探し物・・・
私は、あてもなく歩いている。それは、あるものを探して
なのだが、それが何だったか忘れてしまっていた。
なんだったのだろう・・・、思い出せないものは仕方が無い。
きっとそれほど重要なものじゃないんだろうな。
そんなことをあれこれと考えながら歩いていると、普段歩い
たことの無い路地に入っていた。
住宅街、周りには家、家、家・・・、しかし落ち着かないく
らいに静かだ。犬や猫を飼っている家も無いのか。
そのまま、無心に暫く歩く。すると、かなり前方に歩いてい
る人が見えた。とりあえず追いつこうと早足になる。
前方を歩いていた人は、急に左の路地に向きを変えて入って
いった。私も急いで後を追うが、角を曲がったとき・・・。
・・・気がつくと、私はあてもなく歩いていた。あるものを
探していたはずなのだが、それが何だったか思い出せない。
ここは・・・、住宅街か。周りは家だらけだ。しかし、落ち
着かないくらい静かだな。人は住んでいるのか?
とりあえず周りを見回しながら歩く。ここはどこだろう?
この辺は人影もない。だが、どこか見覚えのある景色だ。
そう思いながら歩いていると、かなり前方に歩いている人が
見えた。とりあえず追いつこうと早足になる。
しかし、もう少しで追いつくと思ったその人影は、急に左の
路地に入っていった。私も左の路地に入る。
そこにいたのは、あの前方を歩いていた人・・・だろうか?
今は目の前にこちらに向かって立っていた。
「どうした?私に用があるんじゃないのかね?」
その男は、何もかも知っているぞという風に私に話しかけて
きた。
「・・・・・・」
私がどう言おうかと迷っていると、
「ふ、まぁいいさ。何も言いたくないなら、そうしなさい。
だが、それでは『探し物』は見つからないぞ!」
「な・・・」
「じゃあ、私はそろそろ行くからな」
私が何か言おうとする前に、男はその場を立ち去ろうとし
た。”待ってくれ!”、私はそう言おうとして、目の前が真っ
暗になった。気を失う寸前、私の後ろにも人がいたことに気
がついた。しかも、そいつは手に血の滴るこん棒を持ってい
た・・・。
私は、あてもなく歩いている。それは、あるものを探して
なのだが、それが何だったか忘れてしまっていた。何だか後
頭部がズキズキする・・・。
ー完ー
結構短編にするとすらすらと書けるのですが、
それが作品としてどうなのか分かりません(^-^;;;