トニカク入学!
……ここは、どこ?
話しかけようとしても通じない。う~う~としかならない。
――わかっていたはずなのに。
おねえちゃん、あなたはだれ……?
すると、声が降ってきた。
――わたしはマリ—よ、よろしくね。
インドうまれの神様【仏】は、マリー・アームストロング氏のお腹から、こうして現代によみがえったのでした。
穂戸田健太郎はもう七つになっていました。「そろそろ入学ね……」横たわる健太郎の背中をさすりながら、マリーはつぶやきました。
マリーは、こんな名前ですが、一応日本人なのです。差別のなくなってきた世の中ですが、まだまだ差別とやらはのこっており、
「あんた、外国人にしては肌が白いねぇ」
なんてよくいわれます。
健太郎はそれがいやでした。
子供ながらにそう思ったものさ――。そう、いずれかは話す時が来るとは、まだ知らずにね。
「お母さんは、日本人なんだよ!」
国語のはじめてのじゅぎょうは、「じこしょうかいをしよう」でした。穂戸田健太郎君の出番は4番目でした。
「ぼく、あだちくんのすけ。もうそろそろたんじょう日だよ」
と、1番の訓之介くん、
「ぼく、ほそのさおり。ぼくっていうけど女の子だよ」
小さな差別の虚を突いたように、自慢なのか自虐なのか到底わからない話をひろうするさおりさんに、
「おれか? ショーマだよ。父親がもうすぐムショから戻ってくんだ。あんな豚箱、いたくないぜ」
悪ガキショーマ君。この3人のあとが、健太郎君の出番です。
担任の若い男のセンセは、「ここまで個性が割れてるのは初めて受け持ったかもしれない」と思っていました。その決め手に健太郎はなったのです。
「僕のお母さんは、マリー。外国の人みたいな名前かもしれないけれど、一応は日本人だからねっ!」――。
どうでしたか? 面白かったでしょうか。そうだったら幸いです。続きが気になるよ! という方。もうそろそろ次の原稿が完成すると思われますので、しばしお待ちを!
……学校時代、こんなカオスだったっけなぁ(笑)




