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『29』

『29』




「紹介されたミヤマ。トレイル達、竜の守りに助けてもらいました。オークに捕まり、ダンジョンから出れなくなったところだったの」

「オーク! やはり本当だったのですか。トレイルよりも先に出発したパーティーがみんなギルドに帰って来ました。そしてオークを見たといい、逃げてきたと」


 その話は何となくわかる。

 ダンジョンで会ったパーティーのことだろう。


「ダンジョンで会いました。トレイルが体力を回復してあげましたから」

「ヒールしました」

「受付嬢、今の話は私達の事よ」


 急に会話に入ってくる人がいた。


「あなたは虹の里パーティーの方達?」

「はい、虹の里です。トレイルにはとてもお世話になった。ありがとうトレイル」

「いえ、ヒールしか俺は出来ませんけど」


 お礼をしてくる虹の里のメンバー達。

 虹の里の証言もあり受付嬢は信じると思う。


「それは助かります。でも待ってください。オークはCランクはある魔物のはず。いくら成長しているトレイルでもオークとは力の差があり過ぎます。とても無理な相手です!」


 俺が勝ったのは最初から無理と決めつける受付嬢だった。


「トレイル。アイテムボックスから魔石と素材を出しなよ」

「すみません、これがオークの魔石と素材です。オークの皮膚や、爪、牙です」

「か、鑑定します……オーク!」


 鑑定すると飛び上がるようにして驚く。


「報酬はもらえますよね」

「報酬は出します」


 報酬はたっぷりともらい受けた。

 受付嬢だけでなく、ギルドにいた冒険者も俺の方を見ている。

 俺よりもパーティーランクが上のパーティーもいるだろうが、注目は浴びているのは伝わり、気持ちいい。


「最高額の報酬でしょ、また美味しい料理食べれる!」

「ローズはそっちが大事だな。この後にでも食べに行こう」

「やったね!」


 ローズは相変わらずの食欲が旺盛で、笑顔になった。

 

「すげぇなトレイル、本当にオークを倒したのか!」

「ヒールしか使えないと言っていたが、オークを倒せるとは驚きだ!」

「ありがとう、ヒールが俺の武器でもあるのでね」


 虹の里パーティーが祝福してくれると、ギルド中に拍手が起きた。


「おおっ、ミヤマ、生きていたか良かった!」


 そこへドワーフ族の人が数人ミヤマのところへ集まる。


「うん、無事だ。ダンジョンから帰った。みんなも無事で良かった」

「ミヤマが心配でギルドに救出するクエスト依頼をしたのさ」

「トレイル達、竜の守りパーティーが助けてくれたのさ」

「ありがとう、トレイル。ミヤマを助けてくれて」

「オークがいたダンジョンは危ないですから、不用意に近寄らないことですね」

「そうします」


 ミヤマの仲間はギルドでずっと心配していたらしく、とても喜んでいるので、俺も喜ぶ。


「それじゃミヤマ、また採掘を続けるの、また会えるかもな」

「パピアナ、私は竜の守りパーティーに入りたいがいいか?」

「えっ、パーティーに?」


 急にミヤマがよそうの事を言い出して、パピアナは困ってしまう。


「そうだ、採掘はパーティーにいても出来る。私を竜の守りパーティーにしてくれ」

「どうするトレイル?」

「うん、俺は構わないけど、ミヤマと一緒にいたドワーフ族の人が困るだろう、確認して欲しい」


 勝手に俺の判断では決められない話だな。

 大切な仲間なのだろうし、冒険に出ることはないと思う。


「ミヤマが自分で冒険に行きたいと言うなら、いいのではないかな。竜の守りパーティーに入れてもらいなさいよ。しかしトレイル殿、ミヤマは少々、性格に難がある。それは何というか、体をやたらと自慢してしまうところがあっての、ドワーフ族でも最高の巨乳持ちなのが、面倒くさいとなるかもしれん。そこはミヤマの性格だと思ってください」

「余計なことは言うな。でも、ありがとう、みんな。そういうことだトレイル。冒険に参加したい」

「わかった、ミヤマの仲間入りを認める。ローズとパピアナとも仲良くな」


 仲間から注意を受けるが、ミヤマにはミヤマの良い所もあるだろう。


「よろしくミヤマ」

「よろしくミヤマ」

「ローズ、パピアナ、さっそくだが、私も美味しい料理が食べたい。さっきオークの報酬で食べに行くと言っていたのを聞いていた」

「あはは、料理目当てかミヤマ!」

「お願いしたい」

「ローズにも負けない食欲ってことか」

 

 ローズと料理店に行くと約束までしてしまうとは、ミヤマももう仲間になった証拠か。

 

「またなミヤマ!」

「おお! みんなも元気で!」


 俺達のパーティーはギルドを出ることにし、ドワーフ達に手を振るミヤマ。

 お別れとは言え、笑顔なので俺も不安はない。

 ギルドから飲食店に行った。

 飲食店は肉がメインのお店だ。

 オーク戦で体力を消耗したから、みんなお腹が減っている様子に、早くも注文した料理が並ぶ。


「ここの肉が美味いのよ、ミヤマも食べな」

「美味い、確かに美味い!」

「美味いな、ところで巨乳が自慢らしいが、うん、自慢するだけのことはあるな」


 パピアナがミヤマの胸を触りながら肉を食べる。


「そういうパピアナも大きいですね」

「トレイルは巨乳好きだからな」

「おいおい、肉を食べながら、胸を触るのはやめなさい!」


 俺も食べるのに集中できないしな。



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