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第40夜 立ち合い出産をナメるな!(前編)

 こんばんは。

 枕崎まくらざき純之助です。


 今夜は久しぶりに『Pillow Talk』をお届けしたいと思います。

 どのくらい久しぶりなのかなぁって思って前回の第39夜の投稿日を確認したら、あらやだ。

 前回のお話は2023年3月10日ですってよ奥さん。

 まあ〜それは随分ずいぶんと昔々のお話ですわねオホホホホ……3月!?


 いや、半年以上前じゃねえか!

 まだ今年のプロ野球の開幕前!(今はシーズン終わってます)

 どんだけサボッてんだよ枕崎まくらざき、とお思いの皆さん。

 聞いて下さい。


 『蛮族女王の情夫ジゴロ』という作品にかかりきりで必死だったんだよぉ〜(涙)。

 今後はちょこちょこ更新するから許してくれよぉ〜(涙)。


 というわけで皆さん、もう僕のことは忘れているかもしれませんが、

 枕崎まくらざきのことは忘れても、この『Pillow Talk』のことは忘れないで下さい!(何のこっちゃ)


 さて、今夜のお話ですが立ち合い出産の話です。

 実はこの枕崎まくらざき

 こんなしょーもない人間ですが、これでも父親なのです。


 え?

 うそつくなよって?

 アニメの幼女の父親妄想(もうそう)だろって?

 違いますから!

 妄想もうそうの中で「アー◯ャは俺の娘グフフ……」とか思ってませんから!


 ……え〜話を戻しますと、僕は人生で二度、立ち合い出産というものを経験しております。

 立ち合い出産とは書いて字の通り、夫が妻の出産の場に立ち合うということですね。

 これは男女ともに希望する方、しない方と様々ですが、我が家の場合は妻が「絶対に一緒にいてほしい」と立ち合い出産を強く希望しました。

 僕も妻の希望ならばと、立ち合うことを決めたのです。

(妻が嫌がるならば立ち合わないつもりでした)


 そして出産予定日から2週間ほど遅れてあの陣痛(赤ちゃんがいよいよ生まれてくる前兆ぜんちょう)が始まったのです。

 時刻は夜11時でした。

 妻は陣痛が始まるとベッドのふちつかまって「うぅぅぅ!」と苦しみ始めました。


 僕はただただ妻の背をさするばかりです。

 しかしこの陣痛というものは不思議ふしぎで、痛みが一定間隔で襲ってきます。

 10分ほどすると妻はケロッとした顔で立ち上がり、いそいそと入院の準備を始めました。


 あれっ?

 痛みは?

 僕は唖然あぜんとしつつ妻の準備を手伝います。

 妻によると、痛みが引いている間は普通に動けるらしいです。 

 妻は自分で産院に電話して陣痛が始まったことを伝えていました。

 ですが、しばらくすると妻は再び苦しみ出し、僕は再び背中をさするという感じで、その繰り返しとなりました。

 

 妻は実家に里帰り中でして、やがて準備が整うと妻の御両親が車を出して下さり、僕は妻に寄り添い真夜中の道中を産院に向かいました。

 何ぶん人生で初めて経験することであり、しかも夜中で真っ暗な中を産院に向かうということもあり、僕は不安に襲われます。

 しかし本当に大変なのはとなりで苦しむ妻です。

 僕はその手を握ることくらいしか出来ません。


 やがて産院に着きましたが、そこからが長いのです。

 陣痛は最初こそ約10分間隔(かんかく)でしたが、それが徐々に短くなっていきます。

 しかしそのペースは実にゆっくりであり、気付けば朝になっていました。

 ただ、初めてのことなので僕も気がたかぶって不思議ふしぎと眠気は訪れませんでした……まだこの時は。


 妻は初産ういざんであり、陣痛から生まれるまでの分娩ぶんべんにかかる平均時間は約14時間だと言われています。

 陣痛の間隔かんかくが短くなっていくペースは思いのほか遅く、妻はその後も長い時間をかけてウンウンと苦しみ続けます。

 時刻は昼を過ぎました。

 陣痛が始まってから13時間が経過し、妻が苦しんでいる中、僕は幾度いくども意識が飛びかけます。


 妻よ。

 苦しんでいるのは君なのに申し訳ない。

 もう眠気が限界です。

 座ったまま寝そうです。

 僕は妻のお母さんに付き添いを交代してもらい、眠気ざましに散歩に出ます。


 散歩中のことはほとんど覚えていないけれど、外の空気を吸って少しだけ気分を整えた僕は再び産院に戻ります。

 後日、妻から聞いたことですが、この時に妻は「純之助はまだ戻って来ないのか」とオカンムリだったようです。

 自分が苦しい思いをしている時になぜそばにいないのかと怒りの気持ちだったのでしょう。

 至らぬ夫でごめんよ。


 そして午後4時。

 陣痛が始まってから15時間後。

 看護師さんたちがあわただしく部屋に入って来ました。

 いよいよ分娩ぶんべん室に移動することとなり妻が看護師さんたちに両脇を抱えられて行きます。

 僕はすぐその後ろに付き添いますが、そこで妻が必死の形相ぎょうそうで叫びました。


「生まれちゃう! 押さえて! 純之助! 手で押さえて!」


 僕はあわてて妻のお尻を手で押さえます。

 後で聞くところによると妻はこの時、こらえようもなく赤ちゃんが出てきちゃう感じがしたそうです。

 妻は両脇を看護師さんたちに支えられ、お尻を僕に押さえられながら分娩ぶんべん室に向かいます。

 僕は息を飲み込ました。


 こ、これからが本当の戦いだ(ゴクリ……)。

 分娩ぶんべん室に入ると妻は分娩ぶんべん台へと導かれ、僕は看護士さんに入口のところで呼び止められました。


「ご主人は入口でお待ち下さい。準備が出来たらお呼びします」

「は、はい。妻をよろしくお願いします」


 やがて準備が終わり、僕は看護士さんに呼ばれて妻のすぐとなりに立ちます。

 妻は苦しい顔で必死にいきみます。

 僕も自然と力が入ってしまいます。


 がんばれ妻! 

 がんばってくれ!


「ふぅぅぅぅぅ!」


 するとすぐに医師が赤ちゃんを取り上げました。

 ……ファッ?

 もう生まれたの?


 そこから医師が適切な処置をほどこすと、赤ちゃんはすぐに元気に泣き始めました。

 

 早っ!

 早くない?

 まだ分娩ぶんべん室に入って6分くらいしかってないけど?

 

 陣痛17時間。

 分娩ぶんべん6分。

 映画館で本編上映前のCMが2時間あり、映画の本編が5分だったら、きっとこんな気分でしょう。


 何にせよ母子ともに健康で無事に初めての出産が終わりました。

 妻はぐったりしながら大仕事を終えた達成感に微笑ほほえみます。

 僕はそんな妻に感謝の気持ちでいっぱいでした。


 ありがとう妻よ。

 家族のためにがんばってくれて。

 妻と赤ちゃんの姿を見て、この家族を一生大事にしなければと心にちかううのでした。

 そして帰ったら爆睡ばくすいするぞと心にちかうのでした。


 こうして一度目の立ち合い出産は幕を閉じます。

 そして数年後、二度目の立ち合い出産があるのですが、僕は一度経験しているし二度目は「バッチコーイ!」という気持ちでした。

 ですが……そう甘くはなかったのです。


 おっと、そろそろ夜もけてまいりましたし、今夜はこの辺にいたしましょうか。

 続きはまた近いうちにお話しいたします。


 それでは皆さん。

 おやすみなさい。

 今宵こよいも良い夢を。

 またいつかの夜にお会いしましょう。

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