『9-2』
『9-2』
「またレベルが上がり21になったよ」
「また! 上がるペースが早いわ。もう私は追いつけそうにないもん」
「ローズは自分のペースでレベル上げすればいいさ」
「そうする」
俺と比較して少しショックを受けている様子に。
ローズが遅いと言うわけじゃない。
俺が早すぎたのだ。
冒険者ギルド内は俺に対して拍手するヒトもいてくれたが、逆に鋭い目つきを送る人もいた。
「回復魔法士か。まだデビューしたばかりなのに、調子にのってやがる」
「今に魔物に狩られるぞ」
俺への文句にも聞こえたけども、あえて聞こえない振りをして通り過ぎた。
やっかい事は面倒なのが大きい。
「おお、調子良さそうだなトレイル君にローズ」
冒険者の声の中に聞いたことのある声があった。
嫌な予感のする声。
俺は立ち止まる。
ローズも立ったままだ。
振り向くと、そこにはローズにとって会いたくはない人物がいた。
「バーニング……」
「クエストで報酬稼ぎか。いいだろうよ、金を稼ぐのは。しかしだ、お前らはF、Eランクパーティーなのだろ。しかも二人組。そんな調子で俺に期限までに100万バルを渡せるのかな。もし100万バルを用意できなかったのなら、その時は遠慮なくローズを奴隷商人に売り渡すぜ、いいな」
バーニングは出来ないと思ってる風な言い方をする。
挑発した言い方だった。
「必ず100万渡す、期限までに。それで文句はないですよね」
バーニングの迫力に押される俺。
しかしローズを渡すわけにはいかないから、言いきった。
俺には魔王竜ヒールがある。
バーニングには負けないと自分に言いきかせる。
「言ったな……はっきり聞いたぜ俺は。楽しみにしているぜトレイル君、あははは」
「あははははは!」
バーニングに仲間もいた。
ギルドに居たのは気付かなかったが、笑いながら出ていったのは不快だった。
ローズはもっと不快なはずだ。
「ローズ……」
「トレイル、私……どうしたらいいの……」
「心配ない。魔王竜ヒールがあるだろ俺には。ローズを絶対に渡せないからな」
「ありがとうトレイル。心配したらお腹空いたよ!」
「そうだな、クエストもしたし、俺もお腹空いたよ」
ローズからの提案で食事を取るとした。
食事をして美味しい物を食べだらバーニングの件は忘れるし、食事にしよう。
飲食店が多くある通りに行き、適当に探した。
ローズは魚の匂いを嗅ぎつけたらしく、
「トレイル、魚を焼いているお店がある!」
「よし、魚を食べようか」
俺の返事を聞き終える前にローズは魚料理店に入った。
客は冒険者ギルドと違う。
とても活気があって、楽しそうに食事をしている。
ギルドの酒場は酷かった。
楽しむと言うよりも、酒中毒に近いものを感じた。
酔っぱらいがからんでくる感じ。
「凄く魚が美味しいわ!」
「俺も食べようか……うん、これは絶品料理だな。来て正解だよ」
魚料理は油がのりとても美味しかった。




