第16夜 カチカチッ! スズメバチ襲来!
こんばんは。
枕崎純之助です。
突然ですが、皆さんは蜂に刺されたことってありますか?
幸いなことに僕はありません。
蜂って怖いですよね。
特にスズメバチ。
あの黄色と黒のツートンカラー。
殺し屋のような鋭い目付き。
恐ろしい羽音。
見た瞬間に本能的な恐怖を覚えます。
刺されたことがある人は本当にお気の毒です。
刺されたらそれはもう痛いんでしょうね。
想像するだけで痛いですから。
刺されたことはない僕ですが、スズメバチとニアミスして怖い目にあったことは幾度かあります。
ある時は家の窓を閉めた直後にすぐ窓の外を巨大なスズメバチが通り過ぎていき、肝を冷やしました。
またある時はコンビニの駐車場に車を止めた際、全開にしていた窓の数メートル先にスズメバチの姿が!
僕は息を殺してパワー・ウインドウを閉めようとしますが、その間にも蜂はどんどん近付いてきます。
くそっ!
早く閉まれ窓!
閉まってくれ!
ゾンビ映画でゾンビに追われてエレベーターに逃げ込み、迫り来るゾンビに焦りながら必死にエレベーターの【閉】ボタンを連打するような心境です。
もうダメだぁぁぁ!
神に祈る僕の目の前で窓はようやく閉まり、その窓ガラスのすぐ外をスズメバチがガラスに沿って飛び去っていきました。
き、危機一髪だった。
車中にスズメバチが侵入するという地獄絵図は何とか回避されました。
そりゃもちろんスズメバチには遭遇したくはありませんが、このように予期せぬエンカウントが発生することはあります。
そんな時はどう対処すべきか。
よくネットではスズメバチに遭遇したらどうするか、という対処法が書かれています。
【大声を上げて蜂を刺激したり、走って逃げるのはNG。低い姿勢でゆっくりとその場から離れる】
そんなことを実践する日が来ないことを祈っておりましたが、その祈りも虚しく、その後僕はスズメバチとエンカウントしてしまうことになります。
それは9月のある日のことでした。
その日、僕は1人で親族のお墓参りをしていました。
お墓にお線香を上げて軽く掃除をし、帰ろうとしたその時。
背後に不穏な気配を感じて僕はハッと振り返ったのです。
いました……奴が。
ブォォォン!
恐怖の羽音を響かせて、僕のわずか2メートルほど先にスズメバチが飛んでいたのです。
しかもこちらを向いていて、明らかに僕を狙っています。
オレンジと黒に彩られたその体は大きく、男性の親指ほどもあります。
そのスズメバチの恐ろしい姿に僕は凍り付きました。
そしてさらに次に起きた現象によって僕の恐怖心は頂点に達します。
カチッ!
カチカチッ!
ボールペンやライターをカチカチする時のような音がします。
その音の正体を、僕は以前に読んだスズメバチ対策で知っていました。
それはスズメバチが敵を威嚇する時にアゴを打ち鳴らして発する警告音です。
スズメバチ「おいワレ。ここはワテらの縄張りやぞ。これ以上近付くんやったら、このゴッツイ針でブスブスいてまうぞコラ」
「うおああああっ!」
スズメバチのセリフは妄想ですが、実際に僕が発した悲鳴は確かにこれでした。
命の危機を感じた時、自分はこういう声を上げるんだと分かりました。
そして僕は弾かれたようにその場から逃げ出しました。
学生時代以来の超本気全力ダッシュです。
大声を上げるのNG?
走って逃げるのNG?
低い姿勢でゆっくり離れる?
全部無理!(涙)
人は瞬間的な恐怖に駆られると、大声を上げて全力で逃げ出すのです。
僕は軽く50メートルは全力疾走で逃げました。
息も絶え絶えになりながら後方を確認すると、スズメバチはいなくなっていました。
幸い、奴は追っては来ませんでした。
い、命拾いしたぁ。
いやあ、この時の恐怖は忘れられませんよ。
そしてあのカチカチッという警戒音もしばらく耳について離れませんでした。
奴らの縄張りに近付いてはならない。
そう心に決めた秋の日でした。
人生80年時代。
ハチマキ巻いて気張りつつ、八十八まで生きて蜂に刺される痛みを知らずに、天寿をまっとうしたいものです。
皆様も蜂と鉢合わせた時にはハチッてお逃げくださいな。
おあとがよろしいようで。
え?
おまえの話は眠くなる?
そうだとしたら、あなたはまんまと僕の術中にハマッているんですよ。(ニヤリ)
では、おやすみなさい。
またいつかの夜にお会いしましょう。