

やがて、未央がジャージを着てお待たせ、と入ってきた。

高校生の時着ていた僕のジャージだ。

紺色のそれは、未央には大きすぎてなんか可愛かった。

未央が食卓に着き、いただきますを言う。

未央も、袖をまくって食べ始める。

1人じゃない食卓はとても久しぶりだった。

ただ、お互い緊張してなかなか会話が弾まずテレビで流れるニュース番組の音声だけが聞こえる。

ご飯は15分ほどで食べ終えた。

ごちそうさまをして僕は食器をシンクに持っていき、未央は布巾で台を拭く。

僕はスポンジに洗剤をつけて皿を洗う。

辺りにオレンジの香りが漂う。

ぼーっと未央の方を見ていると、何か鼻歌が聞こえてきた。

「秀くん、どうかしたの?」

と声が聞こえる。

いつの間にか、未央はこっちを見て不思議そうな顔をしている。

「ん、何でもないよ。拭き終わったら布巾こっち持ってきて。」

と誤魔化すと、はーい、と返事が返ってきた。


食事を終え、時計は8時を指している。

今日は10時半から練習がある。

基本、練習は1日2回ある。

朝練習と本練習と僕は呼んでいる。

「今日10時半から練習あるから留守番頼んでいいか?」

と聞くと、

「私も一緒に行きたい!」

と言われた。

特に困ることでもないので練習に一緒に行くことになった。

時間になり、グラウンドに向かう。

練習は15分ほど補強をやったあとにジョグという内容。

補強を終え、ジョグを始める。

400mトラックの外側を大きく周る600mほどのコースをひたすら走り続ける。

いつもは外に行ってさぼるところだが、今日は未央がいるし、箱根を走ると未央に誓った。

こうやって走るのもずいぶん久しぶりな気がした。

周回コースで走っている僕は、次々に後ろから抜かされていき、あっという間に離されていく。

つい半年前は僕もこんな風に走れたのにな、と考えてしまう。

それが悔しくて悔しくて仕方がなかった。


結局その日は70分走った。

練習が終わり監督に挨拶する。

ただおつかれ、とだけ言われ視線をそらされる。

去年の夏のあの1件からこの調子だ。

もう慣れたけど。

「未央、練習終わったから帰ろ!」

と未央を呼び、元気よくかけてくる。


「これからどうするんだ?ずっと公園っていうわけにもいかないでしょ。」

未央はうーんっと考えるしぐさをする。

そして、

()()に箱根駅伝を目標に頑張るって言ってくれたし、ここに住もうかな。」

と、無邪気に笑いながら言った。

「え、ちょ…なんでそうなるんだよ。」

急に決められると困る。

アルバイトできないから、仕送りだけで足りるか分からない。

大体、未成年を家に連れ込んだら犯罪じゃなかったか?

あ、でも死んでるとどうなるんだろう。

などと、頭がフル稼働して思考が巡る。

そして長考した末に出た結論は、

「一緒に目指すといった以上、ここに住むか?」

だった。

話し相手がいない寂しい日常を変えられるなら良いかなと。

第一、二人で目指すならなるべく一緒にいる時間は長い方がいいと思ったのだ。

「え?冗談だったのに。」

と未央は本気で驚いていたが、どこかうれしそうだった。

「これからよろしく未央。」

「よろしくお願いします、秀くん。」

握手を交わす。



箱根駅伝予選会まであと9か月半。

本選まであと362日。

こうして奇妙な二人暮らしが始まった。






次回もお楽しみに。

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