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「sin・sense」 〜罪人共による異能力の闘争〜  作者: むかぜまる
最終章 彼らが『始まりから終わりまで』を続けたいそうです
168/174

168話? 終末①

「俺は一度離れる。後は頼むぞ……!」


 こうはそれを言い残して、風と距離をとるように地面を蹴る。右脚は『殺人罪さつじんざい』により破壊されたため、左脚のみでの移動だ。



   ……っ行きなさい、『殺人罪さつじんざい

「行かせないよ。《発動》!」


 聖華せいか障壁バリアで、毒針が音を立てて止まる。



   こんな障壁など……

「準備は整ったっス。成長させるっスよ!」


 風の脚に、無数の寄生体が絡みつく。それは地面と接続し、確実に風の動きを鈍くさせた。


 これなら──


 風は突然、不敵に笑い出す。



   ふふっ、そうですか──。こんなものですね

「何……?」

   では、終わりにしましょう。所詮、登場人物に『可能性』などないのですから。……私の求める展開は、ありえないのですから



 ** * ** * *

 ** ** *

 * * ** * *

 ** ** *



 風は素早い動きでルドラに近づく。



   まずはあなたです。

「っ……なんで、動けてるんスか……?」


 風は答えず、ルドラに触れる。すると、みるみるうちにルドラの体が細く変形していく。



「かっ……」

   あなたの妹さんの、『内乱罪ないらんざい』を利用しました。今まで生命体として生きてきた分、老いを経験してください


 老体となったルドラは、まるでゴミのように地面に捨てられた。地面と衝突する音と同時に、骨の砕ける音が響く。



「……お兄、様?」

   次はあなたです、アリスさん


 風はアリスの目元を覆うように手を当てる。──それの手のひらから、寄生体と触手が顔を覗かせる。



「なんです、か──あれ、何? っ!? まっ、眩しいっ! やめてっ……いやああぁっ!!」

   寄生体で虹彩を無理やり伸ばしました。さらに視神経を限界まで活性化させ、常人の何十倍にも光を取り入れることができます。──良かったですね


 風が手を離すと、アリスは目を押えながら地面に倒れ伏した。

 彼女は光にあらがうかのように、体をよじり、痙攣していた。


 風は次なる標的として、すみれを選んだ。

 彼女が反応するより先に、風は──



   *



「……え?」

   サミュエルさんの『自殺教唆罪じさつきょうさざい』です。あなたにはピッタリの死に方だと思いました

「私が? 知らないけど」

(ここは精神空間……あれが直接解除するか、無理やりここを破壊するしか出る方法が無さそう)


 菫は『殺人罪さつじんざい』を発動した。



「あの能力、プロ・ノービスの黄龍おうりゅうのだよね? 見せてくれてありがと。おかげで発動できる──」

   ここから出るおつもりで?

「当然でしょ? なんならあんたを殺してもいいんだけど?」

   私を殺す? ふふっ、あなたは一体、何人を殺せば気が済むのですか?


 風の言葉に反応するように、菫の眉がピクと動く。



「は? どういうこと?」

   忘れたフリをしているなら、私が代わりにご説明しましょう。あなたは、ご家族全員を殺したのですよ?

「バカ言わないで。私は殺してなんか──」

   直接は、ですよね? しかし、あなたのご両親はスーパーで殺された。それはなぜか?

「っ……!」


 菫は口をつぐんだ。風は、彼女が隠した『回答』を言い当てる。



   あなたが、殺人犯に両親の居場所を教えたからです。あなたが教えなければ、両親が死ぬこともなかった。あなたが、殺人犯を助長したんだ!

「っ、違う! 私は、あいつが殺人犯なんて知らなかったんだ! 私は──」

   それだけじゃない、あなたは兄に『詐欺罪さぎざい』という強力な能力を()()()()、無理やり戦闘に参加させた! そのまま自分が持っていた方が、兄が戦死することもなかったはずなのに!

「それも……違う! 私は……お兄ちゃんが、持ってた方が、お兄ちゃんの力になれるって……」

   結局は、自分が可愛かわいいんでしょう? 家族を犠牲にしてまで生き残ろうなんて、よっぽど自分が大事じゃないとできないのですから!

「っ……!!」


 気がついたら、銃が目の前にある。

 きっと、これが脱出の鍵だ──もし菫が冷静な心を持っていたら、それに気がつけたかもしれない。

 しかし、彼女が見たこれは、鍵なんかではなかった。



   ──しかし、まだチャンスはあります。手にあるそれで、家族の元に行きなさい。そして、謝るのです。あなたの家族は優しい、だからきっと許してくれるでしょう


 菫は震えた手で銃を取る。

 ゆっくりとハンマーを起こし、トリガーに指をかける。

 銃口から温もりを感じる。


 ──視界が潤む。死への恐怖から?

 いや、これは──孤独ゆえの寂しさからだ。



「……分かってる。ここで死ぬのなんて、お兄ちゃんは望んでないだろうし、きっと怒るんだ。だけど──優しいから、きっと許してくれるんだ。お父さん、お母さん、お兄ちゃん……お願い。こんな私を、もう一度だけ抱きしめて──もう、置いていかないでっ──」



   *



 少しして風がその場に現れた──頭から血を流す菫を連れて。

 全員、抵抗する意志は当然ある。

 しかし、あまりに早い展開に脳も体もついていかないのだ。



   次は……あなたにしましょう


 風が指差す先にはシャイニが居た。

 作者はどこですか。

 ご愛読ありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

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