第2話 初陣
「いててここはどこ?」
「あなたのもとめてた世界ですよ」
「へぇここが」
「ここはどんな世界ですか?」
凛がガイドに聞いた。
「はいよいしょこの紙を読んで」
ガイドはポケットから紙を出した。
この国で一番戦に強いものに天下の称号を与える。 この国の王様が言った。
この言葉を聞いて強者達が各地で戦を始めた。戦国時代の幕開けである。
ここは長作というこの国の中でも小さな小さな村だ。
この村の城主は天羽家である。天羽家の当主の長経が行方知れずになって早三年がたとうとしていた。城主の代わりを長経の子経丸が務めることになったのである。
その経丸は木上で天羽家の家来の少なさ更に戦での被害の大きさ経丸は自軍のことを分析してどうすればよいかと考えていた。
「腹が減ったなぁ」
「あそこに柿の木があるよ。当ててよ士郎」
「まかせて凛ねぇちゃん。この弓の名手外岡士郎様にかかればあの柿こっからでもあてられるな。」
士郎は自信満々に弓矢を放った。
弓矢はとてもきれいな弾道でバチーンと大きな音をたて柿を打ち落とした。
経丸は思わず感動しこんなにもきれいな軌道に惚れそしてこれだと思った。
柿を打ち抜いた士郎は、やったぜ柿を打ち抜いた。と思いながら柿を拾いに行く。
柿は色つやがきれいでとても大きい。
士郎が柿を両手でもってよだれを垂らしながら見てると
「いやぁあれほどの距離から正確にあてるとは実に見事だった。」
士郎はいきなり聞こえて来る声に思わずビックとし、そしてあたりをみまわした。
でも回りには誰もいなかった。経丸は自分のことを気づいてない士郎の前にいきなり飛び降りてビックリさせようと思い経丸は飛び降りようとした瞬間足を滑らした。
「ああっ。」
この声に士郎は上を向いたそして
「うわぁぁぁ」
士郎の上に経丸は勢いよく落っこちた。
いでぇなんだよ。
士郎はイラッと目をあけた。
すると髪の長いお人形みたいに顔立ちの整ったとても可愛い少女が自分の体の上に馬乗りで乗っていた。
もろ好みだ。
「ごめん大丈夫?」
士郎は先程までの苛立ちを忘れてとても緊張した声で
「大丈夫」
士郎と経丸の距離は近かった。下手したらキスをしてしまうくらいの距離に士郎は胸がドキドキさせた。
そしてこんなにもきれいな天使を自分の上に落ちてきてくれたことを神様に感謝をした。
「‥‥こんなことをしといてお主にたのみがあるのだが。」
この子の頼みなら何でも聞いてやれる。
「なんでしょうか。」
小さく低い声で答える。
「我の名は天羽経丸我のもとに来てくれないか ?」
士郎はビックリしたまさか彼女から誘われるとは思ってもいなかった。もしかして俺に惚れてるのではないか俺って結構イケメンなのかもしれないと思いながら自分の顔をさわりはじめた。
そして士郎カッコをつけようとは低い声を意識して
「はい参りましょう」
士郎が経丸についていこうとしたそのとき
「おーい柿はまだー」
「あっすみませんそういえばあちらに仲間がいるのでついてきてください」
「士郎柿あっそのお人形さんみたいにきれいな人誰?」
「あーその人だよ」
「なんだようるさいなぁヨーグレット」
「士郎に合わせたかった人天羽経丸様だ」
「士郎は経丸様を求めていてその経丸様は士郎を求めている」
「相思相愛って事?」
「そなた達さっきから誰と話しておるのだ?」
「えっヨーグレットだけど」
「士郎この世界の人には私の姿が見えないんだ」
「何で」
「この世界の人に影響を及ぼさないためだ」
「なるほどね」
「経丸さんさっきのは士郎の独り言ですほっといて話を進めましょう」
「まぁとりあえず我についてきてくれるか?」
「わかりました。」
こうして皆経丸についていった。
皆は城の前に着いた。
「着いたぞ中へ入るぞ」
何をいってるのだこのお方は‥
城になぞ入れるわけがないではないか。そんなことこの俺でさえ知ってるちゃんと時代劇見てるからね。
まぁ聞いてみるか‥‥
「えっここは長作城ではありませんか。」
「そうだが。」
「いやここだってここは入れませんよ。」
「何をいっておるのだ我はここの城主だぞ。」
士郎達は経丸の言葉を理解するのに時間をかけた。
「えっ経丸さんってお殿様なの!!」
士郎はびっくりして大声を出してしまった。
「そうだ」
「でも経丸さんおなごじゃんそれなのになぜ殿に、、、」
「跡継ぎがいないただそれだけだ」
「何でヨーグレットそんな大事なこと言わなかったの?」
「つい言いそびれて」
「今度からそういう大切なことは先に言ってよね」
「凛ねちゃん達何やってんの早く早く」
「今いくー」
経丸は士郎達を城の中へ連れていった。
士郎は経丸の後につき城の中を案内してもらった。
「うわぁ大量の刀だこっちには弓もあるぞすげぇ~」
士郎は初めて城の中に入ったので武器の部屋などを見せてもらってとても興奮していた。
城の案内の途中10代後半から20代前半ぐらいの凛々しい顔の若者がやって来た。
「殿ーそちらにいるもの達は何者ですか?」
「こやつはなぁ‥‥えっとお主そういえば名前なんだっけ?」
男と士郎はこけた。
「外岡士郎でございます。」
「そうかぁお主士郎って言うのか。言われてみればそんな名前通りな顔してるよナイス。」
俺誉められてる。犬がお手をして誉められてるの見て羨ましがっていた俺が、今、こんなかわいい人に誉められてるんだ。
別に経丸は士郎を誉めてるつもりはないのにここまで思える士郎は幸せな性格をしているのだろう。
士郎は丁寧にお礼をいった。
「小鹿凛でございます。」
「そちらの女性は上品で頭が良さそうですけどそこの男はなぜつれてきたのです?」
「今度から我が弓矢隊の隊長をしてもらう外岡士郎だ。」
経丸は大きな声でいった。
意味がわからない何をいいだしてるのだ経丸さんは?
「経丸様弓矢隊の隊長ってなんのことですか?」
「そなた弓がうまいから我軍の弓矢隊長をやってもらいたい。」
「えっ。俺が隊長?」
「殿何をお考えですか。このような何者かわからぬものをこの城に入れ込んで。今すぐ追い出してくだされ。」
この言葉に士郎はイラッとした。
何で俺だけなんだ凛ねぇちゃんだって何者かわからないだろ 。
「とりあえず片倉弓矢隊を集めよ」
「しかし殿このようなものを」
「いいから集めろ」
片倉は弓矢隊を経丸と士郎の前に集めた。
「今日から弓矢隊の隊長をしてもらう外岡士郎だ。みな士郎にしっかり教わるように。」
弓矢隊の者たちはざわざわしはじめた。
ヤバイ‥‥
皆ウェルカムって感じじゃないアウェーじゃんこの状況‥‥
「殿皆は納得してないようです。今から士郎殿に実力を見せてもらいましょう。この線から矢を射ってもらい当てたら士郎殿には隊長になっていただきましょう。」
「でははずしたら?」
「はずしたら士郎殿には出ていってもらいましょう。」
皆がざわざわした。
それもそのはずその線からは誰一人として一回も当たったことがないからである。
経丸の教育係兼長経のいない間のこの城の最高責任者である片倉は長経のいない間に身元のわからぬものを城の中にはいれたくなかったからである。
士郎はなめられたもんだと思った。
「こんな線からよりももっと後ろから射抜きますよ。」
皆こいつはアホだと思って笑いはじめた。
経丸だけは悔しそうな顔をしていたのである。
「士郎実力を見せつけてやりなさい。」
こんなに可愛い子に期待を裏切るわけにはいかない。
なにがなんでも当ててやる。
そしてあの感じの悪い男の度肝も抜いてやろうじゃないか。
士郎は自分を冷静に持っていった。
弓というのはその時気持ちが乱れると矢の飛ぶ方向も乱れてしまうことを士郎はよく理解していたからである。
士郎はふっーと息を吐き矢に手をかけ
俺はできる
気持ち気持ちー
と心の中で叫んだあと放った。
放った矢はきれいな弾道で的に吸い込まれるかのように的のど真ん中を射抜いた。
周りはビックリした。
士郎は小さくガッツポーズをした。
「わかったかこれが士郎の実力だ。」
経丸は士郎の肩に手を回した。
士郎は嬉しくなって調子に乗り見下すように
「まぁまぁ俺みたいな天才には楽勝だったよそこのお兄さん」
「士郎調子に乗らないの」
「ごめん凛ねぇちゃんつい」
「お兄さんではない片倉だ」
「皆のもの士郎が弓矢隊の隊長になることに文句はあるまいな」
文句をいうやつなど一人もいなかった。
そしてこれより士郎は弓矢隊長になった。
士郎は弓矢隊長として張り切って皆を指導していった。
弱小と言われていた弓矢隊が日に日にどんどんと弓矢の扱いがうまくなっていったのである。
そんなある日。
「経丸様村が矢部軍に襲われていますお助けください。」
と村人が城に駆け込んできた。
経丸は急いで皆に支度をさせ現場に向かった。
経丸は先陣を切って行くそれを片倉は追いかけていった。
矢部軍は経丸達が急に出てきたのにビックリして軍を引こうとした。
士郎達弓矢隊は快進撃で矢部軍副将荒井駆を追い込んだが、荒井駆は村人たちを盾にした。
「そこのちび卑怯だ」
「この世の中で卑怯とか叫んでるとはおめでたいやつだな。」
「うるせぇ村人を盾にしないで戦えよ。」
「アホは相手にしないじゃあな」
このくそ野郎が
士郎は弓矢を射ことはできず、荒井駆の軍が去っていくのを悔しさを滲ませながらみてるしかなかった。
一方の経丸は矢部勝文を捕らえた。
「命だけは助けてくれなんだってする。家にはお腹を空かしている子供や嫁がいる」
矢部は土下座をしながら訴えていた。
経丸はその言葉を聞いて わかったと言って刀を鞘にしまった。
「殿何許しておるのですかこやつは村人達を恐怖に追いやったなにがなんでも殺さないと」
「こやつは反省しておる。それに家には待っているものもいるらしいではないか。しばらくは罪を償わせてそして家に返してやるのが一番ではないか」
「だめですこやつは殺さなければなりませぬ。」
「片倉頼む今回だけは我に任せてくれ」
この後片倉は経丸を何度も説得しようとしたが、経丸は考えを変えなかった。
そして殺さないことにして城の牢に閉じ込めた。
その夜矢部は逃走した。
村人達が城の外で
「なぜ矢部を殺さなかった。」
「 これだからおなごはおなごに城主は務まるわけはなかった」
「弱虫城主経丸」
やはりおなごの私になんか城主は務まるわけはなかった。
私がやるべきではなかった私があんなところで恩情をかけたから。
経丸は自分を攻めていた。
この野郎共殿の気持ちもわからずに言いたいことばかり言いやがって‥‥
士郎は立ち上がって
「うるさーい殿は弱虫なんかじゃない。次こそは必ず矢部を討ち取るんだぞだからお前らさっさとかえれ。」
士郎ありがとう私は逃げない私は城主だ。
そしてまた矢部軍と戦をする日がきた。
矢部軍は天羽軍の三倍の兵を率いてきた。
「あんな大軍に攻め込まれたら壊滅する」
「無理だあんなのに勝つのは」
弓矢隊は動揺をしていた。
「大丈夫私が作戦考えたんだから」
「そうだだいじょうぶだ。凛ねぇちゃんが作戦を考えたんだから。それよりみんな今までやって来たことを信じろそして自分を信じろ」
皆が真剣な目で士郎を見た。
士郎は大きな声で
「気持ち気持ち。」
「おーおー」
弓矢隊の雄叫びは大きくこだましていった 。
「おい弓矢隊をしばらく頼んだぞ俺は敵をおびき寄せるから。」
「はっ士郎殿お気をつけて」
「‥‥どうだこの戦は楽勝か?」
矢部は家来に問いかけた。
「はいもちろんでございます。」
「そろそろ攻めに行くか。」
「いやぁこちらは大軍どーんと待ち構えるのがよろしいかと。」
「そうだな。」
「申し上げます一騎こちらに向かってきております。」
「なんだなんだ」
矢部の動揺に敵の兵たちはざわざわしはじめた。
「我こそは外岡士郎っ」
と怒鳴りながら敵陣の旗めがけて矢を放った。
その行為に矢部勝文はキレた 。
「者共かかれーやつを必ず引っ捕らえよ」
矢部軍がいっせいに士郎を一斉に追撃しはじめた。矢部軍は士郎が思ってたより早かった。
「思ったよりはやぁーい。」
士郎は戦場を凄い勢いで疾走していった。
ヤバイ捕まったら殺される殺される。
経丸と片倉はこの状況を見てひとまず作戦が成功したと思った。
士郎は必死に矢部軍を引き付けた。
そして待ち構えてた弓矢隊が矢部軍に一斉射撃した。
士郎は息切れしながらも何とか自陣に戻った。
おー怖かった死ぬかと思ったぁ。
よし。今度は俺が攻撃する番だ。
士郎は弓を取り戦場にかけていき敵を射ぬいていく。
敵は面白いように弓矢隊に射ぬかれていった。
この弓矢隊の活躍により戦が天羽軍は優位になっていった。
「殿今しかありませぬな」
「うむ」
「今こそ好機到来我に続けー」
こう叫ぶと経丸は先陣切って山を下っていった。
敵の背後の山に陣取っていた経丸達は敵の本陣に襲いかかっていった。
矢部軍は混乱に陥った。
先人切って敵を斬っていった経丸の目に矢部勝文の姿が映った。
その同じ頃士郎の目には荒井駆が映った。
やつを殺す
二人はそう思い士郎は荒井に向かって矢を放ち、経丸も矢部に向かって斬り込んでいった。
士郎の矢が荒井に突き刺さると同時にそしておなじタイミングで経丸の刀も矢部の首をはねた。
「敵将射ち抜いたり」
「敵将討ち取ったり」
二人の声は戦場にこだました。
これによりこの戦は天羽家の勝利に終ったのである。
戦が終わり経丸は全員を集め全員の前で士郎に褒美を渡し、そして士郎に抱きついた士郎は一瞬で顔が真っ赤になった。
幸せだ生きててよかったぁー
「ありがとう士郎これからもよろしく頼む。」
士郎はめいいっぱい大きな声で
「はい。」
「士郎さんこの世界には満足ですか?」
「おういい異世界だヨーグレット」
「そりゃよかったこれからも頑張ってくださいよ」
「任しておけ」
この瞬間、今は小さな英雄の強い気持ちが戦乱と言う大河に流れ込んでいくのである。
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