二日目
目が覚めた。朝である。
昨日は事件が未解決のまま帰ってしまった。しかし家で何もしていなかったわけではない。今回の事件を解決に導くアイテムを発明していたのだ。
そう、俺の宇宙探偵たる所以はその発明力にある。
ブロロロロロロロロロロロロロロロロカタン
発明品の説明をする流れを遮るかのように新聞が届いた。おそらく朝刊である。
カタン
当たった。まごうことなく正解である。さっそく一面の見出しを音読する。
「通り魔事件発生 高校生死亡説」
あの程度の事件で一面とは・・・この星は平和面してやがる。しかしこの事件も速攻解決してやる。
~~~~~~~~~~~
学校
~~~~~~~~~~~~~~
「おい、あきら!今日はお前の悪事を日の目に晒してやるぜ」
「・・・?」
「とぼけるなよ、登校中のたかしを殺したのはお前だ!あきら」
「俺のこと?」
まだとぼけていた。
「だから、たかしを殺したのは」
「いやそれはそうなんだけど、俺あきらじゃないんだけど」
そっちだったか。適当に呼称を決めたのが裏目に出てしまったようだ。
そう、あきらとは昨日たかしと一緒に帰っていた男のことである。
「たかしを殺したあと授業を受け、急いで帰って死体を片付けたんだ」
「妄想にも程がある!証拠もないのに何言っているんだ」
パシャ
俺はカメラを構えてあきらを撮った。
「なんだそのカメラは」
「このカメラは被写体の12時間前の姿を映し出すことができる」
「すごそう」
「この写真を見ろ!」
そこには血まみれの服を着たあきらの姿が映っていた
そう、12時間前のあきらは死体を抱えていたため血まみれだったのだ
「ぐうううううううううううううううううううううううううううううう」
「ぐうの音も出ないようだな」
出ていた。
ファンファンファンファンファンファンファンファン
こうして通り魔殺人事件は解決した。しかしこの俺が推理を外したことがあった・・・それは夕刊で明らかになった。さっそく見出しを熟読した。
「通り魔事件解決 犯人は同級生のこうた」
そう、犯人の名前はあきらでなくこうただったのだ・・・探偵人生一生の不覚である。あと凶器とか動機とかも分からなかった。
この星は一筋縄ではいかない・・・俺は家に帰る途中で電器屋に寄りながらこの先に待ち受ける事件の香りを嗅ぎつけていた。
謎という名の太陽は海に沈み、空は闇で包まれていく。呼吸のように繰り返される生と死のサイクルは、哀しみのワルツそのものを示しているのだ。