伝説の子と奇跡の子
汝 うたえ 我がために。
汝 語らえ 彼とともに。
汝 のぞめ 己がままに。
追う声が追われる背に届く間に
二つを結んで鏡に注げ。
光一つなら影二つ。
光二つなら影一つ。
「詠唱魔法な影一つ昔の魔術、とっくに失われてるわよ。」
――ハルモス辺境領の片隅にある農村。そこからさらに外れた森の中、麗若い……ように見える魔女の住む屋敷、
「やっぱり詠唱魔法ってのがあるんだな!でもババアでも分かららないって何時代だよ。」
―― 誰も近づかない不気味な屋敷に毎日通う一人の少年の物語。
「転生暦の紀元前よ。今の魔法体系は転生者様によってもたらされた技術なの。
それ以前の魔法は詠唱呪文を用いたものだったわ。大荷物でやってきたと思ったら。突然詠唱魔法だなんて。そんなのいつ知ったのよ。」
―ー転生紀1023年。一人の男の功績が遠い昔のお伽話になった頃、
「俺、今日が魔法検定だったんだ。それで声をかけて貰った精霊がさ、教えてくれたんだ。来年の精霊月が満月になるまでに詠唱魔法を使えるようになったら契約してやるって、音魔道士の俺が精霊魔道士になれるんだよ。」
― 無詠唱による魔法が常識となった世界で、
「絶対に習得して村の奴らを見返してやるんだ。だからさ、教えてくれよ詠唱魔法!」
― 失われた記憶が甦る魔法の物語。
「悪いことは言わないわ、諦めなさい。精霊っていうのはね、勇者をからかう以外に楽しみを知らないのよ。」
「でもよ、仲間外れにしてきたやつらを見返してやりたいんだ。」
「精霊の声を聞いたってだけで充分見返してやれるわよ、凄いことなんだから。」
「誰が信じてくれるかよ!落ちこぼれの音魔道士の話なんか。別に俺を見初めてくれたあの精霊様じゃなくたっていいんだ。どうせババアはどの精霊とも契約しないんだろ。俺に分けてくれよ〜。」
「バカね。仲間外れにされるのはそういう卑屈でしつこい性格のせいなんじゃないの?」
「違うし!音魔法使いは音で魔物に居場所がバレるから、みんなに迷惑かけるから嫌がられるんだし!!」
「本当かしら?打った方向で居場所がバレるのなら光魔法も同じよ。」
「光魔法は速くて逃げられるし強いから反撃される前に倒せるから音魔法とは違うし、」
「なら音魔法もひかりほとではないけど充分早いし、一撃で倒せるくらい鍛えればいいじゃない」
「音は光と違って一直線に飛ばないで術者から広がっていくからそんなに強い魔法使ったら味方に迷惑だろ」
「ああ迷惑ね。何を言っても言い返してくるうるさい音魔道士は確かに迷惑だわ。それだけ喋れるならきっと詠唱魔法も使いこなせるわ」
「だろ!だから教えてくれよ〜頼むよ〜」
「だから失われてるって言ってるでしょ。聞いてなかったわけ?明後日から師匠の図書館に行って適当に調べてくるから戻ってくるまで待ってて頂戴。」
「まじで?教えてくれんの?俺もいく!」
「ダメよ!置いていくわ。」
「ロぺ様…お願いします……」
「そんな言い方してもダメよ。親のいない子でも村の子よ。さらったらもうこの屋敷に住めなくなっちゃうわ!」
「…………」
「ダメなものは駄目よ」
「……。違うんだ…もう村の子じゃないんだよ、俺。預言の子だから。悪魔の子だから。今日の魔法検定で正式に音魔道士ってわかったから……」
「 森の迷子の音魔法 プレイアデスを呼び覚ます 千年に極めた魔を受けて アルカデイアは名無しに覆る ……ね。」
「…………」
「……はぁ。やっぱり私じゃなかったか。……
いいわ、連れて行ってあげる。それじゃ、まずパーティを組みましょうか。第一席は勇者族の音魔道士メロぺー・プレイアデスよ。」
「え、?今何て、」
「パーティを作るのよ。やり方、知ってるでしょ?」
「あ、ぅ、うん。第二席は勇者族の音魔道士アロン。親がいないから家名はない……それよりもババア。いやロペ様 メ、メロペーって」
「覚えてないのね、あなたが初めて屋敷に来た時にきちんと名乗ったのに。
私は転生者様と共に暮らした7種族の娘達プレイアデスの一人にして原初の勇者族、奇跡の子メロぺー様よ」
「なんだよそれ、ロペ様は転生者様の妻だったのか?」
「いいえ。一緒に暮らしただけよ。あの子は年下にしか興味なかったから」
「あの子って転生者様のことだろ?ババアいくつだよ。」
「あら、ロペ様呼びはやめたのかしら?レディの歳なんかよりも興味があることはないの?例えば音魔法の使い方とか」
「教えてくれるのか?」
「これから一緒に生活するのよ少しは強くなってもらわないと。まあ今日はもう遅いし、一度帰って明日また……」
「…………」
「そうだったわね。ベッドの支度はしてあげるから泊まって行きなさい。」
明日からの冒険に備えて二人は早めに眠りについた。
初めての連載に挑戦です。
失われた魔術ってロマンありますよね。
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