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「sin・sense」 〜罪人共による異能力の闘争〜  作者: むかぜまる
10章 彼らが真実を知ってから全てを終わらせる終焉譚
164/174

164話 最終話

εδڡ《ついに、終幕だ》δڡڡ

⋖⋚εθ《私の処女作は、これで……》ڡ₂ง

*…ง《惰性に、時間に縛られない日々が……》⋖δε





「さて、もう時間が無い。今僕が知っていることを手短に話そう」


 ノアはその場に座り込む。周囲の者を呼び寄せながら。

 彼は血の増量に伴い、左手から血を抜かなければいけない。

 そのため、座っていても姿勢がおぼつかない。



「いいかい。僕たちは眼音まおの能力で、幼い頃の優貴ゆうき和也かずや平和罪カームの情報を植え付けた」

平和罪カーム……?」

「本当に端的に言うと、平和罪カームは無法騒動解消の一連で発生した事象を、まとめてそう名付けただけだよ。言い換えると、学者と少女の過去かな?」


 ノア自身も、どうやら言えることに制限がかかっているようだ。



「だから、優貴と和也はまだ赤ん坊だったのに()()を知っている訳だよ。……本当は深層心理まで入らないと思い出せないはずだけど、どうせのぞみが要らないことしたんだね」


 ノアは呆れたようにため息をつく。



「そしてアリスの能力も共有しておくよ。アリスは『内乱罪ないらんざい』──生命の成長を操る能力だ。それで年齢そのものを操作したのは僕、サーシャ、リア──しょうなのだけれど、年齢を操作すると言語に影響が出るらしくて、何故か僕はお喋りに、サーシャは余裕そうに、翔は自分の行動を言うようになったんだ」

「なんでそんなことになったのか……ボクたちも分からないんだよね」


 サーシャは苦笑いする。



「さて、ここからが本題だよ。名も無き風の力について推測を立てなければならない」

「質問する。ただでさえ未知の存在なのに推測できるの?」

「できなくはないよ。でもその前に、僕の仮説を発表しよう。恐らく()()はこの世界を根底から覆すことはできない。つまり言い換えれば、この世界にある能力しか使えないと思うんだ」

「でも、例えそれでもかなり脅威っスよ? サーシャの未来選択能力、リアムの行動強制能力、眼音の情報改変能力を同時に使われるだけでも……」


 ルドラの一言で、全員が黙りこくった。

 そんな存在に、果たして勝てるのか──。



「……だから、相殺するしかないんだ。()()がもしサーシャの能力で『全員死ね』と言われたら、サーシャが『全員生きろ』と相殺するしか術は無い」

「それが通用かが問題だけど──」

「大丈夫だろ!」


 一方的に暗くなる雰囲気を、底抜けた明るい声が一蹴した。

 全員が和也を向く中、当の本人は溌剌はつらつな笑顔で話す。



「本当に大事な闘いだから真剣に話し合うのも分かるんだけどよ、戦法出しては否定してっても意味ないだろ? 避けられない一発勝負──勝ったら勝ち、負けたら負けだ!」


 和也はゆっくり立ち上がる。



「やるしかねえなら、覚悟決めるしかないだろ?」


 彼は論点とはズレたことをためらいなく話すと、そのままどこかに歩き出す。

 ノアは戸惑い半分で訊く。



「……和也くん? どこへ行くんだい?」

「準備運動してくる!」


 彼はそう言って離れた。

 優貴は顔を緩ませながら口を開く。



「多分……あいつ緊張してるな。俺たちを気遣ったんだ」

「──私よりも和也のことをしってるんだな、君は」


 届称はそう言って、寂しいような笑顔を見せた。

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