170話? 終焉
;_《まだ続く。続かせる──いや、終わらせる》ڡ**₂
風は意識のない天舞音を見る。そしてゆっくりと、彼女の額に手を当てる。
──芽衣さんの『重婚罪』で、私にも同等の痛覚が伝わっています。それこそ、脳死するほどの痛覚が。しかし私はその痛覚を全て、この寄生体に宿しました
まるで語り手が安らかに物語を呟くような、邪悪さなどない口調で淡々と話す。
手にはどす黒い寄生体が、手足を縛られて嬲られた人のようにうねうねと動く。
風は天舞音に耳打ちする。
それでは、仲良しなあなたに『重婚罪』でこの痛覚をプレゼントましょう。芽衣さんがあなたのために、頑張って溜めた痛覚です。受け取って下さい
天舞音は短く声を上げ、体を僅かに震わせた後、そのまま力無く倒れた。
ふふっ、これでいいんです──登場人物に命なんて無い。全員、各々のセオリーで動く存在、物語が終結すれば動かない存在なのですから……
その声は、風以外に聞こえることはなかった。
風は防御壁と防音壁を全て下ろし、全員を見やる。
今まで経験したことの無い、親しき者らが蹂躙光景を見た。そんな彼らは、風が振り向くだけで萎縮してしまった。
朱雀さんと聖華さんは互いの能力で──翔さんとサーシャさんは自身の能力で、バードルードさんは『誘拐罪』で精神崩壊を起こして、『重婚罪』で移しますか。フローリーさんは『墳墓発掘罪』で過去の仲間に殺されてもらって、届称さんは眼音さんの能力で──和也さんと優貴さんはそのまま力で殺しますか。
風はそんなことをブツブツと呟いていた。
優貴はつくづく思った。全ての能力を持つ者に勝てるはずがないのだと。
初めから、挑んだ瞬間に負けだったのだと。
*
*『聞こえていますか?』ڡ
;∢『……聞こえて、いませんね。いえ、むしろいいのです、皆さんの前で話すことではないですし……何より照れるので』✻
────?
θ;『私は何者か、ですか? 確かに、あなたたちは気になりますよね』θ⊂
₂_『私は──いえ、じきに分かることです。この力はあまり長く持たないので、今は会話はのんびりとできません、ごめんなさい』ڡ⋚
────。
;_『そう、ですね。突然話を打ち切ってしまってごめんなさい。でも、あなたたちはこの結末を望んでいないのですよね?』
…………。
✻=『ふふっ、いえ、言い方を間違えました。私はこの結末を望んでいません。生憎、あなたたちのご期待に沿うかどうかなど関係ないのです』∈*
────?
_;『何をするのか……まあ、言葉で説明は難しいですね。ただ、ヒントはありましたよ。だいたい、2話くらい前でしょうか? とにかく、始めますね』;_
*_『……さようなら、この世界線の皆様。ただ、次の世界線はきっと、素晴らしいものになっていますよ』_;
*
突然、空が、地面が、空間が脱落する。
完成したジグソーパズルをバラバラに落とすような、そんな奇妙で不可思議な──
作者はいません。
ご愛読ありがとうござ────