第30話 サムジャはパーティーを組む
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それからの話で護衛と言ってもルンは冒険者だから、過保護にする必要はないとのことだった。
ようは命の危険がないようにサポートして欲しいということだ。それでそんなに報酬をもらっていいのかとも思ったが。
「娘の命が掛かってるんだ。これぐらいどうってことないさ」
それが親心ってものか。俺ももし過去に親になった経験があればそれもわかったかもだが。
とにかく話はまとまったのでギルド長の部屋に戻るとシエロとルンがパピィを撫で回していた。大人気だな。
「可愛がってもらえてよかったなパピィ」
「アンッ!」
パピィが俺に駆け寄ってきた。なので頭を撫でてやると嬉しそうに尻尾を振って目を細めた。
「パパ、一体何の話をしていたの?」
「あぁ、ダンジョンについての情報をな。それでルンは決定でいいよな?」
「……その子も一緒?」
「パピィは大事な仲間だからな。勿論一緒だ」
「そ、そう。で、でも勘違いしないでよ! これは私の仕事でパパは関係ないんだからね!」
「うん? それは勿論そうだろう?」
確かにオルサからは一応護衛とは言われているが、ダンジョン攻略そのものは彼女がやると決めた仕事だ。
ダンジョン攻略そのものにオルサは関係ない。
「え? え、えぇ、まぁそうなんだけど」
「ハッハッハ! ルン、こいつは俺が選んだ男だぞ? お前の思っているような奴らとは違うのさ。こいつはそういうことに頓着がないからな」
俺の肩をバンバンっと叩きながらオルサが笑った。何だか良くわからないが、信頼はされてるようだ。
そして俺達は正式にダンジョン攻略の許可をもらった。あと情報料として五万ゴッズ受け取った。
「二人とも頑張って。ただ無茶はしないでね」
「大丈夫よ。これぐらい攻略して見せるわ!」
「張り切ってるな」
「アンッ!」
通常攻略というとダンジョンの最奥のボスを倒すことを言う。以前はボスがコアそのものだったからボスを倒すと同時にダンジョンが崩落したが、あんなことは滅多にはない。
通常は寿命が尽きるまではダンジョンは残る。だから攻略がそのままダンジョンの崩壊に繋がるわけではなかったりする。
そして俺達はギルドを出た。
「このままダンジョンに向かうのか?」
「その前に色々と準備しないと。薬も買っておきたいし食料や水も必要よ」
ダンジョンの攻略は規模によっては長丁場になることもある。今回はDランクのダンジョンという話だったな。それだと地下タイプなら三層以上で十層以下程度の規模が相場だ。
規模によるが普通ならダンジョン攻略にかかる時間は一層につき平均二時間から三時間かかるとされている。勿論天職やスキル、その時のレベルなんかでもある程度かわってくるが。
「とにかく先ずは買い物――」
「お、見つけた見つけた。ルンちゃん、丁度探してたんだよ」
俺達に声を掛けてくる人物がいた。通りの向こうから四人の男が近づいてくる。
段々畑のような髪型をした男と、モヒカン。坊主頭に髪を肩まで伸ばした男の四人だった。
「あんた、ダン……」
「知ってるのか?」
「あん? おいおいルンちゃん。このとっぽい兄ちゃんは誰だよ?」
段々の頭をした男が訝しげな顔で俺を見てくる。ダンと言われた男だな。
「俺はシノだ」
「あっそ、興味ねぇんだよ向こうに行ってろ」
吐き捨てるように俺に言った後、ダンはルンに媚びたような顔を見せる。誰だと言うから答えたのに横暴な男だな。
「なぁ、俺とダンジョン行こうぜ? 聞いたけどルンはダンジョンに行きたいんだろう? だったら俺らとパーティーを組めば問題ないじゃん?」
「しつこいわね。貴方達のパーティーには加入しないって言ってるでしょう!」
「そんな怖い顔するなって。俺らは親切心で言ってるんだぜ?」
「そうそうルンちゃんが困ってると思ったからさ」
「勿論、その分、ちょこっと親父さんにランクについて相談してほしいとこだけど」
「でも俺らのランクが上がればルンだって嬉しいだろう? お互いにウィンウィンな話だと思うぜ?」
ヘラヘラと笑いながら冒険者達がルンに話を持ちかける。これがただのダンジョン攻略への勧誘ならよくある話だが――こいつらの口ぶりからはルンの後ろにいるギルド長に名を売りたいという打算の感情が滲み出ていた。
ランクを上げてもらうという辺りがまさにそれだろう。オルサがルンはパーティーを組みたがらないと言っていたが、その理由は他の冒険者への不信からだったようだ。
ルンを誘ってくる冒険者がこんな連中ばかりだったら疑心暗鬼にもなるか。なまじギルド長の娘という話が知れ渡ったばかりにルンに近づこうとする相手にこんな考えの連中が多くなったのだろう。
「だから、私はあんたらなんかと組まないって。大体、私はもうパーティーの相手決めたし」
「は? おいおい誰だよその相手って?」
「俺だよ」
「あん?」
名乗り出るとダンが俺を見て眉間に皺を寄せた。
「このとっぽいのがルンとパーティーだって。冗談だろうルンちゃん?」
「冗談じゃないわ。ダンジョンには二人、あとパピィね。それで行くわ」
「アンッ!」
パピィが俺の足元で吠えると、男の視線がパピィに向けられる。
「……こんな頼りなさそうな子犬と弱そうな兄ちゃんとダンジョンに行くってか? おいおい止めとけって死ににいくようなもんだぜ?」
「違いねぇ」
「おい、お前もわかってるのか? ギルド長の娘を死なせたとあったらえらいことだぞ?」
俺に忠告するように言ってくるが、こいつらに任せた方が心配だな。
「勿論、それなりに気をつけていくつもりさ。とにかく、ルンは俺とパーティーを組むことに決まったんだ。だから諦めてくれ」
「おいおい、ふざけんなよ。ルンはな俺達が先に声を掛けていたんだよ」
「そのルンが嫌がってるだろう?」
「そんなの関係ねぇよ」
いや、あるだろう。
「大体お前、ランクは幾つだよ? 天職は?」
「ランクはEだ。天職はサムジャ」
「サムジャ……ぷっ、こいつか! あの災厄の天職持ちってのは!」
俺が答えると、連中の一人がゲラゲラと笑い出した。どうも俺の天職は一部では有名なようだな。いい意味ではないが。
「何だそのサムジャってのは?」
「サムライとニンジャの複合職ですよ」
「は? サムライとニンジャ? 何だそれ。はは、そんな使えない天職の複合職とか宝の持ち腐れもいいところだな!」
「宝の持ち腐れの使い方が違うと思うぞ」
「黙れや! この雑魚!」
何か急に当たりが強くなったな。
「なぁルン。お前本気か? ランクは確かにルンと同じかもしれないが、サムジャなんて使えない天職持ちと一緒に行動するメリットなんてないだろう? 俺なんてランクもDの強闘士だ。選ばない理由がないだろう?」
段々髪の男がルンに自分の方が凄いんだとアピールする。必死だな。しかし、強闘士か。戦士より力は強い天職だな――
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