プロローグ
この世界はエルガバルと呼ばれるひとつの大陸で構成されている。
遥か昔、聖王、竜王、獣王、妖王と呼ばれた英雄達がエルガバル大陸を侵略する魔王を討ち滅ぼし四大国を築いた。
聖王を祖とするセウェルス神聖国
竜王を祖とするクルドヴルム竜王国
獣王を祖とするロスタム獣王国
妖王を祖とするアールヴ妖王国
四大国は互いに協力し合いながらそれぞれの発展を遂げてきた。
しかし、時は移ろうもの。手を取り合う事を忘れた者達は互いの領土拡大を目的とし、度々争うようになった。
永き争いの後、過ちに気付いたアールヴ妖王国は秘術を使い侵略も征服もされないよう国全体を隠し世界から姿を消した。
ロスタム獣王国も国を維持する事を選んだ。
聳え立つ山脈に守られ、アールヴ妖王国、ロスタム獣王国は他の国の侵略を受ける事なく今日まで続いている。
だが、山脈を隔ててある北の神聖国、南の竜王国の争いは未だ収まる事を知らず、50年以上の永きに渡り続いていた。
そのセウェルス神聖国、クルドヴルム竜王国の境に位置するサクルフの森。
賢者シリルの住まう不可侵の森とも、人も獣も抜け出す事が出来ない迷いの森とも呼ばれていた。
この物語はひとりの少女が賢者を訪れるところから始まる。