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「sin・sense」 〜罪人共による異能力の闘争〜  作者: むかぜまる
3章 彼らが優しい夢から残酷な現実に目を向けるまでの改造譚
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36話 運命

 言い訳ですが、只今具合が悪くて執筆に集中できませんでした。なので文字数は短めです。

 その代わり、情報量は多めなので何とか今回の味をそれで楽しんで頂けたら幸いです。


 今回は『椿視点』から始まります。頼渡の近くに瞬間移動したところから始まります。

 * * * *





「ボクには触れられない。そんなこと椿なら分かるでしょ♪」


「《発動》」



 頼渡らいとの言葉を無視する。そして俺は片目を手で隠して発動を宣言。これは……



「二分間、罪の能力の発動を封じる」



 『しょうくんの強要罪きょうようざい』だ。

 頼渡は「ちっ」と舌を鳴らす。班員とは離れている距離。この命令が聞こえているのは俺と頼渡、そしてノエルとブランと名乗る子供の4人だけだ。


 俺は勢いそのままに、頼渡へと突進する。頼渡は為す術なく地面へと倒れ込んだ。

 俺は倒れたそいつの胸ぐらを地面へと押し込む。



「ぐっ……!」


天舞音あまねさん! こっちに来て能力を!」


「わ、分かった!」


「ノエル……! ブラン……! ボクを助けてくれ!」



 天舞音さんの行く先に二人の子供が立ちはだかる。



「こっから先には行かせないよ!」


「行かせないよー!」



 彼女らは両手を大きく広げて威嚇いかくする。対して天舞音さんは深呼吸をする。



「《発動》」



 そして二人の子供を両手で軽く退ける。



「わっ!」


「きゃっ!」


「君達の能力、貰ったよ!」



 彼女は走る。あと数メートルというところで、予期せぬ事態が起きる。



「……っ!?」



 突然天舞音さんは動きをめた。……いや、めさせられたのか?



「何……これ!」



 よく見ると、彼女の足元には1つの『サイコロ』が落ちていた。



「あぁーあぁー、やられてるねぇー」



 のんびりとした女性の声。後ろから足音が聞こえる。



「そこ、どいてくれるぅ?」



 拳銃のリロード音が後頭部付近に鳴る。俺の能力は発動できない。助けも呼べない。


 俺は従うしか無かった。



   *



「いやぁーごめんねぇー? こんな後出しみたいな勝ち方でぇ」



 声の正体は黒いローブの深淵しんえんから灰色の目を輝かせている。



「いたた……。助かったよ、狩魔かるま



 彼女の名前は狩魔と言うそうだ。そんな彼女は手のサイコロを上に掲げる。片目を閉じてサイコロをマジマジと見つめるようにして話す。



「神様はまだ頼渡は負けるべきじゃないってぇー。運が良かったねぇ」



 彼女の能力はなんだ……? サイコロということはまさか……



「それにしてもぉー、『RDB』として負けるってどうなのぉー?」


「君達はまさか……あのRDBなのか!?」



 目の前の彼女に聞く。彼女は「そうだよぉ」とやすやすと認めた。


 RDB……一度だけ頼渡から聞いたことがある正式名称「Réunion des bourreau」。日本語で『死刑執行人の集い』。

 どういう集団か彼に聞かなかったことを、今になって悔やむ。



「私たちは『ヘイワ』を求める者だよぉー。君達と少し違うところもあるけどねぇー」


「……何故、こんなことを?」


「それを答えない代わりにぃー、ここは退いてあげるよぉー」



 彼女はどんな表情をしていたのだろう。笑っているのだろうか、それとも緊張しているのだろうか。

 ミステリアスな彼女はサイコロを振る。



「じゃ、アデュー」



 そう言って彼女は手を振る。



「待て!」



 俺は追いかけようと彼女に駆け寄る。しかし、触れる直前に彼女ら四人は『完全に姿を消した』。

 ……頼渡は終始帽子を深く被って俯いていた。



   *



「うーん……あっ、これか!」


「天舞音さん? どうしたの?」



 やり切れないまま取締所に帰る頃、後部座席で彼女はスマホを操作して何かを調べていた。

 それをバックミラーで見かけた俺はそれが気になって質問したのだ。



「いや、あの二人の子供の使用許可証が手に入ったから解読しようと思って」


「でも外国語で内容は書いてないでしょ?」



 詐欺罪や窃盗罪で使用許可証を入手した時は自動で翻訳されるらしい。何とも不可思議で気味が悪い。



「いや、名前を調べてたんだよ。名前はフランス語で書いてあったからね」


「で、能力はどうだった?」



 彼女はこちらを見る。子供のような顔立ちが日に照らされて光がともる。



「まず白髪の子が『ブラン・リュミエール』ちゃん。能力は『名誉毀損罪めいよきそんざい』。周りの能力者の『欠点を大幅に増幅させる能力』だって。……利点欠点は省くよ?」



 欠点を増加……。

 聖華せいかさんの異常な発熱は欠点を増幅させられたからか。



「次に黒髪の子が『ノワル・リュミエール』ちゃん。能力は『侮辱罪ぶじょくざい』。周りの能力者の『利点を欠点に変換する能力』だって」



 欠点に変換……。

 そういえば、聖華さんの能力の利点は視力の上昇。それを欠点に変えられた……つまり視力の低下になったのか?

 だから何も見えない、と言ったのか。


 あの二人、相性が最高にいいな。利点を欠点にして、その欠点を促進させる……厄介すぎるな。



「てか、なんでフランスの国の人も日本の罪の能力なんだろうねー」



 それは未だに不明な未解決問題だ。一説によると、罪人の起源が日本だからというものもあるが真偽は定かではない。



「少しずつ、意識が戻ってきたよ……。厄介だね、あの二人は」



 助手席から聖華さんの声がする。俺と似たような感想を持ったらしい。


 それより……こうなった以上、頼渡の能力を話しておくか、と腹をくくった。

次回はもっと文字数を増やせるように努力致します。本当に申し訳ございません。

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