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「sin・sense」 〜罪人共による異能力の闘争〜  作者: むかぜまる
10章 彼らが真実を知ってから全てを終わらせる終焉譚
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159話 罪の集合

【戦況】


 優貴ゆうき和也かずやはノアと交戦する。

 眼音まおは身体強化の遺伝子情報(未完成)を優貴と和也に預けて撤退、サーシャはその場に残り、ノアと交戦する。

 その後、ノアルとブラン、天舞音あまねはノアの能力で犠牲になった。芽衣めいしょう、バードルードはノアに立ち向かう。


 美羽みうを見張るのぞみ、さらにそれを見張る生命体を置いて、すみれ、ルドラ、シャイニ、アリスはノアの所へ向かう。

その途中、交戦中の届称かいしょうを見つけ、援護することにした。

(サミュエルは行方不明)


 日本に残った聖華せいかあや白虎びゃっこは、RDBの先鋭であるアダム、アタラ、フローリーに勝利した。その後、元レジスタンスのリーダーであるこうと出会い、東京を守るため奮闘する。

   **



「本当か!? 本当に、宝石が溶けたと……?」

「偶然ではありますが……肌への有害性は確認されませんでした。時間がなかったので、私が直接触れただけですが……」

「随分ワイルドな検証するんだね……まぁ、無事で良かったよ」


 サーシャは呆れると同時に、安堵の笑みを浮かべる。



「というより、そもそも動物や人間の細胞に反応して溶けるみたいです。慎重な研究では気づけなかった発見ですね」

「でも、それをどう使うんスか? これがもし『無法騒動』から脱するものだとして、肌には無害ですし……」

「…………体内に取り入れたら、どうなるんだろう?」


 ノアの一言に全員が微妙な反応をした。



「……まさか、飲むだけで超人的な力を得られるスーパードリンク、とか言わないよね? いやそもそも、ボクは飲みたくないんだけど……」

「前々から思っていたんだ。確かにこの宝石はこの世界になかったものだ。ただ──この世界にある以上、この世界に従わなければいけないと」

「……しかし、我々はこの宝石を『この世界の常識と摂理では説明できない』と結論づけたはず。君の言うことはそれと真逆に聞こえるが──」

「ごめん、それなら言い方を変えよう。──この宝石は、非常識な性質で僕たちに力を与え、それを()()()()()()()()力がある」



   **



しょうさん、私がノア(かれ)に触れられるように能力を使ってください」

「……了解する、《発動》。『全員、籠宮かごみや芽衣めいに触れろ』!」


 翔は声を大にしてそう言うと、芽衣に触れる。

 ノアは意表を突かれ、驚いた顔を見せる。



「リアム……? しまった……っ!」


 ノアはもちろん、優貴ゆうき和也かずや、サーシャもその命令を聞いていた。



₩ڡ《?ววว《これで合っているの)



 全員が一斉に、芽衣の元へ集まっていく。バードルードはその様子を見て、自分に向かってではないことを知りながら緊張と恐怖が頂点に達した。



「あっ……」


 最後に、芽衣に触れながら彼は気絶してしまった。そして、和也、優貴、ノア、サーシャの順番で彼女に近づいていく。

 ノアが触れる直前のタイミングで、芽衣は『髪を触り』、《発動》と言う。



「っ……!?」

「──今更なんですけど、私の能力が『傷』の共有じゃなく、『感覚』の共有で良かったです。だって、心の痛みは『傷』じゃないですもんね」


 順番的に、サーシャも彼女の能力の対象になっていた。



「なに、これ……彼女、あんなに幼いのにこんな苦しみを……?」

「私は、RDBによって、擬似的な両親を失い、思い出を作り合った友人を失いました。感情を出すことに疲れても──疲れた上で、こんな()()を感じているのです」


 ノアも数歩下がったはいいものの、耐えきれずに床に膝をつく。心臓の位置を掴みながら。

 そんな彼の様子を、取り込まれそうなほど真っ黒な瞳で覗く。



「RDBの信念? 目的? そんなの知ったことではありません。あなたが何を背負ってるかなんてどうでもいい。ただ──あなたは、『目的』で『手段』を隠してる。『ヘイワ』で『罪』を隠してる。それなのに、犠牲は仕方がないとでも? 馬鹿言わないでください、あなたは間違っています。あなたが『ヘイワ』を求めるなら、私はあなたの『罪の集合』になります」


 芽衣はドロドロとした感情を、サラサラと伝えた。

 この場はまさに、彼女の独壇場だ。誰も、彼女の会話を邪魔しようとはしなかった。



「私は、あなたが犠牲にした人たちとその関係者の恨みを代弁しましょう。これは感情じゃありません。そう、()()です。当然の摂理でしょう?」

「っ……」

「そして今から──罰を与えます」


 芽衣はきりのようなものを取り出す。ノアは思わず数歩下がった。



「ああ、サーシャさんも対象になっていたのですか。今、解除しますね」

「……あ、うん」

「さて、私の能力はあなたと感覚を共有するというもの。もしも、死ぬという感覚を一度でも感じれば──さあ、どうなるんでしょうね」


 芽衣は錐を、自らの首に突き立てる。そこで初めて、その場の全員が覚醒し始めた。



「おい待てよ! 何やってんだよ!」

「警告する、そんなことをしても解決しない!」

「やめろ、絶対に……!」


「黙って」


 彼女の言葉で一蹴された。



「……ノアさん。あなたみたいに私のものを全部壊す人なんて、死ねばいいのに」


 彼女はそう言って、錐を首に入れ始める──その時、カランと岩の柱から小石が流れた。

 ご愛読ありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

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