『ヒール57』
『ヒール57』
召喚されたドラゴンに大苦戦中。
全員で戦っても勝ち目が見えないのが辛い。
大丈夫か。
「ミュートエアー、魔物の召喚時間て、どのくらいなの?」
「先程の魔物はまだいたわね。とても持たこたえられない。時間が来る前にみんな死んでしまう。失敗だったか」
「心配しなくていい。こっちにはトレイルがいます。トレイルがいて、何度も危機を抜けてきました。今回もトレイルが何とかしてくれます」
「本当かいトレイル?」
「ローズ、あまり俺を過信しちゃうまずい。ドラゴンは強いからな。でも俺には魔王竜ヒールがある」
逆にこれしかない俺には。
「やばい、ケガ人続出、トレイル!」
「ミュートエアー、危ないです逃げて!」
「ううっ!」
ミュートエアーまでも炎を食らった。
同じくオレンジフィズも焼かれていた。
「ヒールするか、魔王竜ヒール」
ケガ人のミュートエアーやオレンジフィズにヒールする。
踏まれたクールキャットにも忘れない。
体力を1110回復しました。
経験値を1110獲得しました。
レベルが577にアップしました。
レベルが578にアップしました。
レベルが579にアップしました。
レベルが580にアップしました。
~
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レベルが602にアップしました。
レベルが603にアップしました。
レベルが604にアップしました。
スキル、止血を覚えました。
「おお、回復ありがとうトレイル!」
「助かるな。複数人にヒールをしたし、しかも体力が完全に回復している。上級回復術士だトレイルは」
俺へ熱い感謝の言葉。
嬉しくなるが、今はそんな余裕ないな。
ヒールしていてもドラゴンは倒せないし。
「また回復術士か……邪魔だなオマエ。オマエから抹殺してやろう。ドラゴン、トレイルとか言う奴から殺すの命令する!」
「まずい、ドラゴンがトレイルに照準を合わせたよ」
「ドラゴンが召喚時間だ消えるのがまだなら、先にシャークウォーニンを倒すしかないかな」
「倒せるのか。ドラゴンの後方にいるし、ドラゴンが防御するし、召喚士には攻撃は難しい」
「ローズでも近寄れないかな?」
「無理っぽい。私の速度やりもドラゴンの速度がある。ドラゴンは意外と速いのよ」
シャークウォーニンに直接に攻撃しないと難しい。
ここは何とか時間稼ぎするか。
「ふふふ、ドラゴンには勝てないさ。死ね!」
何度もファイアドラゴンの炎をくらい、俺もダメージを受ける。
ミヤマもかなり体力消耗していた。
「あはははは、私の館に攻め入るとはバカな連中だ。この町の領主である私に逆らうとどうなるのか、死ぬしかないのだ」
「この声は……領主ライゴッド」
館の二階から現れたのはライゴッドだった。
「見て、二階のベランダからこちらを下に見下ろしている。笑っています」
「二階に居たのか領主。もう不正は止めて、町のために尽くせ!」
「アホか。私がしたいようにして何が悪い。私が町の支配者なのだ。町の人間は全員が私のために生きるべきなのだ。世界は金で動いている。冒険者だって金で動くのさ。バーニングは雇ったが、雇い損だ。役立たずのパーティーだった。しかしシャークウォーニンは違う。バーニングの風の陣とはランクが違う。あの有名な殺し屋さ。誰にでも雇える男ではない。選ばれた私だからこそ雇えたのだ。もちろん契約した金も多額になる」
「金で全てが動くなんて間違いだ。もっと大事なこともある」
「なんだいそれは。金よりも大事なものとは、教えてくれよトレイル?」
「俺は以前は別のパーティーに所属していた。金で雇われて何でもした。結果は裏切られてお払い箱になった。新しく今の竜の守りパーティーを設立した。そこでローズ、パピアナ、ミヤマと仲間が出来た。以前にはなかった、大切な仲間を得た。金ではみんなは買えない」
俺は領主の考えに対して意見を述べた。
感じたままの意見を。
森の王と比較したままを。
「あはははは、仲間か。笑える。これは傑作だトレイル。冒険者はみんな金で動くもの。騎士団だってそうだ。私を捕まえることはない」
「いいえ、騎士団はあなたの物ではない。私は騎士団に所属するミュートエアー。騎士団を好きにするのはいい加減にして。許さないです」
「騎士団までもいるのか。それでは面倒だな。シャークウォーニンよ、あの騎士団の女のミュートエアーは必ず殺せ。生かしておくと厄介だ。残りも殺していい。しかし猫人のローズは生かしておけ。館に住まわせる」
「はい、領主。そのとおりに始末します」
領主の命令に頷くシャークウォーニン。
まるで俺の意見など無視していた。
むしろ笑っていたくらいだ。
嫌な感じする男だった。
「騎士団をこの手に戻します」
「ミュートエアーの気持ちはわかる。この領主は最低な領主。町の人は不幸ですわ。トレイルと出会い、パーティーに所属したのは金ではなくてよ。エルフの心をバカにする発言だ」
「エルフの生意気な女も悪くないかもな。館に入れて私の命令に従わせる奴隷もな、あはははは」
「なんて無礼な奴だ。神聖なエルフを奴隷にしたいとは、許せません」
パピアナは俺への想いを言ってくれて嬉しくなった。
余計に領主に対して怒りがわいてきた。
パピアナを侮辱したからだ。




