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原初のネクロマンサー〜いかにして死霊術は生まれ、いかにして魔王は生まれたか〜  作者: 犬型大


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正義はどこにある4

「さあな。村の方の経緯は分からないがコイツらは自ら襲撃して返り討ちにされた。目的がなんにしても行いは正しくなく、その報いを受けたわけだな」


 ブラウたちの話の内容やこれまで見た記憶からクリャウがスケルトンと関わりがあって、スケルトンは村の壊滅と関わりがありそうなことは分かっている。

 ただ復讐するにしても自らの手を汚して襲い掛かればそれは褒められた行いではなくなってしまう。


 復讐する気持ちは分かるがブラウたちが返り討ちにされてしまったのならそれは自業自得となるのだ。

 ブラウは最終的にスケルトンに殺された。


 人の死も衝撃なのだが、スケルトンの肩越しに見えたクリャウの悲しそうな目も忘れられそうにない。


「何が起きてるんですか……?」


「分からない。だがスケルトンはただの異常個体ではなさそうだ。クリャウという少年が関わっているようだな」


「加えて魔族まで関わっているんですよね? もしかしたら魔族の仕業……あるいはそのクリャウという子も魔族の可能性はないですかね?」


「ないこともないが……」


 魔族が何かをした可能性は排除できるものではない。

 けれどもクリャウの身体的特徴を見る限り魔族には見えない。


 人と魔族が協力することなどまずあり得ないことで、クリャウがどうして魔族と一緒にいるのかも疑問である。

 追いかけるほどに疑問が深まる。


「何も確定的なことはない」


 そもそも村を襲ったスケルトンがクリャウと一緒にいるスケルトンであるということも確実ではない。

 あくまでも人の骨という見た目なのでそこから個体差を見抜くのは至難の業である。


「ただ……タビロホ村は一見ただの片田舎の小さな村のようだがあまり良いところではなかったのかもしれないな」


「もうほとんどの方死んでしまいましたし調べるのも難しいね……」


「どうする? ここでやめるか?」


「ウィグリーンはどう思いますか?」


「ここにきて俺に振るか……」


 これまで何を言っても調査を続けてきたリシアも流石に迷っている。

 調べた先に納得のいく結果があるのか不安なのだ。


「帰ってもいい。だが調べるなら付き合おう。これはお前が始めたことだ。やるにもやらないにもお前が責任を持って判断しろ」


「うぅ……」


 ここまできたらウィグリーンもクリャウのことは気になっていた。

 ただリシアが調査を打ち切るのならそれでもいいと思っている。


「……調べられるだけ調べてみましょう。とりあえずこちらの方に移動していることは分かったので。スケルトンがこの先で何か行動を起こしているのならタビロホ村周辺でスケルトンに注意することもないでしょう」


「そうか、なら移動しよう。ここは魔物が多い」


「そうですね。はぁ……厄介なこと首突っ込んじゃった……」


「昔からそうだからな」

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