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「sin・sense」 〜罪人共による異能力の闘争〜  作者: むかぜまる
最終章 彼らが『始まりから終わりまで』を続けたいそうです
167/174

167話? 追い込むということ

 名も無き風は消えた。──それほどまでに素早い動き。

 標的は白虎びゃっこだった。



「ぐっ──!」

   見せしめに潰させて頂きます


 人型に変形した風は、彼と互いの両手を重ね合わせつば迫り合いする。

 『傷害罪しょうがいざい』と『暴行罪ぼうこうざい』の同時発動──その身体能力は十五倍になっていた。しかし……



   ──なぜ、耐えることができるのですか……? 設定では、あなたは十倍までのはず……

「てめぇと比べたら、背負ってるもんが、違ぇからなぁ」

   ……まあ、関係ありません。どうせ私が勝つのですから

「っ……!?」


 風がそう言った瞬間、白虎は大量の血しぶきと共に潰れた。



「何、が──」

   私は同時発動ができます。故に『窃盗罪せっとうざい』を発動し、彼の能力を奪いました

「何それ……見えない速度で移動されて、触れられたらアウト……?」

「それにしては不思議だね。ああいや、君の信念を否定する訳じゃないけど──なんで一瞬でケリをつけないの?」


 ノアの言葉に、風は首らしきものを傾けた。



   というと?

「同時発動ができるなら、全ての能力を使って僕たちを殺せるはず。なんの手間もな無しでね」


 風は反論しなかった。



「まるで僕たちにチャンスを与えるように──」

   少し黙ってください

「……ありがとう」


 風が瞬時にノアに近づく。ノアはそれを踏んで、予め能力を発動しておいた。



「【浮片屍翻ふへんしほん】」

   っ……?


 完全に不意をついた。風が気づく前に、岩の断片がそれの脇腹を貫く。

 ノアはその間に離れる。



   このような傷、『内乱罪ないらんざい』でどうとでも──

「それって、体内に岩が入っても使えるの?」

   っ……!? かはっ──

「確かにこの能力を作ったのは君だ。だけど、設定外のことは分からないよね? それこそ……『自分の周り』に『自分の体内』が含まれないこととかね」

   岩が──体の中で──


 いくら超元的な存在でも、内蔵を食い潰されるような痛覚には苦しむようだ。



「君を想ったこの百年間──対策を思いついてないわけないでしょ?」

   ──全員、『外患罪がいかんざい』を30分間発動するな。岩は動かない

「指摘する。『強要罪きょうようざい』は万能じゃない。聞いている全ての者が、その命令を聞かないといけない──つまり、全員が『外患罪がいかんざい』を持ってないと使えないからね」

「ボクの『偽証罪ぎしょうざい』も、今経験してると思うけど──可能性がないものは発動できないよ。ERRORって出るしね」


 いける──優貴ゆうきはそう思った。

 ノアは勝てないと思いつつも対策を考えていたのだ。実際、想像以上に効果がある。これなら──



   ……いけません、冷静にならなければ。登場人物に振り回されるなど、私らしくない


 風はゆっくり立ち上がる。その背中から見覚えのある、思い出したくもないものが見える。



「まさか──『殺人罪さつじんざい』!?」

「圧倒的な力、触れられたら無力化、刺されたら即死──なんでもありだねえ、ほんと」


 聖華せいかは苦笑いする。



   暴れなさい、『殺人罪さつじんざい


 風は再びノアに近づき、掌底で彼を突き飛ばした。

 彼は岩の塀に激突し、気を失った。


 背中の毒針も周囲をやたらめったらに掻き回し、破壊を続けている。

 一方、風は再び膝を落とした。



   ノアの能力は無効化した──はずなのに、なぜまだ岩が動くのですか……?

「私だよ」


 声の主はすみれだった。



「どうせ創ってもらったチャンスだから、活かさないと損でしょ?」

   なるほど──『詐欺罪さぎざい』で『外患罪がいかんざい』を……

「次は当てるよ──!」


 シャイニが機関銃を用意する。そしてそれを放つ。

 風は『遺棄罪いきざい』を使い、自分の座標を変更した。


 しかしその先に、予測したようにこうが待ち構えていた。

 風が腕で受けようとしても、広の振る刀はまるで空気を切るように穏やかに風の腕を分断した。


   っ……このっ!

「っ……!」


 毒針が広の右脚を貫く。彼が瞬時に毒針を切り離そうとも、彼の脚の細胞は壊された。



   私は──負ける訳には──負けるはずが──


 風の台詞、行動を見て、本当に『超元的な存在』なのか……優貴は分からなくなっていた。

 ここに作者はいません。


 ご愛読ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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