表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/50

14

(三波家・父親視点)



昨日遅くまで、マサエを呼び出した寺の娘の親と話をしていたので、寝不足だ。



まったく…娘が娘なら、父親も父親だ!

あの男は昔から口が巧かった。

学校でもその口の巧さを生かして、児童会長や生徒会長をしていた。



俺も選挙に出たが、一度も勝てなかった。

奴が寺を継ぐ為に、県外の高校に行った時は喜んだ。

高校()こそ、俺が生徒会長になってやる!と思っていた。



ところがここで、思いもよらないライバルが現れた!元庄屋の分家の男が生意気にも、生徒会長に立候補したのだ。




(うち)の敷地内には土地神様の流れを組む(やしろ)がある。親父が家を建てた時から社守(※1)をして来たんだ!お前達なんかより、ずっと身分が高いんだぞ!!



それをたかが、元庄屋の分家のくせに生意気な!普通なら、社守の家の俺に遠慮して、立候補しないのが礼儀だろ!結局、高校の生徒会長はソイツに取られた。



アレから20年余り、俺は今度こそあの男に勝ってやる!



俺は車に家族を乗せて、あの男の寺…寛現寺に向かっていた。ところがどういう訳か、車はまったく違うところを走り、車がたどり着いたのは、町を囲む山の麓にある古いお堂の前だった。



確か此処には【閻魔大王と天邪鬼】の像があったはずだ。



「あなた?どうしてこんな所に来たのよ?早くあの寺に行って、マサエを呼び出して脅した事を認めさせましょう!」


「パパ、此処どこ?」



嫌な予感がする。目的地とまったく違う場所に着くなんて、まるで最近のマサエと同じじゃないか!?



俺の予感は当たった。突然、車のエンジンが止まり窓を閉めているのに生臭い風が吹き、辺りは濃い霧に包まれた!



「な…なんだこの風と霧は?」


「何?この臭い!?ガソリン?」


「パパ、ママ早く逃げようよ!」



ところが、いくらやってもドアが開かない。



「故障か?この前点検に出したばかりなのに、ディーラーに電話して文句言わないと!」


「あなた!早く誰かに電話して、此処から出してもらいましょう!」


「いや…それがさっきから掛けてるんだが、電話もメールも繋がらないんだ!」



俺がそう言うと、女房の方も自分の携帯で助けを呼ぼうとしたが、やはり繋がらないらしく、焦っている。



「なんで繋がらないのよ!?」



マサエの方は、携帯すら出さない。



暫くすると、霧の中から誰かの気配がした。そう言えば、お堂の近くに運輸会社があった、もしかしたらそこの連中かもしれん。



「おーい!助けてくれ!!車のドアが開かないんだ!!」



ところがその声に気づいて、俺達の所に来たのは人間じゃなかった!



「「「オ…オバケ!?」」」



ろくろ首や一つ目小僧が車を囲んでいる。



『おー!居た居た!こんな所に居たぞ!』


「「ひっ!!な…何なの!?」」


女房とマサエは怯えた声を出す。

だが俺は平気そうな顔をして、ヤツらに凄んだ!



「お前達、俺が社守の家の(もん)だと知って来たのか!?酷い目にあいたくなかったら、さっさと帰れ!!」



そう言って脅したのに、化け物共はまったく動じず、寧ろバカにした態度をとった。



『社守?それがどうした!?お前には、何の力も無いというのに!』


『お前が社守の仕事をしているところなど、見た事ないぞ!』



な…何故それを!?



『反省しないと此処から出してやらんぞ!嘘つき娘!!』


『社守の家の(もん)が、神の住まいを荒らして、ただで済むと思うなよ!』


『娘の嘘を真に受けて、他人を攻撃してばかりいる愚か者共め!』



そう言ってヤツらは、何度も車を叩き揺さぶって脅す。


先に根を上げたのは、マサエだった。



「ごめんなさい!ごめんなさい!勝屋さんに呼び出されたなんて、嘘です!!【スクモ塚】を荒らして神様怒らせたのも、私と夕子なの!謝ります!謝りますから、た…助けてください!!」



「どういう事なの?(うち)のマサエちゃんが、そんな事をする訳がないでしょ!!マサエちゃんは学校でも人気者で!」


「嘘なの!学校に友達なんか居ないわ!!中学の時、友達だった夕子だって…最近、着信拒否されてるし……

全部、パパとママの所為よ!友達とちょっと何かあったら、直ぐに怒鳴り込んで行って、その所為で皆んなにハブられてるのよ!!」


「そんな…嘘でしょマサエちゃん!?」



俺と女房はマサエの告白に、ショックを受けた。まさかそんな事になっていたなんて!



「パパもママも嫌い!大嫌いよ!!」



そう言ってマサエは、()()()()()()()()()()()

今なら出れる!そう思ってドアを開けようとしたが、また開かなくなった。



『さて?お前らは、どうする?』




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


※1


【社守】(やしろもり)


正式な役職名では、ありません。

寺に対する寺男と同じ様な役割で、この作品では、社の掃除をしたりする人の事を言います。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ