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第一章 -前世-

私の夢…。暗くて冷たくて、悲しい…夢…。

毎日似ていて、でも、同じではない…。

夢の中で私はいつも苦しい。早く夢から覚めたくて…でも、目覚めてはいけないかと言うように、目覚めることができない…。そのため、私は…



「うぅ…」

く、苦しい…。私は夢の中でずっとそう感じていた。早く夢から覚めたい。はやぁ…

《ドタン!》

「おい、未来!早く起きろ!学校遅刻するぞ!」

「…………」

「ぐぬぬ…、未来!さっさと起きろぉぉぉ!」

《バチンッ!》

「うひゃ!?」

私の双子の弟、夏目 翔。私は毎日翔に起こしてもらっている。まぁ…毎回叩き起されているが…

「もう!そんな叩かないでよ!普通に起こして!」

「普通に起こしてるは!お前が起きないんだよ!」

毎回こんな会話をしている…

これが私のたわいもない日常。そう、夏目 未来のいつもの日常。

「そんなこと言われたって起きれないんだもん!」

「じゃー叩かれても文句言うな!!」

《ベチンッ》

「はいだぁ!」

オデコにデコピン…。綺麗にオデコに決められた…

「なんでデコピンすんのさ!ちゃんと起きたじゃん!」

「いつも俺に起こさせるからお仕置きだ」

「なによそれ!!」

いつもそうだが…翔は意地悪だ!!

「いいから早くしろ!飯冷めるぞ!」

「うぅ…はーい」

私は制服に着替えてリビングに行くと、いつものようにテーブルには魚とお味噌汁とご飯が置いてある。毎朝、朝食は翔が作ることになっている。私が朝、起きれないからだ。そう考えるとお昼のお弁当もだ…。私は晩飯を作る担当だ。

わたし達の親は二人とも事故で入院中だ。

二人とも命に別状はなかった。あと1ヵ月もしたら帰ってくるだろう。

私はいつもどうりお味噌汁を一口飲み、ため息をつく。

「はぁ…」

「ん?なんだ?…もしかして、また夢か?」

翔は私の抱えている問題を知っている。

私の事を気遣ってくれる翔は優しい…

「ん?あぁ、お姉ちゃんも翔の事愛してるぞ?」

「なっ…誰もそんなこと聞いてねーよ!」

翔、可愛すぎる…!この照れ顔は反則だ…!

「いやいや、冗談だよ。」

「…冗談かよ…」

「えっへん♪」

《ベチンッ》

「いだっ!」

またもやデコピン。

「ばーか」

「冗談じゃないです!本気で愛してます!だから許してぇぇぇ」

冗談って言ったら拗ねちゃった…可愛い…

こんなことやってたら本当に学校遅刻しちゃう…

「んで、夢なんだな」

「あ、うん…」

茶番はここまでと言う顔で真剣に聞かれた。

もちろん私が困っているのは夢のことだ。いったいこの変な夢は何なのか、いったい私になにを伝えたいのか、困り過ぎている。

「その夢さ…もしかしたら未来の前世なんじゃね?」

「…ん?」

ぜ、前世?なんで前世…。前世って、前世?

あれれ…前世…。あぁ頭がこんがらがってきた…

「いやさ、よくTVとかのバラエティーとかオカルト系の番組とかでさ、前世の記憶があるーとかそんなのあるじゃん?そんな感じで未来の夢も未来の前世なんじゃないか?」

「そんな非現実的な話ある…?」

さすがオカルト脳の翔君ですね!!考えがなんか中二だな…

「いやいや、ありそうじゃん!」

「え、でもそんなこと本当にある?」

「あるんじゃね?」

たしかになさそうな話ではない気がする。でも翔のこの笑い顔…

「翔…楽しんでるでしょ…」

「いや…そんなことねぇー、いや、楽しんでる」

で、ですよね…

「どう見ても顔が笑ってるもん…」

私のためになにか考えてくれてるのは嬉しいけど…楽しまれても…。まぁ、いいんだけどね…

「まぁ、予想だからなぁ。信じるか信じないかはお前しだいだぜ」

「…それTVのパクリ…」

たしかにそうだ。もし、この夢が私の前世であるならこの苦しい夢からは解放されるだろう…。でも、しってなにになる…?



「ほら、未来そろそろ行くぞ。」

「う、うんっ」

私たちの高校は広島にある都立南城高校-

家から徒歩25分、自転車で10分。私は翔の自転車の後ろに乗って二人乗りで登校している。

「よっこらしょっと…」

「ふふ、おじさんみたいだよ?」

「うっせーなぁ、お前が重いんだよ」

「失礼なっ、まだぴっちぴちの女子高生だよ!」

「ほら、行くぞ」

「…へいへい」

毎日変わらない日常、私は今の日常が好きだ。変わりたくない、変わってほしくない。この日常が消えてしまえばきっと…

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